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閉ループ循環
収縮性を上げると、流量が増えるのか、充満圧が下がるのか――閉じた循環の作動点
低心拍出の患者に強心薬を始めたとき、心拍出量が期待ほど増えず、肺動脈楔入圧の低下の方が目立ったとしたら、薬は効いていないのだろうか。教科書のPVループでは、拡張末期容積を固定したまま収縮性を上げるとESVが減り、一回拍出量が増える。ところが体の中では拡張末期容積は固定されていない。収縮性を上げた心臓が行き着く先は、一回拍出量が増えた状態なのか、充満圧が下がった状態なのか。
弛緩指標は、心筋だけを測っているのか
左室圧が速く下がるようになり、等容弛緩時間IVRTも短くなった。心筋の弛緩が改善したと考えてよいだろうか。圧下降の速さ、IVRT、僧帽弁流入のE/Aや減速時間は、力が消える速さだけでなく、左室圧がどの高さから下がり始めるか、弁の向こうにどの左房圧があるか、流入を受け止める両心腔がどれだけ広がるかにも左右される。この回では、心筋側の設定を変えずに総血液量だけを変え、これらの指標が負荷によってどう動くかを確かめる。
二つの心臓を直列につなぐ――右房圧と左房圧が別々に動く理由
頸静脈の怒張や中心静脈圧(CVP)は、右心側の充満圧の目安である。臨床では、それを手がかりに左心側の充満圧、つまり肺うっ血の程度まで推し量ることが多い。Draznerらは、心移植の評価を受けた進行した慢性心不全1000例で、右房圧と楔入圧の相関係数が0.64であり、右房圧が10 mmHg以上なら楔入圧22 mmHg以上を88%の陽性的中率で示すことを報告した。一方、約2割の例では両者が食い違っていた。別の施設で、進行した心不全のため心移植の評価中
静脈還流と循環平衡――心拍出量は心臓と血管の交点で決まる
Guytonの静脈還流曲線では、右房圧が上がるほど心臓へ戻る血液は減る。ところが、輸液をすると右房圧が上がり、心拍出量も増えることが多い。右房圧が還流を妨げるのなら、なぜ両方が一緒に上がるのだろうか。右房圧を還流の「背圧」とみなす解釈は、原因と結果を取り違えさせやすく、生理学者や臨床医を長く混乱させてきたと指摘されている。
充満圧が下がったのは、心筋がよくなったからか
治療の後に左房圧やPCWPが下がった。肺循環にかかる圧の負担が減ったことは確かである。では、その低下は心筋の弛緩や受動特性がよくなった証拠になるだろうか。同じ圧は、血液の量、血液が血管のどこにどのような状態で収まっているか、静脈側の性質によっても変わる。
Guytonの循環平衡――心臓と血管が流量を決める
安定した閉ループ循環では、心臓が送り出す平均流量と、心臓へ戻る平均流量が一致する。片方が上回り続ければ、その間に血液がたまり続けるからだ。
収縮性が変えるもの――心筋の力、Ees、閉ループの拍出
心筋の収縮性が高まると、同じ初期長で発生できる張力が増し、同じ後負荷に対する短縮量も増える。ところが、心臓を血管につないだまま収縮を強めると、拍出量の増加が小さいことがある。送り出した後に残る量が減ると同時に、次の拍へ入る量も減るためである。