興奮とCa:収縮のきっかけ
心房・心室が興奮すると、細胞内のCa濃度が一過性に上昇します。このCaの変化を入力として、筋原線維の張力を計算します。
数式・仮定を詳しく
baselineは規則的な洞調律です。心房の興奮と、遅れて起こる心室の興奮を扱います。心室では二つの指数関数を組み合わせてCa波形を定め、心房には別の設定を使います。細胞内のCa輸送や活動電位の全過程は解きません。前の拍の成分が残るため、Ca₀と実際の1拍の最低Ca濃度は異なります。
時定数が異なる場合の式です。興奮時に二つの状態変数へ同じ量を加えます。速く減る成分と遅く減る成分の差によって、Caが立ち上がり、その後低下します。
- Ca波形を作る無次元の状態変数
- 各成分が減衰する時定数(s)
- 興奮が長く途絶えたときのCa濃度と、波形の振幅係数(µM)
興奮時刻・状態の更新
時間の単位はsです。規則的洞調律では、心房興奮の間隔T=60/HR、心室興奮はその120 ms後(房室伝導80 ms+遠位伝導40 ms)です。各心房・心室のCaへの入力は、対応する興奮の12 ms後に加えます。各壁は独立した二つのCa状態を持ちます。
qは興奮ごとの入力強度です。baselineでは両心房・三つの心室壁ともq=1です。イベント間は指数関数で厳密に減衰し、イベント直後に両状態へqを加えます。下式の周期解は規則的なq=1の場合で、心腔容積やLand状態の初期値を定めるものではありません。
心拍間隔とCa入力強度
心室には拍間隔依存の離散的な負荷状態Lを持たせます。Iは直前の心室興奮からの間隔、aは回復割合、qは次のCa入力強度です。LはSR負荷を規格化した量で、実測のSR内Ca濃度ではありません。係数と規則的洞調律での基準状態は下の表に示します。基準心拍数に対応するL・aとq=1が固定点を作ります。
ここで記載する起動条件は規則的洞調律・補助循環なしです。異所性刺激・ペーシング・補助循環装置を有効にした場合の全モードは、このbaselineの方程式系には含めません。
| 壁 | (s) | (s) | (µM) | g (µM) |
|---|---|---|---|---|
| 左房 (LA) | 0.0125 | 0.3 | 0.0631545706813 | 0.604696429446 |
| 左室自由壁 (LVFW) | 0.11853637422 | 0.131707082467 | 0.120706159272 | 12.0780349398 |
| 心室中隔 (SEP) | 0.11853637422 | 0.131707082467 | 0.120706159272 | 12.0780349398 |
| 右室自由壁 (RVFW) | 0.11853637422 | 0.131707082467 | 0.120706159272 | 12.0780349398 |
| 右房 (RA) | 0.0125 | 0.3 | 0.0631545706813 | 0.604696429446 |
| 記号・意味 | 採用値 |
|---|---|
| τrec (s) | 0.5 |
| β | 0.8 |
| r | 0.5 |
| h | 0.2 |
| γ | 0.598072916413 |
| (s) | 0.857142857143 |
| aref | 0.819907687852 |
| Lref | 1.52456187266 |