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静脈還流
収縮性を上げると、流量が増えるのか、充満圧が下がるのか――閉じた循環の作動点
低心拍出の患者に強心薬を始めたとき、心拍出量が期待ほど増えず、肺動脈楔入圧の低下の方が目立ったとしたら、薬は効いていないのだろうか。教科書のPVループでは、拡張末期容積を固定したまま収縮性を上げるとESVが減り、一回拍出量が増える。ところが体の中では拡張末期容積は固定されていない。収縮性を上げた心臓が行き着く先は、一回拍出量が増えた状態なのか、充満圧が下がった状態なのか。
収縮性を変えると、循環はどう変わるか――PVループ・ESPVR・Starling・Guyton
心臓から多くの血液が出たとき、その理由は一つとは限らない。心筋の収縮性が高まった場合も、心室の充満が増えた場合も、駆出に抗する負荷が軽くなった場合もある。この違いは、PVループの幅だけでは判別できない。
低血圧を逆に読む――同じ血圧の低下を、心臓・血管・血液量に分けて見分ける
平均血圧が70 mmHg台に下がった患者が4人いる。血圧だけを見れば同じだが、原因が違えば、次にすべきことも違う。欧州集中治療医学会のコンセンサスは、ショックを、流量が低い三つの型(循環血液量減少性・心原性・閉塞性)と、流量が保たれやすい血液分布異常性の、四つのパターンで考えるとし、原因が重なることも多いと述べている。診察で型がはっきりしなければ追加の評価を行い、まず心エコーを、複雑な例では肺動脈カテーテルなども用いることを提案している。
静脈還流と循環平衡――心拍出量は心臓と血管の交点で決まる
Guytonの静脈還流曲線では、右房圧が上がるほど心臓へ戻る血液は減る。ところが、輸液をすると右房圧が上がり、心拍出量も増えることが多い。右房圧が還流を妨げるのなら、なぜ両方が一緒に上がるのだろうか。右房圧を還流の「背圧」とみなす解釈は、原因と結果を取り違えさせやすく、生理学者や臨床医を長く混乱させてきたと指摘されている。
収縮性を高めれば心拍出量は増えるのか――静脈還流と左右心
左室の収縮性を高めれば、心拍出量(CO)は増えるのか。前負荷と後負荷を固定した単離心室なら、答えはほぼ「増える」である。しかし閉じた循環では、心臓が送り出す量と心臓へ戻る量が一致しなければならず、充満圧も結果として動く。本稿のモデル比較では、左室の張力を上げてもCOの増加は数%にとどまり、より目立ったのは左房圧と左室容積の低下だった。その大きさは総血液量によって異なった。さらに、左室の設定を変えなくても、右室側の条件だけで左室の充満と拍出は変わった。
充満圧が下がったのは、心筋がよくなったからか
治療の後に左房圧やPCWPが下がった。肺循環にかかる圧の負担が減ったことは確かである。では、その低下は心筋の弛緩や受動特性がよくなった証拠になるだろうか。同じ圧は、血液の量、血液が血管のどこにどのような状態で収まっているか、静脈側の性質によっても変わる。
Guytonの循環平衡――心臓と血管が流量を決める
安定した閉ループ循環では、心臓が送り出す平均流量と、心臓へ戻る平均流量が一致する。片方が上回り続ければ、その間に血液がたまり続けるからだ。