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EF
MRを減らしたらEFが下がるのはなぜか
僧帽弁逆流(MR)を経カテーテル修復などで減らしたあと、EFが下がることがある。心筋が弱ったと考えるべきだろうか。EFは左室から出た血液の割合を表すが、その行き先は区別しない。MRの左室には大動脈と左房という二つの出口があり、左房へ戻った血液もEFの分子に入っている。そのため逆流口が閉じると、心筋の条件が同じでも総EFは下がり、同時に大動脈への前方拍出は増えうる。
一拍を読む――圧・容積・流量は、同じ一拍のどこを示すか
カテーテル検査で記録する左室圧と大動脈圧、心エコーで見る僧帽弁の流入、画像で測る左室の容積。臨床ではこれらを別々の検査で、別々の時刻に測る。けれども、どれも同じ一拍の一部を切り取ったものである。値が食い違って見えるとき、まず確かめるのは、それが一拍の中の「いつ」の「どこ」の値かということだ。
僧帽弁逆流を治すとEFが下がるのはなぜか――総拍出と前方拍出を分ける
重症の僧帽弁逆流(MR)に経カテーテル的修復(TEER)を行った翌日、心エコーのEFが術前より下がっていた。心筋が手技で傷んだのか、もともと弱っていた心筋が露わになったのか、あるいはそのどちらでもないのか。MRの評価でEFが「保たれている」ことは何を保証しているのか。
EFが上がれば収縮性も上がったのか――筋節からPVへ
治療後にEFが上がった。心筋が以前より強く収縮するようになったと考えてよいだろうか。結論から言えば、EFだけでは判断できない。EFは一拍の駆出量を拡張末期容積で割った値であり、心筋の収縮状態に加えて、心室がどれだけ満たされたか、どれだけの圧に向かって駆出したかを同時に反映するからである。
同じEF、違う心臓――収縮末期の圧と容積で収縮性を読む
EF 45%の心不全患者に血管拡張薬を使い、翌日のEFが53%になった。別の患者は高血圧があり、EFは53%である。前者の心筋は良くなったのか。後者の心筋は前者と同じくらい強いのか。EFだけを見ていると、この二つの問いに答える手がかりはない。(二人は、この回の後半で扱うモデル比較の数値に対応させた架空の例である。)
一拍を、圧・容積・流量から読む
左室は、大動脈弁が開くまで血液をほぼ一定量に保って圧を上げ、弁が開くと血液を送り出す。圧を作る段階と、流れを作る段階。この二つを一枚で追えるのが、圧–容積ループ(PV loop)である。