Model & case documentation

HFrEF · 慢性左室拡大型

左室が大きくなり、送り出す割合が低下した一つの安静時モデルです。

研究・教育用の症例設定です。患者の診断・治療には用いません。

症例の全体像

HFrEFはEFが低下した心不全の分類であり、慢性期・左室拡大・特定の原因を一括して意味する名前ではありません。ここでは慢性の左室拡大型を選びました。急性心筋梗塞、局所虚血、心室が拡大していく時間経過は再現していません。

見せたいのは、大きな左室に血液が多く残ること、安静時の拍出は残ること、左房圧が高めになることです。一方、RVや流入波形まで典型的なHFrEF像を必ず示すとは限りません。以下では、意図した特徴と実際に観測した値を分けます。

回路・圧の位置と読み方

四心腔と11の主循環血管区画に、16の冠血管区画を接続します。各区画は血液を蓄える場所で、接続部が流れにくさを表します。名前は代表する領域を示すもので、カテーテル先端の正確な位置を指定するものではありません。中隔は心筋壁であり、血液を蓄えるnodeではありません。

体循環

  1. 左室 (LV)
  2. 近位大動脈 (Ao)
  3. 体動脈 (SA)
  4. 体抵抗血管側 (Art)
  5. 体毛細管 (Cap)
  6. 体静脈 (SV)
  7. 大静脈 (VC)
  8. 右房 (RA)

肺循環

  1. 右室 (RV)
  2. 近位肺動脈 (PA)
  3. 肺抵抗血管側 (PArt)
  4. 肺毛細管 (PCap)
  5. 肺細静脈側 (PVen)
  6. 肺静脈・左房流入口側 (PVein)
  7. 左房 (LA)
左房 —MV→ 左室、右房 —TV→ 右室で閉じた回路になります。矢印は流量の正方向です。逆流を許す接続では、負の流量も体積収支に含めます。冠循環はAoから分岐し、RAへ戻ります。

Ao・SA・Artを分けることで、近位の血液貯留と末梢へ向かう圧低下を別々に扱います。ただし、区画の間を脈波が伝わる時間や反射は表していません。SVは主な静脈貯留部、VCは胸腔圧の影響を受ける右房直前の区画です。肺側では、PCapに肺胞圧、PVen・PVeinに胸腔圧を作用させ、左房までの貯留と流入抵抗を分けています。この分割は、各血管を解剖学的に一本ずつ再現するためではありません。

主循環の全区画:役割と圧の基準
区画圧を決める関係外圧表示との対応
左室 (LV)心筋・形状の釣り合いPth+PperiP_{\mathrm{th}}+P_{\mathrm{peri}}LVP
左房 (LA)心筋・形状の釣り合いPth+PperiP_{\mathrm{th}}+P_{\mathrm{peri}}LAP
右室 (RV)心筋・形状の釣り合いPth+PperiP_{\mathrm{th}}+P_{\mathrm{peri}}RVP
右房 (RA)心筋・形状の釣り合いPth+PperiP_{\mathrm{th}}+P_{\mathrm{peri}}RAP / CVP
近位大動脈 (Ao)動脈の指数則0(基準圧)AoP
体動脈 (SA)動脈の指数則0(基準圧)ABP
体抵抗血管側 (Art)動脈の指数則0(基準圧)
体毛細管 (Cap)線形容量則0(基準圧)
体静脈 (SV)静脈型の非線形容量則0(基準圧)
大静脈 (VC)静脈型の非線形容量則PthP_{\mathrm{th}}
近位肺動脈 (PA)動脈の指数則PthP_{\mathrm{th}}PAP
肺抵抗血管側 (PArt)動脈の指数則PthP_{\mathrm{th}}
肺毛細管 (PCap)静脈型の非線形容量則PalvP_{\mathrm{alv}}
肺細静脈側 (PVen)静脈型の非線形容量則PthP_{\mathrm{th}}
肺静脈・左房流入口側 (PVein)静脈型の非線形容量則PthP_{\mathrm{th}}

AoP・PAPはAo・PA区画の内圧で、表示の段階でZcQを足しません。ABPはSAの代表圧で、上腕カフ圧の再現ではありません。CVPは平均右房圧、PCWPは平均左房圧を代用する表示であり、肺毛細管楔入の手技は計算していません。PV loopは心室経壁圧を使います。

V˙i=jNijQj,Nij={+1j enters i1j leaves i0otherwise,i=131Vi=TBV\dot V_i=\sum_j N_{ij}Q_j,\qquad N_{ij}=\begin{cases}+1&j\text{ enters }i\\-1&j\text{ leaves }i\\0&\text{otherwise}\end{cases},\qquad\sum_{i=1}^{31}V_i=TBV

接続行列Nは下の接続表から組み立てられます。どの接続も一方から出た量が他方へ入るため、閉回路全体では血液量が保存されます。心筋体積・心嚢液量はこの合計とは別です。TBVを変更しない限り、圧や拍出量を合わせるための血液の追加・削除は行いません。

モデルのしくみ

心筋が張力を生み、心室形状と釣り合う圧が血液を動かします。波形を直接指定するモデルではありません。共通の構成則と、この症例で使う係数を併記します。

興奮とCa:収縮のきっかけ

心房・心室が興奮すると、細胞内のCa濃度が一過性に上昇します。このCaの変化を入力として、筋原線維の張力を計算します。

数式・仮定を詳しく

baselineは規則的な洞調律です。心房の興奮と、遅れて起こる心室の興奮を扱います。心室では二つの指数関数を組み合わせてCa波形を定め、心房には別の設定を使います。細胞内のCa輸送や活動電位の全過程は解きません。前の拍の成分が残るため、Ca₀と実際の1拍の最低Ca濃度は異なります。

x˙r=xr/τr,x˙d=xd/τd,[Ca]=Ca0+g(xdxr)\dot x_r=-x_r/\tau_r,\quad \dot x_d=-x_d/\tau_d,\qquad [Ca]=\mathrm{Ca}_0+g(x_d-x_r)

時定数が異なる場合の式です。興奮時に二つの状態変数へ同じ量を加えます。速く減る成分と遅く減る成分の差によって、Caが立ち上がり、その後低下します。

xr,  xdx_r,\;x_d
Ca波形を作る無次元の状態変数
τr,  τd\tau_r,\;\tau_d
各成分が減衰する時定数(s)
Ca0,  g\mathrm{Ca}_0,\;g
興奮が長く途絶えたときのCa濃度と、波形の振幅係数(µM)

興奮時刻・状態の更新

時間の単位はsです。規則的洞調律では、心房興奮の間隔T=60/HR、心室興奮はその120 ms後(房室伝導80 ms+遠位伝導40 ms)です。各心房・心室のCaへの入力は、対応する興奮の12 ms後に加えます。各壁は独立した二つのCa状態を持ちます。

qは興奮ごとの入力強度です。baselineでは両心房・三つの心室壁ともq=1です。イベント間は指数関数で厳密に減衰し、イベント直後に両状態へqを加えます。下式の周期解は規則的なq=1の場合で、心腔容積やLand状態の初期値を定めるものではありません。

tA,k=tA,0+kT,tV,k=tA,k+0.120,tCa,w,k=tA or V,k+0.012t_{A,k}=t_{A,0}+kT,\quad t_{V,k}=t_{A,k}+0.120,\quad t_{Ca,w,k}=t_{A\text{ or }V,k}+0.012
xj(t+Δt)=xj(t)eΔt/τj,xj(tk+)=xj(tk)+qk(j=r,d)x_j(t+\Delta t)=x_j(t)e^{-\Delta t/\tau_j},\quad x_j(t_k^+)=x_j(t_k^-)+q_k\quad(j=r,d)
xj(tk+)=11eT/τj(periodic, qk=1)x_j(t_k^+)=\frac{1}{1-e^{-T/\tau_j}}\quad\text{(periodic, }q_k=1\text{)}

心拍間隔とCa入力強度

心室には拍間隔依存の離散的な負荷状態Lを持たせます。Iは直前の心室興奮からの間隔、aは回復割合、qは次のCa入力強度です。LはSR負荷を規格化した量で、実測のSR内Ca濃度ではありません。係数と規則的洞調律での基準状態は下の表に示します。基準心拍数に対応するL・aとq=1が固定点を作ります。

ここで記載する起動条件は規則的洞調律・補助循環なしです。異所性刺激・ペーシング・補助循環装置を有効にした場合の全モードは、このbaselineの方程式系には含めません。

ak=1eIk/τrec,qk=akβLk,Lk+1=Lk(1r)qk+γ(1hak)a_k=1-e^{-I_k/\tau_{\mathrm{rec}}},\quad q_k=a_k\beta L_k,\qquad L_{k+1}=L_k-(1-r)q_k+\gamma(1-ha_k)
Ca源の採用係数
τr\tau_r (s)τd\tau_d (s)Ca0\mathrm{Ca}_0 (µM)g (µM)
左房 (LA)0.01250.30.06315457068130.604696429446
左室自由壁 (LVFW)0.118536374220.1317070824670.12070615927212.0780349398
心室中隔 (SEP)0.118536374220.1317070824670.12070615927212.0780349398
右室自由壁 (RVFW)0.118536374220.1317070824670.12070615927212.0780349398
右房 (RA)0.01250.30.06315457068130.604696429446
拍間隔依存の係数と基準状態
記号・意味採用値
τrec (s)0.5
β0.8
r0.5
h0.2
γ0.598072916413
TrefT_{\mathrm{ref}} (s)0.857142857143
aref0.819907687852
Lref1.52456187266

筋原線維:Caから張力へ

アクチンとミオシンが結びつくクロスブリッジの割合と、その歪みから能動張力を計算します。同じCa濃度でも、心筋の長さや短縮速度、過去に受けた負荷によって力が変わります。

数式・仮定を詳しく

Landら(2017)の収縮モデルを基礎に、心室の張力係数・Ca感受性・結合速度を調整しています。さらに、Ca結合が低下したときに強結合の余剰分を非結合状態へ戻す項を加えました。各状態の割合の合計は保ちますが、追加した機構の生理的妥当性には別途検証が必要です。

Ta=h(λ)Trefrs[S(1+ζs)+Wζw]T_a=\frac{h(\lambda)T_{\mathrm{ref}}}{r_s}\left[S(1+\zeta_s)+W\zeta_w\right]

Land由来の能動線維応力の出力式(Pa)。W/Sは弱・強結合の割合、ζは歪み、hは長さ依存係数。心腔圧そのものではありません。

Ta,  TrefT_a,\;T_{\mathrm{ref}}
能動線維応力と、その大きさを決める係数(Pa)
λ,  h(λ)\lambda,\;h(\lambda)
線維の長さ/基準長と、長さ依存の補正係数(無次元)
W,  S,  rsW,\;S,\;r_s
弱結合・強結合の割合と、基準の強結合割合(無次元)
ζw,  ζs\zeta_w,\;\zeta_s
結合したクロスブリッジの歪み(無次元)。短縮速度と過去の変形に依存
Jexit=kmax(θnθn+cn)pmax(SrW,0),S˙exit=Jexit,U˙exit=JexitJ_{\mathrm{exit}}=k_{\mathrm{max}}\left(\frac{\theta^n}{\theta^n+c^n}\right)^p\max(S-rW,0),\quad \dot S|_{\mathrm{exit}}=-J_{\mathrm{exit}},\quad \dot U|_{\mathrm{exit}}=J_{\mathrm{exit}}

追加した強結合離脱の式。cはCaが結合したトロポニンの割合、θはその基準値、nとpは感受性を決める指数です。kmaxは最大離脱速度(s⁻¹)、r=kws/ksuは歪みゼロでの強/弱結合比、Uは非結合割合です。SがrWを超えた分だけを移します。

六つの状態と保存条件

各壁でc=Ca結合トロポニンの割合、b=結合が阻害された割合、W=弱結合、S=強結合、ζw・ζs=架橋の歪みを持ちます。結合可能な非結合割合Uは独立状態ではなく、U=1−b−W−Sです。0<c≤1、b・U・W・S≥0を満たす解を使います。bは血管・弁の二次抵抗係数とは別の記号です。

Caは自由Ca濃度(µM)、λはLandに入力する伸長比です。gwu・gsuは歪みに伴う離脱速度(s⁻¹)です。Jexitは上で示した追加離脱項で、心室壁に適用します。心房ではJexit=0です。離脱した割合はUへ戻ります。

c˙=kTRPN{(Ca/Ca50)nTRPN(1c)c},b˙=kbmin(cnTm/2,100)UkucnTm/2b,W˙=kuwU(kwu+kws+gwu)W,S˙=kwsW(ksu+gsu)SJexit,ζ˙w=Awλ˙cwζw,ζ˙s=Asλ˙csζs.\begin{aligned}\dot c&=k_{\mathrm{TRPN}}\{(\mathrm{Ca}/\mathrm{Ca}_{50})^{n_{\mathrm{TRPN}}}(1-c)-c\},\\\dot b&=k_b\min(c^{-n_{\mathrm{Tm}}/2},100)U-k_u c^{n_{\mathrm{Tm}}/2}b,\\\dot W&=k_{\mathrm{uw}}U-(k_{\mathrm{wu}}+k_{\mathrm{ws}}+g_{\mathrm{wu}})W,\\\dot S&=k_{\mathrm{ws}}W-(k_{\mathrm{su}}+g_{\mathrm{su}})S-J_{\mathrm{exit}},\\\dot\zeta_w&=A_w\dot\lambda-c_w\zeta_w,\qquad\dot\zeta_s=A_s\dot\lambda-c_s\zeta_s.\end{aligned}
λc=min(λ,1.2),Ca50=Ca50,ref+β1(λc1),h(λ)=max{0,1+β0[λc+min(λc,0.87)1.87]},gwu=γwζw,gsu=γsmax(ζs1,ζs,0).\begin{aligned}\lambda_c&=\min(\lambda,1.2),\\\mathrm{Ca}_{50}&=\mathrm{Ca}_{50,\mathrm{ref}}+\beta_1(\lambda_c-1),\\h(\lambda)&=\max\{0,1+\beta_0[\lambda_c+\min(\lambda_c,0.87)-1.87]\},\\g_{\mathrm{wu}}&=\gamma_w|\zeta_w|,\quad g_{\mathrm{su}}=\gamma_s\max(-\zeta_s-1,\zeta_s,0).\end{aligned}

派生係数と心臓壁への結合

表に示す独立係数から、以下の係数を計算します。rₛ・r𝓌は基準結合割合、θ=TRPN50です。k・cの単位はs⁻¹、Aは無次元です。Ca50が正でない場合は有効な材料条件ではありません。長さ依存をλ=1.2で飽和させる処理と、トロポニン項の上限100も採用した式の一部です。

形状の対数歪みをeとするとλ=s₀ exp(e)。s₀は筋長基準の倍率で、baselineは全壁で1です。短縮速度には(λn+1−λn)/Δtを使います。Landの出力Tₐをλ・線維配向割合fo・活動割合faで変換し、Kirchhoff応力として受動・粘弾性応力に加えます。fo=fa=1です。心室の収縮力倍率はTrefだけに、受動倍率は受動応力と粘弾性弾性率に掛かります。

kb=kuθnTm(1rs)(1rw),kwu=kuw(1/rw1)kws,ksu=kwsrw(1/rs1),Aw=As=Aeffrs(1rs)rw+rs,cw=ϕkuw(1rw)rw,cs=ϕkws(1rs)rwrs,τf=λfofaTa+τpass+τvis.\begin{aligned}k_b&=\frac{k_u\theta^{n_{\mathrm{Tm}}}}{(1-r_s)(1-r_w)},\quad k_{\mathrm{wu}}=k_{\mathrm{uw}}(1/r_w-1)-k_{\mathrm{ws}},\\k_{\mathrm{su}}&=k_{\mathrm{ws}}r_w(1/r_s-1),\quad A_w=A_s=\frac{A_{\mathrm{eff}}r_s}{(1-r_s)r_w+r_s},\\c_w&=\frac{\phi k_{\mathrm{uw}}(1-r_w)}{r_w},\quad c_s=\frac{\phi k_{\mathrm{ws}}(1-r_s)r_w}{r_s},\\\tau_f&=\lambda f_o f_aT_a+\tau_{\mathrm{pass}}+\tau_{\mathrm{vis}}.\end{aligned}

以下は数理モデルの基準係数です。能動倍率は壁ごとのTrefに適用します。有効値は受動・粘弾性の節の表にも示しています。

Land独立係数:心室と心房
記号・意味心室三壁両心房単位
kTRPNk_{\mathrm{TRPN}}トロポニン結合速度100100s⁻¹
nTRPNn_{\mathrm{TRPN}}Ca結合の指数221
Ca50,ref\mathrm{Ca}_{50,\mathrm{ref}}Ca感受性0.60.86µM
kuk_u薄いフィラメントの活性化速度10001000s⁻¹
nTmn_{\mathrm{Tm}}薄いフィラメントの指数551
θ\theta基準結合割合0.350.351
kuwk_{\mathrm{uw}}非結合→弱結合104182s⁻¹
kwsk_{\mathrm{ws}}弱結合→強結合4.836s⁻¹
rwr_w基準弱結合割合0.50.51
rsr_s基準強結合割合0.250.251
γs\gamma_s強結合の歪み依存離脱8.58.5s⁻¹
γw\gamma_w弱結合の歪み依存離脱615615s⁻¹
ϕ\phi歪み緩和倍率2.232.231
AeffA_{\mathrm{eff}}速度感受性26.5251
β0\beta_0張力の長さ依存2.32.31
β1\beta_1Ca感受性の長さ依存-1.2-2.4µM
TrefT_{\mathrm{ref}}張力係数238816.54628111661.1510106Pa
TT実験温度(速度の可変係数ではない)310.15310.15K
式から定まるLand派生係数
心室心房
kbk_b14.005833333314.0058333333
AwA_w10.610
AsA_s10.610
kwuk_{\mathrm{wu}}99.2146
ksuk_{\mathrm{su}}7.254
cwc_w231.92405.86
csc_s16.056120.42

心室の追加離脱:kmax=60 s⁻¹、p=16。心房は追加離脱なしです。原著値との比較・調整の来歴は「baselineの設定」に掲載しています。これらは同一被験者から独立に測定された材料定数ではありません。

Land et al. 2017

受動特性:伸びにくさと変形の履歴

拡張期の圧には、心筋が伸ばされたときの抵抗と、時間をかけて緩む粘弾性が関わります。これらを能動張力に加えて、心臓壁に働く応力を求めます。

数式・仮定を詳しく

心室の受動応力は、伸びに対して増加する弾性エネルギーから求めます。心房には別の受動則を使います。粘弾性は、変形の履歴を一つの変数で持つMaxwell要素で表します。心室の受動則はKlotzの心室全体のEDPVRを参考にした設計であり、個々の心筋の物性を直接測定した値ではありません。

e=lnλg,τpass=dΨde,τvis=Ev(eα),α˙=eατve=\ln\lambda_g,\quad \tau_{\mathrm{pass}}=\frac{d\Psi}{de},\quad \tau_{\mathrm{vis}}=E_v(e-\alpha),\quad \dot\alpha=\frac{e-\alpha}{\tau_v}

受動・粘弾性部分の関係式です。能動部分はLandの応力に線維伸長比と配向・活動割合を掛け、同じ応力基準に変換して加えます。

λg,  e,  α\lambda_g,\;e,\;\alpha
形状から求めた伸長比、その対数歪み、粘性部分の歪み(無次元)
Ψ,  τpass,  τvis\Psi,\;\tau_{\mathrm{pass}},\;\tau_{\mathrm{vis}}
弾性エネルギー密度(J/m³)と、受動・粘性のKirchhoff応力(Pa)
Ev,  τvE_v,\;\tau_v
粘弾性の弾性率(Pa)と材料の緩和時間(s)。LVPから測る弛緩時定数τとは別

心室の弾性エネルギー

e=ln λg、p=Hδ(e)、q=Hδ(−e)とします。K0は原点付近の弾性率、Kt・aは伸張時の指数的な硬化、Kcは圧縮側の追加弾性率です。Hδは正の歪みだけを滑らかに取り出す関数で、u=z/δです。心室三壁には同じ式を使い、エネルギーとその微分に各壁の受動倍率sₚ,wを掛けます。倍率はbaselineの設定表に示します。

Hδ(z)={0z0δ(u312u4)0<z<δzδ/2zδH_\delta(z)=\begin{cases}0&z\le0\\\delta(u^3-\tfrac12u^4)&0<z<\delta\\z-\delta/2&z\ge\delta\end{cases}
Ψ(e)=12K0e2+Kta2(eap1ap)+12Kcq2,τpass=sp,wdΨde\Psi(e)=\tfrac12K_0e^2+\frac{K_t}{a^2}(e^{ap}-1-ap)+\tfrac12K_cq^2,\qquad \tau_{\mathrm{pass}}=s_{p,w}\,\frac{d\Psi}{de}

心房の受動則と粘弾性

心房は等二軸変形に縮約した別の材料則を使います。下式のsₚ,wは各壁の受動倍率です。λg=exp(e)、C1・C2・C3はPa、C4は無次元です。線維項は伸張側のみ働きます。対応するエネルギーはΨ(e)=∫₀ᵉτpass(s)dsで定まります。支持する歪み範囲は−0.5≤e≤0.5です。左房由来の材料を右房にも適用する点は外挿です。

全壁の粘弾性は1状態のMaxwell枝です。αは粘性歪み、Evは弾性率、τvは緩和時間です。下式は採用している後退Euler更新で、各力学ステップにつき1回適用します。Evの表は受動倍率を適用済みです。

τpass=sp,w[4C1(λg2λg4)+4C2(λg4λg2)+{C3(eC4(λg1)1)e>00e0]\tau_{\mathrm{pass}}=s_{p,w}\left[4C_1(\lambda_g^2-\lambda_g^{-4})+4C_2(\lambda_g^4-\lambda_g^{-2})+\begin{cases}C_3(e^{C_4(\lambda_g-1)}-1)&e>0\\0&e\le0\end{cases}\right]
αn+1=αn+(Δt/τv)en+11+Δt/τv,τvis,n+1=Ev(en+1αn+1)\alpha_{n+1}=\frac{\alpha_n+(\Delta t/\tau_v)e_{n+1}}{1+\Delta t/\tau_v},\qquad \tau_{vis,n+1}=E_v(e_{n+1}-\alpha_{n+1})
受動則の基準係数(壁ごとの倍率は別途適用)
記号・意味採用値
K0K_0 (Pa)1200
KtK_t (Pa)22345.9396953
a18
KcK_c (Pa)0
δ0.001
C1C_1 (Pa)1650
C2C_2 (Pa)0
C3C_3 (Pa)15
C4C_413.37
各壁の倍率と有効材料係数
能動倍率受動倍率TrefT_{\mathrm{ref}} (Pa)EvE_v (Pa)τv\tau_v (s)
左房 (LA)1111661.151010659470.3
左室自由壁 (LVFW)0.351.0483585.791198519307.60.3
心室中隔 (SEP)0.351.0483585.791198519307.60.3
右室自由壁 (RVFW)11.04238816.54628119307.60.3
右房 (RA)1111661.151010659470.3

粘弾性の0.3 s枝は健康羊RV組織のProny係数を参考に各材料へ縮約した設計値で、ヒトの全壁で同定された値ではありません。 Acta Biomaterialia 2022

Klotz et al. 2006心室全体のEDPVRの参照。採用した心筋の受動則そのものの出典ではありません。

Moyer et al. 2015心房受動材料の出発点。ここでは等二軸変形に縮約して使います。

心房・心室:張力から圧へ

左室自由壁・中隔・右室自由壁を結合し、左右の心室が中隔を介して影響し合います。これに左右心房を加えた五壁構成です。圧は決め打ちの時間波形ではなく、壁応力と形状の釣り合いから求まります。

数式・仮定を詳しく

左室自由壁・中隔・右室自由壁を、共通の円で接する三つの球冠として表します。これがTriSegの形状近似です。患者の3D画像を再現するものではなく、局所的な壁応力やねじれは扱いません。PV loopの縦軸は経壁圧、圧波形の縦軸は心腔内圧です。心膜圧や胸腔圧が変わると、両者の差も変わります。

δW=wVm,wτf,wδlnλw,Pcavity=Ptm+Pext\delta W=\sum_w V_{\mathrm{m},w}\tau_{\mathrm{f},w}\,\delta\ln\lambda_w,\qquad P_{\mathrm{cavity}}=P_{\mathrm{tm}}+P_{\mathrm{ext}}

壁をわずかに変形させたときの仕事と、内外の圧の関係です。壁の仕事と心腔の圧–体積仕事を対応させて圧を求め、中隔位置と接合円半径についても力の釣り合いを解きます。

δW,  Vm,w\delta W,\;V_{\mathrm{m},w}
仮想的な微小変形に伴う仕事(J)と、壁wの心筋体積(m³)
τf,w,  λw\tau_{\mathrm{f},w},\;\lambda_w
各壁のKirchhoff線維応力(Pa)と、形状から決まる伸長比。ここでの応力を表すτは、LVPから測る弛緩時定数とは別の量
Pcavity,  Ptm,  PextP_{\mathrm{cavity}},\;P_{\mathrm{tm}},\;P_{\mathrm{ext}}
心腔内圧、壁を内側から広げる経壁圧、壁の外側にかかる圧。同じ単位で加算
LVRVSEPy接合円の断面右室方向 +
三つの壁が同じ円で接する球冠近似の模式図です。断面形状や壁厚の実測図ではありません。hは接合面から各球冠頂点までの符号付き高さです。

三つの球冠と心筋長

以下の力学式はm・m²・m³・PaのSI単位で書きます。VL・VRは心腔血液量、Mwは各壁の心筋体積、vSは中隔の符号付き球冠体積、y>0は三壁が接する円の半径です。心筋体積MはTBVには含めません。球冠高さhは右室方向を正とし、左室自由壁では通常負になります。

各壁wについて球冠体積vwからhを求め、面積Aw・曲率κw・厚さ補正zwを計算します。Aref,wは基準中壁面積です。ここでのzwはLandの架橋歪みζとは別物です。形状から得たewを材料則へ入力します。

vL=VL12(ML+MS)+vS,vR=VR+12(MR+MS)+vSv_L=-V_L-\tfrac12(M_L+M_S)+v_S,\qquad v_R=V_R+\tfrac12(M_R+M_S)+v_S
vw=πhw(hw2+3y2)6,Aw=π(hw2+y2),κw=2hwhw2+y2v_w=\frac{\pi h_w(h_w^2+3y^2)}6,\quad A_w=\pi(h_w^2+y^2),\quad\kappa_w=\frac{2h_w}{h_w^2+y^2}
zw=3κwMw2Aw,ew=12lnAwAref,wzw2120.019zw4z_w=\frac{3\kappa_wM_w}{2A_w},\qquad e_w=\frac12\ln\frac{A_w}{A_{\mathrm{ref},w}}-\frac{z_w^2}{12}-0.019z_w^4

内部の釣り合いと圧の決定

Fは球冠体積方向、Gは接合円半径方向の一般化力です。各壁の応力は材料状態と候補形状から求め、その時点の応力を掛けて歪みの幾何学微分を計算します。これを『能動応力がポテンシャルから生じる』と仮定して微分するわけではありません。

心腔容積を与え、三壁の力が釣り合うvS・yを連立して求めます。その解からLV・RV経壁圧が定まります。両心房には球状の一線維近似を使い、Vrefは表の基準心腔血液量です。圧に任意の時間波形や追加の壁別圧倍率を掛けません。

Fw=Mwτf,wewvwy,Gw=Mwτf,wewyvwF_w=M_w\tau_{\mathrm{f},w}\left.\frac{\partial e_w}{\partial v_w}\right|_y,\qquad G_w=M_w\tau_{\mathrm{f},w}\left.\frac{\partial e_w}{\partial y}\right|_{v_w}
FL+FS+FR=0,GL+GS+GR=0,Ptm,L=FL,Ptm,R=FRF_L+F_S+F_R=0,\quad G_L+G_S+G_R=0,\qquad P_{\mathrm{tm},L}=-F_L,\quad P_{\mathrm{tm},R}=F_R
eA=13lnVA+MA/2Vref,A+MA/2,Ptm,A=MAτf,A3(VA+MA/2)e_A=\frac13\ln\frac{V_A+M_A/2}{V_{\mathrm{ref},A}+M_A/2},\qquad P_{\mathrm{tm},A}=\frac{M_A\tau_{\mathrm{f},A}}{3(V_A+M_A/2)}

胸腔圧・心膜圧の加算

心膜内を占める容積VHは、四心腔の血液量+五壁の心筋体積+処方した心嚢液量です。冠血液量をここへもう一度加える処理はありません。四心腔に同じ心膜外圧を加えます。V0は基準容量、P*は圧係数、kは硬化係数です。

Hは心膜が張り始める領域を滑らかにした関数です。δ=0.001、u=(x+δ)/(2δ)とします。H′はxでの微分です。baselineでは圧オフセット0、心嚢液0 mL、胸腔・肺胞の呼吸振幅0です。心膜の張りがなければ、心腔内圧と経壁圧は一致します。

VH=c=LA,LV,RA,RVVc+wMw+Vfluid,x=(VHV0)/V0V_H=\sum_{c=LA,LV,RA,RV}V_c+\sum_w M_w+V_{\mathrm{fluid}},\quad x=(V_H-V_0)/V_0
H(x)={0xδδ(2u3u4)x<δxxδH(x)=\begin{cases}0&x\le-\delta\\\delta(2u^3-u^4)&|x|<\delta\\x&x\ge\delta\end{cases}
Pperi=Poffset+P[ekH(x)1]H(x),Pc=Ptm,c+Pth+PperiP_{peri}=P_{\mathrm{offset}}+P_*[e^{kH(x)}-1]H'(x),\qquad P_c=P_{\mathrm{tm},c}+P_{\mathrm{th}}+P_{peri}
心室壁の形状定数
M (m³)ArefA_{\mathrm{ref}} (m²)
左室自由壁 (LVFW)0.00008384429580080.0107575058279
心室中隔 (SEP)0.00004471695776040.00455984429148
右室自由壁 (RVFW)0.00003608736942070.012911294586
心房の形状定数
M (mL)VrefV_{\mathrm{ref}} (mL)
左房 (LA)25.982905982922.8900425619
右房 (RA)23.399810066532.5968711181
心膜の係数
記号・意味採用値
V0V_0 (m³)0.000600126542735
PP_* (Pa)500
k8
PoffsetP_{\mathrm{offset}} (Pa)0
VfluidV_{\mathrm{fluid}} (m³)0

BSA 1.9 m²、心筋密度1053 kg/m³。LV自由壁・中隔は基準面積を1.15倍、心筋体積を1.25倍にした固定構成です。右室自由壁・心房は共通です。これは経時的なリモデリングや、特定患者の画像計測を再現したものではありません。実際の壁体積を心膜内占有量に含めますが、心膜袋の容量・硬さ・液量は変えていません。

Lumens et al. 2009 · TriSeg三つの壁の形状近似の基礎です。心筋の構成則や圧への変換は本モデルの実装に従い、原著モデル全体の再現とは区別します。

四弁:圧差から流れへ

僧帽弁・大動脈弁・三尖弁・肺動脈弁は、共通の開口・圧損失の構造を使います。面積や逆流口の設定は弁ごとに異なります。

数式・仮定を詳しく

各時刻の流量は圧差から代数的に求め、流量そのものの慣性は持たせません。弁尖の開口割合は過去の状態を引き継ぎ、0〜1の範囲で変わります。有効開口面積(EOA)には縮流の影響を含めるため、流出係数Cdを別に掛けません。弁通過後の圧回復は組み込んでいません。この圧差を、Dopplerのジェット速度から求める勾配や、異なる時刻の圧ピーク同士の差と読み替えることはできません。

ΔP=RQ+B(A)QQ,B(A)ρ/A2\Delta P=R Q+B(A)Q|Q|,\qquad B(A)\propto \rho/A^2

弁を通る流れがある場合の式です。Qと面積Aの単位換算は係数に含めます。完全閉鎖時は、圧差が残っていてもQ=0となる閉鎖条件を別に適用します。

ΔP,  Q\Delta P,\;Q
弁前後の同時圧差(mmHg)と流量(mL/s)。順行を正とする
A,  ρA,\;\rho
その時点の有効開口面積と血液密度。面積は最大面積と開口割合から求める
R,  BR,\;B
線形抵抗(mmHg·s/mL)と二次損失係数(mmHg·s²/mL²)

開口状態の時間発展

ξは開口割合(0〜1)、ΔPは上流圧−下流圧です。dは不感帯、pₒは圧オフセット(baselineは四弁とも0 mmHg)、kₒは開口感度です。Fεは正の開口駆動を滑らかにした関数で、ε=0.1 mmHgです。ξ∞が直前のξより大きければ開口時定数、それ以外は閉鎖時定数を使います。

Fϵ(z)={0z0z2/(2ϵ)0<z<ϵzϵ/2zϵ,ξ=1ekoFϵ(ΔPdpo)F_\epsilon(z)=\begin{cases}0&z\le0\\z^2/(2\epsilon)&0<z<\epsilon\\z-\epsilon/2&z\ge\epsilon\end{cases},\quad \xi_\infty=1-e^{-k_oF_\epsilon(\Delta P-d-p_o)}
ξ˙=ξξτξ,ξn+1=ξn+(Δt/τξ)ξ(ΔPn+1)1+Δt/τξ\dot\xi=\frac{\xi_\infty-\xi}{\tau_\xi},\qquad \xi_{n+1}=\frac{\xi_n+(\Delta t/\tau_\xi)\xi_\infty(\Delta P_{n+1})}{1+\Delta t/\tau_\xi}

面積・方向・完全閉鎖

Amaxは最大順行EOA、Arは閉鎖時の逆流EOAです。順行では残存開口Arにξで開く部分を加え、逆行ではξによらずArだけを使います。従ってArを増やすと、逆行だけでなく閉鎖近くの順行流も変わります。baselineは全弁Ar=0です。

QはmL/s、Aはcm²、圧はmmHg、ρ=1060 kg/m³、cP=133.322387415 Pa/mmHgです。面積が0ならQ=0とし、残る圧差を閉鎖支持反力として扱います。小さな面積の下限や流量の平滑化は置きません。Rは面積に応じて再スケールしません。

A={Ar+ξ(AmaxAr)ΔP0ArΔP<0,B(A)=ρ2cP(106104A)2A=\begin{cases}A_r+\xi(A_{\mathrm{max}}-A_r)&\Delta P\ge0\\A_r&\Delta P<0\end{cases},\quad B(A)=\frac{\rho}{2c_P}\left(\frac{10^{-6}}{10^{-4}A}\right)^2
Q={0A=0 or ΔP=0sgn(ΔP)2ΔPR+R2+4B(A)ΔPotherwiseQ=\begin{cases}0&A=0\text{ or }\Delta P=0\\\operatorname{sgn}(\Delta P)\frac{2|\Delta P|}{R+\sqrt{R^2+4B(A)|\Delta P|}}&\text{otherwise}\end{cases}
四弁の全係数(L=0)
R (mmHg·s/mL)AmaxA_{\mathrm{max}} (cm²)ArA_r (cm²)kok_o (mmHg⁻¹)d (mmHg)τopen\tau_{\mathrm{open}} (s)τclose\tau_{\mathrm{close}} (s)
MV0.00275.5020.60.0240.016
AV0.00153.50300.0060.008
TV0.003580200.0180.01
PV0.00540200.010.006

血管:蓄える・流す

血管のコンプライアンスは血液を蓄える性質、抵抗は流れにくさを表します。体循環と肺循環を閉じた回路として結び、各部の体積と圧を同時に求めます。

数式・仮定を詳しく

大動脈と肺動脈の近位部では、流体の慣性係数Lを0としています。AoPとPAPには、それぞれの血管区画の圧を表示します。特性インピーダンスと流量の積(ZcQ)を表示時に足す処理はありません。SAは下流の体動脈をまとめた区画です。圧波の伝播や反射を解かないため、カフや特定の動脈ライン位置の波形とは区別します。

dVidt=Qin,iQout,i,Ci(Ptm)=dVidPtm,i\frac{dV_i}{dt}=\sum Q_{\mathrm{in},i}-\sum Q_{\mathrm{out},i},\qquad C_i(P_{\mathrm{tm}})=\frac{dV_i}{dP_{\mathrm{tm},i}}

体積保存とコンプライアンスの定義。静脈を含む圧–体積関係は必ずしも一定Cの直線ではありません。

Vi,  Qin,  QoutV_i,\;Q_{\mathrm{in}},\;Q_{\mathrm{out}}
区画iの血液量(mL)と、流入・流出量(mL/s)
Ci,  Ptm,iC_i,\;P_{\mathrm{tm},i}
圧に応じたコンプライアンス(mL/mmHg)と、血管の経壁圧(mmHg)

血管区画の圧–容量関係

圧はmmHg、容積はmL、流量はmL/sです。Pは内圧、p=P−Pextは経壁圧です。Vuはp=0での容量で、V−Vuをstressed volumeと呼びます。動脈のVsは表では硬さ・コンプライアンス倍率を適用した値です。Ao・SA・ArtはVs,元×0.65/1.42、PA・PArtはVs,元/1.42です。

静脈型区画は、虚脱時Cc・開通時Co・高圧伸展時Cdを滑らかに接続します。S(z)=ln(1+exp z)、σ(z)=1/(1+exp(−z))、ΔS(p;a,d)=S((p−a)/d)−S(−a/d)とします。静脈トーンuはVu=Vu,元−G uとして作用し、baselineのu=0.15を適用したVuを表に示します。

静脈の逆計算は−20〜45 mmHgに制限し、範囲外では端の圧を返します。動脈は(V−Vu)/Vsの下限をln(0.05)とします。これは正常範囲ではなく計算上の境界で、境界に達した結果を生理的な予測として外挿できません。コンプライアンス評価には下限10⁻⁴ mL/mmHgがありますが、V(p)自体を別の曲線に置き換える処理ではありません。

p=P0(emax[(VVu)/Vs,ln0.05]1)(arterial),p=(VVu)/C(linear)p=P_0\left(e^{\max[(V-V_u)/V_s,\ln0.05]}-1\right)\quad\text{(arterial)},\qquad p=(V-V_u)/C\quad\text{(linear)}
V(p)=Vu+Ccp+(CoCc)doΔS(p;po,do)(CoCd)dsΔS(p;ps,ds)V(p)=V_u+C_cp+(C_o-C_c)d_o\Delta S(p;p_o,d_o)-(C_o-C_d)d_s\Delta S(p;p_s,d_s)
dVdp=Cc+(CoCc)σ(ppodo)(CoCd)σ(ppsds)\frac{dV}{dp}=C_c+(C_o-C_c)\sigma\left(\frac{p-p_o}{d_o}\right)-(C_o-C_d)\sigma\left(\frac{p-p_s}{d_s}\right)
動脈・線形区画の有効係数
区画VuV_u (mL)P0P_0 (mmHg)VsV_s (mL)C (mL/mmHg)
近位大動脈 (Ao)05068.661971831
体動脈 (SA)050183.098591549
体抵抗血管側 (Art)04554.9295774648
体毛細管 (Cap)015
近位肺動脈 (PA)02042.2535211268
肺抵抗血管側 (PArt)02063.3802816901
静脈型区画の有効係数
区画VuV_u (mL)Cc/Co/CdC_c / C_o / C_d (mL/mmHg)po/psp_o / p_s (mmHg)do/dsd_o / d_s (mmHg)Vu,元 / G (mL)
体静脈 (SV)1538.40915 / 130 / 35-2 / 161.5 / 41653.909 / 770
大静脈 (VC)150.0915 / 45 / 12-1 / 121 / 3169.591 / 130
肺毛細管 (PCap)1051 / 2 / 10 / 141 / 3105 / 0
肺細静脈側 (PVen)1601.2 / 3 / 1.2-1 / 141 / 3160 / 0
肺静脈・左房流入口側 (PVein)2151.5 / 4 / 1.5-1 / 141 / 3215 / 0
主循環の接続と非弁抵抗(倍率適用済み)
接続:正方向R (mmHg·s/mL)倍率対象追加条件
左房 (LA) → 左室 (LV)四弁の表を参照弁の開口・方向則
左室 (LV) → 近位大動脈 (Ao)四弁の表を参照弁の開口・方向則
右房 (RA) → 右室 (RV)四弁の表を参照弁の開口・方向則
右室 (RV) → 近位肺動脈 (PA)四弁の表を参照弁の開口・方向則
近位大動脈 (Ao) → 体動脈 (SA)0.05581056体抵抗 ×1.2
体動脈 (SA) → 体抵抗血管側 (Art)0.089296896体抵抗 ×1.2
体抵抗血管側 (Art) → 体毛細管 (Cap)0.72553728体抵抗 ×1.2
体毛細管 (Cap) → 体静脈 (SV)0.15
体静脈 (SV) → 大静脈 (VC)0.05
大静脈 (VC) → 右房 (RA)0.04waterfall + χ (Pth)
近位肺動脈 (PA) → 肺抵抗血管側 (PArt)0.00625肺抵抗 ×0.625
肺抵抗血管側 (PArt) → 肺毛細管 (PCap)0.025肺抵抗 ×0.625
肺毛細管 (PCap) → 肺細静脈側 (PVen)0.03waterfall + χ (Palv)
肺細静脈側 (PVen) → 肺静脈・左房流入口側 (PVein)0.01
肺静脈・左房流入口側 (PVein) → 左房 (LA)0.03025

血管区画の係数と直列抵抗の配分は集中定数モデルの構成・校正値です。各値を特定のヒト血管部位で直接測った値と解釈しないでください。表のRへ操作倍率を重ねて掛ける必要はありません。

冠循環・外圧:心臓と循環の結合

冠動脈への流入と静脈への還流も全体の体積収支に含みます。心筋収縮による血管の圧迫が冠血流に影響し、心膜・胸腔圧は心腔や血管を外側から負荷します。

数式・仮定を詳しく

冠循環は、左前下行枝・回旋枝・右冠動脈の領域を、それぞれ心外膜側と心内膜側に分けます。血管の抵抗と容量に加え、心筋内圧による圧迫・虚脱と自己調節を扱います。一部の係数には、正常成人を想定した暫定値を使っています。baselineでは補助循環・弁逆流・呼吸性変動を加えていません。

AoArtC1C1C2C2CVRAR1RmR2心外膜側心内膜側
LAD・LCx・RCAそれぞれにこの分岐があり、CVだけを共有します。Art・CVには共通心外圧、C1・C2には各領域・層の心筋内圧が作用します。

冠血管の容量と抵抗

各領域(LAD・LCx・RCA)は1つの大動脈側容量Artを持ち、そこから心外膜側・心内膜側の2経路へ分かれます。各経路は近位容量C1と遠位容量C2を持ち、共通冠静脈容量CVへ合流して右房へ戻ります。C1・C2という名称は区画名で、コンプライアンスそのものの数値ではありません。合計16容量を主循環と重複なくTBVへ含めます。

全冠区画に以下の圧–容量関係を使います。v=V/Vref、m=4、n=2。CrefはV=Vrefでの接線コンプライアンスです。虚脱による抵抗倍率fには別の基準容量Vhを使うため、Vrefと混同しないでください。a=0.67、x=min(1,max(0,V/Vh))とします。

各枝の流量は両端圧差/有効抵抗です。R1には自己調節トーンθとC1の虚脱倍率、Rmには両区画の虚脱倍率の幾何平均、R2にはC2の虚脱倍率を掛けます。構造的な抵抗倍率はbaselineで1、局所狭窄による追加損失は0です。

p=P(vmvn),P=VrefCref(m+n),V>0p=P_*(v^m-v^{-n}),\quad P_*=\frac{V_{\mathrm{ref}}}{C_{\mathrm{ref}}(m+n)},\quad V>0
f(V)={a+(1a)x2(32x)}2f(V)=\{a+(1-a)x^2(3-2x)\}^{-2}
R1,eff=R1θf(VC1),Rm,eff=Rmf(VC1)f(VC2),R2,eff=R2f(VC2)R_{1,eff}=R_1\theta f(V_{C1}),\quad R_{\mathrm{m},eff}=R_m\sqrt{f(V_{C1})f(V_{C2})},\quad R_{2,eff}=R_2f(V_{C2})

心筋内圧と拍ごとの自己調節

ArtとCVの外圧は共通心外圧Pe=Pth+Pperi、C1とC2の外圧は心筋内圧PIMです。壁重みwL・wS・wR、層深さd、短縮圧係数Kは表を参照します。中隔の深さsはLAD/LCxでd、RCAで1−dです。eMVC,wは直前の僧帽弁閉鎖時に更新する各壁の歪み。Fは弁の節で定義した正部分関数で幅0.005です。

短縮の基準更新には、受理されたステップでMV順行流が1 mL/s超から1 mL/s以下へ変わったときの歪みを使います。更新した基準は次のステップから使います。これは画像上の弁尖接合時刻や、指標計算で補間した弁閉鎖時刻と同じ定義ではありません。

自己調節は各心周期を終えたときに更新し、その周期内ではトーンを保持します。Q̄mはRmを通る符号付き流量の周期平均、Qtargetは領域・層の安静目標です。ℓ=ln θ、Tは周期長、τa=25 s、θmin=4/45、θmax=2です。baselineでは需要倍率1・充血駆動0で、下式を使います。これは酸素需要から自律的に収縮力を変える機構ではありません。

PIM=Pe+(wLd+wSs)Ptm,L+[wRd+wS(1s)]Ptm,R+KwwwF0.005(1eeweMVC,w)P_{\mathrm{IM}}=P_e+(w_Ld+w_Ss)P_{\mathrm{tm},L}+[w_Rd+w_S(1-s)]P_{\mathrm{tm},R}+K\sum_w w_wF_{0.005}(1-e^{e_w-e_{\mathrm{MVC},w}})
Qˉm,k=1Tn in cycle kΔtnQm,n+1\bar Q_{\mathrm{m},k}=\frac{1}{T}\sum_{n\text{ in cycle }k}\Delta t_n Q_{m,n+1}
k+1=cliplnθmin,lnθmax[k+Tτalnmax(Qˉm,kQtarget,0.05)]\ell_{k+1}=\operatorname{clip}_{\ln\theta_{\mathrm{min}},\ln\theta_{\mathrm{max}}}\left[\ell_k+\frac{T}{\tau_a}\ln\max\left(\frac{\bar Q_{\mathrm{m},k}}{Q_{\mathrm{target}}},0.05\right)\right]
冠区画の圧–容量定数
区画VrefV_{\mathrm{ref}} (mL)CrefC_{\mathrm{ref}} (mL/mmHg)PP_* (mmHg)VhV_h (mL)
LAD 大動脈側容量 (Art)1.433910583980.00153221919053155.9731785161.53221919053
LAD 心外膜側 C10.481074522860.003095967391325.89791073660.496293624668
LAD 心外膜側 C20.2764290256570.09287902173910.4960377856430.496293624668
LAD 心内膜側 C10.481074522860.003095967391325.89791073660.496293624668
LAD 心内膜側 C20.2764290256570.09287902173910.4960377856430.496293624668
LCx 大動脈側容量 (Art)0.9432187491580.00100788562723155.9731785161.00788562723
LCx 心外膜側 C10.3164482602850.0020365108695725.89791073660.32645930444
LCx 心外膜側 C20.1818335415920.0610953260870.4960377856430.32645930444
LCx 心内膜側 C10.3164482602850.0020365108695725.89791073660.32645930444
LCx 心内膜側 C20.1818335415920.0610953260870.4960377856430.32645930444
RCA 大動脈側容量 (Art)1.010844310020.00108014758225155.9731785161.08014758225
RCA 心外膜側 C10.3391365190840.0021825217391325.89791073660.349865320892
RCA 心外膜側 C20.1948703851070.06547565217390.4960377856430.349865320892
RCA 心内膜側 C10.3391365190840.0021825217391325.89791073660.349865320892
RCA 心内膜側 C20.1948703851070.06547565217390.4960377856430.349865320892
共通冠静脈容量 (CV)4.129948287330.0980374927.02103552954.9018746
冠血管の全接続と基準抵抗(トーン・虚脱倍率を掛ける前)
接続:正方向R (mmHg·s/mL)
近位大動脈 (Ao) → LAD 大動脈側容量 (Art)20.749926765
LAD 大動脈側容量 (Art) → LAD 心外膜側 C158.0014068184
LAD 心外膜側 C1 → LAD 心外膜側 C235.7263939068
LAD 心外膜側 C2 → 共通冠静脈容量 (CV)11.9087979689
LAD 大動脈側容量 (Art) → LAD 心内膜側 C142.2821588661
LAD 心内膜側 C1 → LAD 心内膜側 C232.1859404566
LAD 心内膜側 C2 → 共通冠静脈容量 (CV)10.7286468189
近位大動脈 (Ao) → LCx 大動脈側容量 (Art)31.1248901474
LCx 大動脈側容量 (Art) → LCx 心外膜側 C194.8761406353
LCx 心外膜側 C1 → LCx 心外膜側 C253.5895908603
LCx 心外膜側 C2 → 共通冠静脈容量 (CV)17.8631969534
LCx 大動脈側容量 (Art) → LCx 心内膜側 C164.2296097205
LCx 心内膜側 C1 → LCx 心内膜側 C248.2789106849
LCx 心内膜側 C2 → 共通冠静脈容量 (CV)16.0929702283
近位大動脈 (Ao) → RCA 大動脈側容量 (Art)29.049897471
RCA 大動脈側容量 (Art) → RCA 心外膜側 C189.1455943902
RCA 心外膜側 C1 → RCA 心外膜側 C250.0169514696
RCA 心外膜側 C2 → 共通冠静脈容量 (CV)16.6723171565
RCA 大動脈側容量 (Art) → RCA 心内膜側 C174.0663831102
RCA 心内膜側 C1 → RCA 心内膜側 C245.0603166393
RCA 心内膜側 C2 → 共通冠静脈容量 (CV)15.0201055464
共通冠静脈容量 (CV) → 右房 (RA)2.44019138756
冠循環の結合重み・短縮圧係数
領域wL/wS/wRw_L / w_S / w_RK (mmHg)安静Qtarget:心外膜 / 心内膜 (mL/s)
LAD0.75 / 0.25 / 081.15464997120.485355450237 / 0.538744549763
LCx1 / 0 / 079.65412002480.323570300158 / 0.359163033175
RCA0 / 0.2 / 0.884.20784419340.346682464455 / 0.384817535545

層深さdは心外膜側0.25・心内膜側0.75です。容量配分はブタ冠循環の形態、C1/C2はイヌの有効コンプライアンスを出発点とし、拍動下の局所検査で一部を調整しています。ヒト個別データから一意に同定した回路ではありません。

Kassab et al. 1994 · Spaan et al. 2000

酸素輸送:血流から供給と消費を計算

1拍平均の血流と、Hb・吸入酸素濃度・酸素消費量の設定から、全身の酸素需給を計算します。心筋の収縮モデルとは別の計算です。

数式・仮定を詳しく

肺胞気式、酸素解離曲線、シャント血の混合を使って動脈血酸素含量を求めます。Fickの関係から必要な混合静脈血酸素含量を逆算し、負の含量を必要とする条件は計算上成立しないと判定します。局所組織の酸素拡散や代謝適応の全過程は再現しません。

D˙O2=10COCaO2,V˙O2=10CO(CaO2CvO2)\dot D_{\mathrm{O_2}}=10\,\mathrm{CO}\,C_{\mathrm{aO}_2},\qquad \dot V_{\mathrm{O_2}}=10\,\mathrm{CO}(C_{\mathrm{aO}_2}-C_{\mathrm{vO}_2})

CO\mathrm{\mathrm{CO}}
1拍平均の血流量(L/min)
CaO2,  CvO2C_{\mathrm{aO}_2},\;C_{\mathrm{vO}_2}
動脈血と混合静脈血の酸素含量(mL O₂/dL)
D˙O2,  V˙O2\dot D_{\mathrm{O}_2},\;\dot V_{\mathrm{O}_2}
酸素供給量と設定した酸素消費量(mL O₂/min)。係数10はLからdLへの換算

拍平均の酸素収支

酸素輸送は循環の解から計算する拍平均の代数評価で、血液量・張力へはフィードバックしません。Pは酸素分圧(mmHg)、Sは飽和度、Hbはg/dL、CはmL O₂/dLです。肺胞気と肺毛細管終末の酸素分圧を等しいと仮定します。PBは気圧、Rは呼吸交換比です。

COはL/min、VO₂はmL/min、sは酸素混合上のシャント率です。sは循環回路に追加する血流接続ではありません。肺毛細管終末含量Cc、静脈含量Cv、動脈含量CaをFick収支と混合から求めます。CO≤0や負の必要含量なら評価不能とし、飽和度を見栄えのよい値に置換しません。

PAO2=FIO2(PB47)PaCO2/R>0,S(P)=P2.726.82.7+P2.7P_{\mathrm{AO}_2}=F_{\mathrm{IO}_2}(P_B-47)-P_{\mathrm{aCO}_2}/R>0,\quad S(P)=\frac{P^{2.7}}{26.8^{2.7}+P^{2.7}}
C(P)=1.34HbS(P)+0.0031P,D=VO210CO,Ca=Ccs1sD,Cv=CaDC(P)=1.34\,Hb\,S(P)+0.0031P,\quad D=\frac{VO_2}{10\mathrm{CO}},\quad C_a=C_c-\frac{s}{1-s}D,\quad C_v=C_a-D

解析:負荷を変えて心臓の応答を調べる

1拍のPV loopはシミュレーションが作る軌道です。ESPVR・EDPVR・Starling/Guyton曲線やPVA/PEは、別の負荷条件を計算する解析から得ます。

数式・仮定を詳しく

解析用に状態を複製するため、操作中のシミュレーションは変わりません。収縮末期圧–容積関係(ESPVR)は低容量側からbaselineまでの複数条件で求めます。拡張末期圧–容積関係(EDPVR)とStarling曲線には高容量側も含めます。推定値は負荷範囲や各条件の定常化に依存し、ESPVRが直線になるとは限りません。曲線や面積の推定が成立しない場合は未評価と表示します。

連立方程式と保存された初期状態

独立した血液量は31区画に分布し、その総和をTBVに固定します(独立自由度は30)。各壁にLandの6状態・粘性歪み1状態・Ca源2状態、四弁に開口状態を持ちます。さらに冠循環の6トーンと、拍時刻・Ca入力強度・直前の僧帽弁閉鎖時歪みを引き継ぎます。心腔圧・血管圧・流量・中隔位置・接合円半径は、その時点の連立条件で求める量です。

Vn+1Vn=ΔtNQn+1,zn+1zn=Δtf(zn+1,Can+1,λn+1,λ˙n+1),0=g(Vn+1,zn+1,Pn+1,Qn+1,vS,n+1,yn+1).\begin{aligned}V_{n+1}-V_n&=\Delta t\,NQ_{n+1},\\z_{n+1}-z_n&=\Delta t\,f(z_{n+1},Ca_{n+1},\lambda_{n+1},\dot\lambda_{n+1}),\\0&=g(V_{n+1},z_{n+1},P_{n+1},Q_{n+1},v_{S,n+1},y_{n+1}).\end{aligned}

zはLand・粘弾性・開口の状態、fは各節の時間発展式、gは圧–容量関係・流量則・力の釣り合いです。全体を後退Eulerで連立し、Ca源はイベント間の指数解を使います。候補容積→形状・筋長→材料応力→圧→流量→容積収支が同時に整合するまで解きます。血管だけを先に更新して古い心腔圧を使い続ける手順ではありません。

通常刻みは2 msです。興奮・Ca入力・制御周期の境界ではステップを分けます。冠トーンは完了周期の流量積分を用いて更新します。状態の非負性・有限性・体積保存・非線形残差を満たさない試行は採用しません。別の数値積分法でも同じ連続モデルを組めますが、有限刻みのピーク・弁イベント・保存されたbaselineとの一致は別途検証が必要です。

保存された設定の初期条件

以下は起動に使う定常化済み状態です。基準時刻t₀=133.716 s。時刻を0へ移す場合は、興奮予定・最後の興奮・制御周期の時刻も同じだけ移します。容積だけを移して材料やCaを0にすると、同じ初期条件にはなりません。表示は有効数字12桁で、保存値全桁の表をCSVで取得できます。

初期血液量(mL)
区画V(t0)V(t_0)
近位大動脈 (Ao)60.7974182576
体抵抗血管側 (Art)49.5877122232
体毛細管 (Cap)313.053642764
左房 (LA)57.3167860333
左室 (LV)213.427061319
近位肺動脈 (PA)27.1194113675
肺抵抗血管側 (PArt)40.731619674
肺毛細管 (PCap)136.094800018
肺静脈・左房流入口側 (PVein)278.462837908
肺細静脈側 (PVen)207.053540772
右房 (RA)30.7552157612
右室 (RV)125.003400925
体動脈 (SA)161.089364255
体静脈 (SV)2782.872251
大静脈 (VC)439.462971682
共通冠静脈容量 (CV)4.55465316263
LAD 大動脈側容量 (Art)1.50693981091
LAD 心内膜側 C10.539500512265
LAD 心外膜側 C10.539906216416
LAD 心内膜側 C20.1749080481
LAD 心外膜側 C20.347495239095
LCx 大動脈側容量 (Art)0.991648299263
LCx 心内膜側 C10.355230192399
LCx 心外膜側 C10.353524530672
LCx 心内膜側 C20.118505343692
LCx 心外膜側 C20.274266149514
RCA 大動脈側容量 (Art)1.06060659051
RCA 心内膜側 C10.381837588606
RCA 心外膜側 C10.379841461835
RCA 心内膜側 C20.29507311099
RCA 心外膜側 C20.298029779845
初期Land状態(全て無次元)
cbWSζw\zeta_wζs\zeta_s
左房 (LA)0.6301187521560.05235958079670.3393865592460.226111867685-0.0376362413446-0.132825098168
左室自由壁 (LVFW)0.09578461064890.9954527313420.001721036182420.0008736379585770.008682860454240.198264518171
心室中隔 (SEP)0.085709384250.9965356681940.00130340133530.0006802255121460.00909110690660.19738001841
右室自由壁 (RVFW)0.06073906095210.9984349120270.0005927842450040.0003429024325990.001897679431410.126710084624
右房 (RA)0.2360555658020.8558921994580.04982386256240.04582559269010.01283291894680.0397999847835
初期歪みとCa状態(無次元)
e(t0)e(t_0)α(t0)\alpha(t_0)xr(t0)x_r(t_0)xd(t0)x_d(t_0)
左房 (LA)0.2242224238720.3286694496540.00005904900549980.7071118549
左室自由壁 (LVFW)0.1487231871060.1097409319740.9863558500240.988542892627
心室中隔 (SEP)0.1301361206950.08479446835760.9863558500240.988542892627
右室自由壁 (RVFW)0.06168667131130.0111844128260.9863558500240.988542892627
右房 (RA)-0.01415478820430.04276069044070.00005904900549980.7071118549
初期開口・形状
AV ξ8.3941454043e-26
MV ξ0.588170415645
PV ξ5.4145877253e-35
TV ξ0.0286221508103
vSv_S (m³)0.0000564792328315
y (m)0.0369639529204
冠トーン・周期途中の積分
領域・層θ(t0)\theta(t_0)Qmdt\int Q_m\,dt (mL)
LAD 心外膜側0.7924425384890.000873481607701
LAD 心内膜側0.6939309027830.000876155822331
LCx 心外膜側0.8276932387720.000539011765354
LCx 心内膜側0.6910375090450.000591086208632
RCA 心外膜側0.7877185420870.000591683288816
RCA 心内膜側0.7922384387070.0006995759526
引き継ぐ時刻と離散状態
次の心房興奮 (s)134.439428571
直前の心室興奮 (s)133.702285714
L(t0)L(t_0)1.52456187266
冠制御周期の開始 (s)133.714285714
冠制御周期の経過 (s)0.00171428571431
eMVC,LVFWe_{\mathrm{MVC},\mathrm{LVFW}}0.151058531376
eMVC,RVFWe_{\mathrm{MVC},\mathrm{RVFW}}0.062000493637
eMVC,SEPe_{\mathrm{MVC},\mathrm{SEP}}0.132741561282

この時刻に未処理のCa入力・伝導イベントはありません。次のCa入力時刻は、上の次回心房興奮に12 ms(心房)または132 ms(心室)を加えます。冠制御周期は元の時刻0からT=60/70 sごとです。初期状態から再計算し、少なくとも複数周期の整合を確認してください。収束の一意性や全症例での安定性まで、この状態表が保証するものではありません。

採用値・初期条件の表を保存(CSV)

設定

BSA 1.9 m²、心筋密度1053 kg/m³。LV自由壁・中隔は基準面積を1.15倍、心筋体積を1.25倍にした固定構成です。右室自由壁・心房は共通です。これは経時的なリモデリングや、特定患者の画像計測を再現したものではありません。実際の壁体積を心膜内占有量に含めますが、心膜袋の容量・硬さ・液量は変えていません。

HR
70 bpm
TBV
4935 mL
BSA
1.9 m²
LV心筋量
135.4 g

LV自由壁・中隔の能動張力倍率は0.35/0.35、体血管抵抗倍率は1.2です。倍率1はこのモデルの基準であり、正常収縮力の絶対単位ではありません。この心筋質量だけで病的肥大を実証することはできません。Ca源、架橋の速度、受動材料係数はbaselineと同じです。

全入力値・材料係数の来歴
保存された入力値
項目単位
心拍数 (HR)70bpm
総血液量 (TBV)4,935mL
体血管抵抗 (SVR)1.21
共通心室能動張力壁別の値を参照1
静脈トーン0.151
PEEP0cmH2O
肺血管抵抗 (PVR)0.6251
動脈スティフネス1.421
LA 能動張力11
LV自由壁 能動張力0.351
心室中隔 能動張力0.351
RV自由壁 能動張力11
RA 能動張力11
LA 受動スティフネス11
LV自由壁 受動スティフネス1.041
心室中隔 受動スティフネス1.041
RV自由壁 受動スティフネス1.041
RA 受動スティフネス11
僧帽弁 (MV) 最大EOA5.5cm2
僧帽弁 (MV) 逆流EROA0cm2
大動脈弁 (AoV) 最大EOA3.5cm2
大動脈弁 (AoV) 逆流EROA0cm2
三尖弁 (TV) 最大EOA8cm2
三尖弁 (TV) 逆流EROA0cm2
肺動脈弁 (PV) 最大EOA4cm2
肺動脈弁 (PV) 逆流EROA0cm2
ヘモグロビン (Hb)15g/dL
吸入酸素濃度 (FiO₂)0.211
動脈血二酸化炭素分圧 (PaCO₂)40mmHg
呼吸交換比 (RER)0.81
大気圧760mmHg
真性シャント率0.021
目標酸素消費量 (VO₂)250mL O2/min
pericardium.reference-capacity-scale11
pericardium.pressure-scale11
pericardium.exponential-stiffness-scale11
pericardium.prescribed-fluid-volume-ml0mL
coronary.focal-diameter-loss-fraction.LAD01
coronary.focal-diameter-loss-fraction.LCx01
coronary.focal-diameter-loss-fraction.RCA01
coronary.structural-r1-resistance-scale.LAD.subepicardial11
coronary.structural-r1-resistance-scale.LAD.subendocardial11
coronary.structural-r1-resistance-scale.LCx.subepicardial11
coronary.structural-r1-resistance-scale.LCx.subendocardial11
coronary.structural-r1-resistance-scale.RCA.subepicardial11
coronary.structural-r1-resistance-scale.RCA.subendocardial11
coronary.structural-rm-resistance-scale.LAD.subepicardial11
coronary.structural-rm-resistance-scale.LAD.subendocardial11
coronary.structural-rm-resistance-scale.LCx.subepicardial11
coronary.structural-rm-resistance-scale.LCx.subendocardial11
coronary.structural-rm-resistance-scale.RCA.subepicardial11
coronary.structural-rm-resistance-scale.RCA.subendocardial11
LV収縮性0.351

共通の収縮力操作は壁別パラメータを同時に設定する操作で、別の倍率を重ねるものではありません。症例はknob値だけでなく、すべての入力値・固定形状・計算状態を保存します。形状の異なる症例への切替では、その症例自身の保存状態を読み込みます。

Land et al. 2017
基礎モデルからの材料校正(張力倍率を掛ける前)
項目出典の値モデルの基準値
kTRPN0.1 1/ms100 1/s
nTRPN2 dimensionless2 dimensionless
CaT50Ref0.805 uM0.6 uM
ku1 1/ms1000 1/s
nTm5 dimensionless5 dimensionless
TRPN500.35 dimensionless0.35 dimensionless
kuw0.182 1/ms104 1/s
kws0.012 1/ms4.8 1/s
rw0.5 dimensionless0.5 dimensionless
rs0.25 dimensionless0.25 dimensionless
gammaS0.0085 1/ms8.5 1/s
gammaW0.615 1/ms615 1/s
phi2.23 dimensionless2.23 dimensionless
Aeff25 dimensionless26.5 dimensionless
beta02.3 dimensionless2.3 dimensionless
beta1-2.4 uM-1.2 uM
Tref120 kPa238816.54628141236 Pa
temperatureK37 degC310.15 K
心膜と冠循環:この構成で固定したもの

増えた壁体積も、同じ心膜袋の中を占めます。心膜袋を自動で広げる調整はしていません。冠血管床の容量・抵抗の基準と絶対酸素需要はbaselineのままで、現在の心筋量から再設定していません。したがって、拡大心の冠灌流や酸素需給が生理的に十分であるとは主張しません。

症例の評価

安静時の比較と起動状態は、このモデル自身で新たに計算しました。PVA・受動曲線・操作試験・長時間の観察は、同じ構成で行った以前の研究記録を、元のモデルIDと来歴を保って参照しています。

2 ms · 起動状態と同じ刻み

必須条件と症例の目標は両方の刻みで満たしています。ただし、これは選んだ作動点の適合であり、HFrEFの診断や臨床検証ではありません。文献から得た集団の平均・ばらつきと、症例を選ぶための設計範囲は別です。

保存されたbaselineと症例の比較
指標比較baseline2 ms 固定この症例2 ms単位
LVEF55.828.5%
LV EDVI75.6113.4mL/m²
LV ESVI33.581.1mL/m²
CI2.952.26L/min/m²
SVI42.232.3mL/m²
Ao node mean93.681.0mmHg
mean LAP8.416.6mmHg
mean RAP3.14.3mmHg
PA node mean17.923.9mmHg
RVEF56.949.0%
RV EDVI74.165.8mL/m²
RV ESVI31.933.5mL/m²
LV end-filling P10.925.5mmHg
LV end-filling Ptm10.922.9mmHg
LV +dP/dt2,5641,113mmHg/s
LV −dP/dt-1,539-824mmHg/s
ICT89.148.0ms
ET258.0280.0ms
IRT92.0128.0ms
Tei0.700.63
E/A (flow)0.940.86
τ Weiss32.051.3ms
τ Glantz52.4ms

比較baselineは保存済みの2 ms記録です。症例を1 msに切り替えても、baselineを再計算した意味にはなりません。丸め前の値はJSONに含まれます。

比較は同じ負荷に揃えた実験ではありません。低いEFでも拍出量はゼロにならず、Teiがbaselineより小さくても収縮力が良いとは言えません。平均左房圧・充満末期LV内圧・経壁圧は異なる値です。E/Aは容積流量の比であり、臨床Doppler速度の比ではありません。

範囲とその根拠

LVEF · 必須28.46 / 20–40 % · 適合

EF低下を症例の中心とする。20%は選んだ重症度の下端であり疾患の診断下限ではない。

測定法:native-valve-closure-volumes

LV EDVI · 必須113.4 / 90–180 mL/m² · 適合

慢性左室拡大型として選ぶ容積帯。全HFrEFの必要条件ではなく、画像由来の診断基準でもない。

測定法:native-valve-closure-volumes

CI · 必須2.258 / 1.8–3.5 L/min/m² · 適合

低めから保たれた拍出を許容し、EF低下と極端な低拍出を同義にしない。

測定法:exact-beat-aortic-valve-net-flow

mean LAP · 必須16.61 / 3–25 mmHg · 適合

極端な充満を避ける既存screenを維持。高値は随伴目標であり必須条件ではない。

測定法:exact-beat-mean-left-atrial-pressure

mean RAP · 必須4.261 / 0–12 mmHg · 適合

左室優位例の負荷を選ぶ既存screen。RVEF正常や右心障害なしを意味しない。

測定法:exact-beat-mean-right-atrial-pressure

Ao node mean · 必須81.04 / 60–110 mmHg · 適合
LVEF · 症例の目標28.46 / 25–35 % · 適合

EFを他の主要目標と同時に満たす。EFだけを最優先する順位付けにはしない。

測定法:native-valve-closure-volumes

LV EDVI · 症例の目標113.4 / 110–150 mL/m² · 適合

左室拡大と残存血液量の多さを説明できる帯を選ぶ。ESVIを重複した目的関数にしない。

測定法:native-valve-closure-volumes

CI · 症例の目標2.258 / 2.2–2.8 L/min/m² · 適合

安静時の正味拍出がある程度保たれる一例を目指す。CIの疾患正常域ではない。

測定法:exact-beat-aortic-valve-net-flow

Ao node mean · 症例の目標81.04 / 80–100 mmHg · 適合

この症例で選ぶ安静時の動脈圧の目標。心拍出と血管負荷に強く依存する。目標未達はHFrEFとしての不成立を意味せず、既知候補77 mmHgに合わせて下端を変更しない。

測定法:exact-beat-mean-aortic-node-pressure

mean LAP · 症例の目標16.61 / 12–20 mmHg · 適合

既存の治療後集団の平均PAWP10–12より高めの充満状態を意図的に選ぶ。Lavineの高圧群は存在の根拠であり頻度の重みにはしない。肺水腫や臨床うっ血を圧だけから診断せず、native LV充満末期圧・経壁圧も併記する。高いほど高評価にはしない。

測定法:exact-beat-mean-left-atrial-pressure

τ Weiss · 症例の目標51.31 / 40–75 ms · 適合

54±14を参考に選んだ広めの設計値で、正常/異常境界ではない。適合品質を満たすWeiss値だけを使う。測定窓の長さと開始/終了圧、baselineとの差も残す。Ca・架橋速度を固定した比較でのτ変化は形状・張力・負荷・回帰窓から生じ、固有の弛緩機構の変化とは断定しない。Glantzへの置換や長いτへの追加報酬は与えない。

測定法:main-wire-lv-relaxation-tau-v1:Weiss-zero-asymptote-time-weighted-log-linear

τ・圧変化率・流入の測定
P(t)=P+Ae(tt0)/τ,Tei=ICT+IRTETP(t)=P_{\infty}+A e^{-(t-t_0)/\tau},\qquad \mathrm{Tei}=\frac{ICT+IRT}{ET}

τは左室内圧の圧低下から求めます。Weiss法は漸近圧を0とし、Glantz法は漸近圧も推定します。この症例のGlantz適合は不良のため、数値欄では欠測として扱います。Weissの延長は観測できますが、Caや架橋の速度は変えていません。負荷・形状・観測窓から生じる変化を、固有の弛緩異常と同一視しません。

Weiss: 51.31 ms · R² 0.9985 · 窓 25.98 ms · 15 点.

測定窓は最小dP/dtの区間中央から、次のLV充満末期圧+5 mmHgに達するまで(僧帽弁開放より前)です。時間間隔で重み付けし、Weissは対数圧と時間、GlantzはdP/dtと圧の直線回帰を使います。最低6点・15 ms・圧低下10 mmHg、R²はWeiss 0.97/Glantz 0.95以上、再構成圧のRMSEは圧低下の5%以下としています。これらは計測の利用可能性を判定する設計値で、疾患の正常域ではありません。

GlantzのR²はdP/dt対圧の回帰に対する値です。圧波形を再構成した誤差が小さくても、この適合条件を満たすとは限りません。

dP/dtは受理された計算ステップ間の左室内圧差を時間差で割り、最大・最小を取ります。解析微分ではなく、センサーの帯域・平滑化も再現しません。ICT・ET・IRTは弁イベント/順行流から求めるため、臨床で別の測定法から得た閾値と直接同一視しません。

流量E/Aは0.8579で、baselineの0.9379と同じくA波優位です。Lavineらの高充満圧DCM群では早期流入の割合が増え、心房収縮による割合は低下しており、この症例とは方向が異なります。流量とDoppler速度の違いだけで整合したとは考えません。今回のA波優位は、再現できたHFrEFの所見ではなく、baselineと共有する流入特性として扱います。

LV充満末期内圧と平均左房圧の差も8.847 mmHgあります。Katoらの群平均の差は4 mmHgでしたが、個人差の分布ではありません。平均左房圧をPCWPやLV充満末期圧へ読み替えず、この違いも流入機構の今後の検討点として残します。

波形と定常性

LVP/RVPの有意ピークは各1個です。駆出期の主ピーク位置やPV loopの丸みを一律の正常範囲に押し込みません。小さな変動や操作後の全範囲での振動まで否定するものではありません。

LVP: 1 peaks · variation 1.217 · peak 71.53% ET.
RVP: 1 peaks · variation 1.237.

対応する周期境界の状態差が連続3周期で許容内となった後、別の1周期も確認しています。 156 周期 · 0.0009783.

既存の保存状態からさらに60拍進めた記録では、冠血管トーンは0.693→0.6484と変化しています。CI変化は0.0004584 L/min/m²、Ao node平均圧の変化は-0.01326 mmHgです。血行指標の変化は小さいものの、全状態が完全に一定になったとは主張しません。

この追加記録は以前のlab-003で行い、当時のlab-004との数値状態・解法予測子・構成・開始時観測値の一致を確認したものです。今回のモデルの起動記録そのものではありません。同じ構成の過去の補助検証として参照し、今回再実行したとは扱いません。

PV解析と受動的な容量特性

以下のPV解析は、同じ構成の過去の2 ms起動状態に対する負荷変更解析です。今回の起動状態での再実行ではありません。1 msの記録を選んでも、この解析の刻み幅は変わりません。縦軸は経壁圧です。

LV · J/beatbaselineHFrEF
SW1.0800.627
PE0.3820.907
PVA1.4621.534

この例ではSWが低下し、PEの寄与が大きくなっています。ESPVR/EDPVRはモデルの負荷変更で得た関係で、臨床カテーテルのEesや純粋な受動材料曲線そのものではありません。PEは低容量側へ接線で延長した部分も含みます。 2.56 mL.

別の完全受動・粘性緩和後の比較では、RV容積140 mLを固定し、LV経壁圧10 mmHgで支えられるLV容積が150.8→184.3 mLになりました。RV圧を合わせた比較でも、動的EDPVRでもありません。

PVA由来の酸素消費推定は現在のLV質量で換算しますが、イヌ由来の関係と未校正の収縮性依存切片を用いる参考計算です。疾患の実際の代謝・酸素不足・機械効率を証明しません。

操作できる範囲と、検証した範囲

53項目の操作を継承していますが、全組合せが検証済みという意味ではありません。LV収縮性0.25/0.75/1.33、TBV4200/7000 mL、HR60への単独変更では、操作・継続・保存復元を確認しました。変更後にHFrEFの目標を満たすことは要求していません。

既知の制約:TBV7000 mLでゼロから始めると、2 ms刻みでは初期化中に失敗しました。保存状態からの変更と、1 msの独立初期化は成功しています。自動的に刻みを細かくする処理はありません。症例の標準起動には検証した2 msの保存状態を使います。

症例の評価

安静時の比較と起動状態は、このモデル自身で新たに計算しました。PVA・受動曲線・操作試験・長時間の観察は、同じ構成で行った以前の研究記録を、元のモデルIDと来歴を保って参照しています。

1 ms · 独立した細かい刻み

必須条件と症例の目標は両方の刻みで満たしています。ただし、これは選んだ作動点の適合であり、HFrEFの診断や臨床検証ではありません。文献から得た集団の平均・ばらつきと、症例を選ぶための設計範囲は別です。

保存されたbaselineと症例の比較
指標比較baseline2 ms 固定この症例1 ms単位
LVEF55.828.5%
LV EDVI75.6113.4mL/m²
LV ESVI33.581.1mL/m²
CI2.952.26L/min/m²
SVI42.232.3mL/m²
Ao node mean93.681.1mmHg
mean LAP8.416.6mmHg
mean RAP3.14.3mmHg
PA node mean17.923.9mmHg
RVEF56.949.1%
RV EDVI74.165.8mL/m²
RV ESVI31.933.5mL/m²
LV end-filling P10.925.2mmHg
LV end-filling Ptm10.922.7mmHg
LV +dP/dt2,5641,126mmHg/s
LV −dP/dt-1,539-828mmHg/s
ICT89.148.0ms
ET258.0279.0ms
IRT92.0130.0ms
Tei0.700.64
E/A (flow)0.940.86
τ Weiss32.050.8ms
τ Glantz52.4ms

比較baselineは保存済みの2 ms記録です。症例を1 msに切り替えても、baselineを再計算した意味にはなりません。丸め前の値はJSONに含まれます。

比較は同じ負荷に揃えた実験ではありません。低いEFでも拍出量はゼロにならず、Teiがbaselineより小さくても収縮力が良いとは言えません。平均左房圧・充満末期LV内圧・経壁圧は異なる値です。E/Aは容積流量の比であり、臨床Doppler速度の比ではありません。

範囲とその根拠

LVEF · 必須28.48 / 20–40 % · 適合

EF低下を症例の中心とする。20%は選んだ重症度の下端であり疾患の診断下限ではない。

測定法:native-valve-closure-volumes

LV EDVI · 必須113.4 / 90–180 mL/m² · 適合

慢性左室拡大型として選ぶ容積帯。全HFrEFの必要条件ではなく、画像由来の診断基準でもない。

測定法:native-valve-closure-volumes

CI · 必須2.261 / 1.8–3.5 L/min/m² · 適合

低めから保たれた拍出を許容し、EF低下と極端な低拍出を同義にしない。

測定法:exact-beat-aortic-valve-net-flow

mean LAP · 必須16.6 / 3–25 mmHg · 適合

極端な充満を避ける既存screenを維持。高値は随伴目標であり必須条件ではない。

測定法:exact-beat-mean-left-atrial-pressure

mean RAP · 必須4.253 / 0–12 mmHg · 適合

左室優位例の負荷を選ぶ既存screen。RVEF正常や右心障害なしを意味しない。

測定法:exact-beat-mean-right-atrial-pressure

Ao node mean · 必須81.13 / 60–110 mmHg · 適合
LVEF · 症例の目標28.48 / 25–35 % · 適合

EFを他の主要目標と同時に満たす。EFだけを最優先する順位付けにはしない。

測定法:native-valve-closure-volumes

LV EDVI · 症例の目標113.4 / 110–150 mL/m² · 適合

左室拡大と残存血液量の多さを説明できる帯を選ぶ。ESVIを重複した目的関数にしない。

測定法:native-valve-closure-volumes

CI · 症例の目標2.261 / 2.2–2.8 L/min/m² · 適合

安静時の正味拍出がある程度保たれる一例を目指す。CIの疾患正常域ではない。

測定法:exact-beat-aortic-valve-net-flow

Ao node mean · 症例の目標81.13 / 80–100 mmHg · 適合

この症例で選ぶ安静時の動脈圧の目標。心拍出と血管負荷に強く依存する。目標未達はHFrEFとしての不成立を意味せず、既知候補77 mmHgに合わせて下端を変更しない。

測定法:exact-beat-mean-aortic-node-pressure

mean LAP · 症例の目標16.6 / 12–20 mmHg · 適合

既存の治療後集団の平均PAWP10–12より高めの充満状態を意図的に選ぶ。Lavineの高圧群は存在の根拠であり頻度の重みにはしない。肺水腫や臨床うっ血を圧だけから診断せず、native LV充満末期圧・経壁圧も併記する。高いほど高評価にはしない。

測定法:exact-beat-mean-left-atrial-pressure

τ Weiss · 症例の目標50.81 / 40–75 ms · 適合

54±14を参考に選んだ広めの設計値で、正常/異常境界ではない。適合品質を満たすWeiss値だけを使う。測定窓の長さと開始/終了圧、baselineとの差も残す。Ca・架橋速度を固定した比較でのτ変化は形状・張力・負荷・回帰窓から生じ、固有の弛緩機構の変化とは断定しない。Glantzへの置換や長いτへの追加報酬は与えない。

測定法:main-wire-lv-relaxation-tau-v1:Weiss-zero-asymptote-time-weighted-log-linear

τ・圧変化率・流入の測定
P(t)=P+Ae(tt0)/τ,Tei=ICT+IRTETP(t)=P_{\infty}+A e^{-(t-t_0)/\tau},\qquad \mathrm{Tei}=\frac{ICT+IRT}{ET}

τは左室内圧の圧低下から求めます。Weiss法は漸近圧を0とし、Glantz法は漸近圧も推定します。この症例のGlantz適合は不良のため、数値欄では欠測として扱います。Weissの延長は観測できますが、Caや架橋の速度は変えていません。負荷・形状・観測窓から生じる変化を、固有の弛緩異常と同一視しません。

Weiss: 50.81 ms · R² 0.9986 · 窓 25.78 ms · 28 点.

測定窓は最小dP/dtの区間中央から、次のLV充満末期圧+5 mmHgに達するまで(僧帽弁開放より前)です。時間間隔で重み付けし、Weissは対数圧と時間、GlantzはdP/dtと圧の直線回帰を使います。最低6点・15 ms・圧低下10 mmHg、R²はWeiss 0.97/Glantz 0.95以上、再構成圧のRMSEは圧低下の5%以下としています。これらは計測の利用可能性を判定する設計値で、疾患の正常域ではありません。

GlantzのR²はdP/dt対圧の回帰に対する値です。圧波形を再構成した誤差が小さくても、この適合条件を満たすとは限りません。

dP/dtは受理された計算ステップ間の左室内圧差を時間差で割り、最大・最小を取ります。解析微分ではなく、センサーの帯域・平滑化も再現しません。ICT・ET・IRTは弁イベント/順行流から求めるため、臨床で別の測定法から得た閾値と直接同一視しません。

流量E/Aは0.8582で、baselineの0.9379と同じくA波優位です。Lavineらの高充満圧DCM群では早期流入の割合が増え、心房収縮による割合は低下しており、この症例とは方向が異なります。流量とDoppler速度の違いだけで整合したとは考えません。今回のA波優位は、再現できたHFrEFの所見ではなく、baselineと共有する流入特性として扱います。

LV充満末期内圧と平均左房圧の差も8.65 mmHgあります。Katoらの群平均の差は4 mmHgでしたが、個人差の分布ではありません。平均左房圧をPCWPやLV充満末期圧へ読み替えず、この違いも流入機構の今後の検討点として残します。

波形と定常性

LVP/RVPの有意ピークは各1個です。駆出期の主ピーク位置やPV loopの丸みを一律の正常範囲に押し込みません。小さな変動や操作後の全範囲での振動まで否定するものではありません。

LVP: 1 peaks · variation 1.214 · peak 71.38% ET.
RVP: 1 peaks · variation 1.231.

対応する周期境界の状態差が連続3周期で許容内となった後、別の1周期も確認しています。 155 周期 · 0.0009788.

既存の保存状態からさらに60拍進めた記録では、冠血管トーンは0.6971→0.6525と変化しています。CI変化は0.0004628 L/min/m²、Ao node平均圧の変化は-0.01312 mmHgです。血行指標の変化は小さいものの、全状態が完全に一定になったとは主張しません。

この追加記録は以前のlab-003で行い、当時のlab-004との数値状態・解法予測子・構成・開始時観測値の一致を確認したものです。今回のモデルの起動記録そのものではありません。同じ構成の過去の補助検証として参照し、今回再実行したとは扱いません。

PV解析と受動的な容量特性

以下のPV解析は、同じ構成の過去の2 ms起動状態に対する負荷変更解析です。今回の起動状態での再実行ではありません。1 msの記録を選んでも、この解析の刻み幅は変わりません。縦軸は経壁圧です。

LV · J/beatbaselineHFrEF
SW1.0800.627
PE0.3820.907
PVA1.4621.534

この例ではSWが低下し、PEの寄与が大きくなっています。ESPVR/EDPVRはモデルの負荷変更で得た関係で、臨床カテーテルのEesや純粋な受動材料曲線そのものではありません。PEは低容量側へ接線で延長した部分も含みます。 2.56 mL.

別の完全受動・粘性緩和後の比較では、RV容積140 mLを固定し、LV経壁圧10 mmHgで支えられるLV容積が150.8→184.3 mLになりました。RV圧を合わせた比較でも、動的EDPVRでもありません。

PVA由来の酸素消費推定は現在のLV質量で換算しますが、イヌ由来の関係と未校正の収縮性依存切片を用いる参考計算です。疾患の実際の代謝・酸素不足・機械効率を証明しません。

操作できる範囲と、検証した範囲

53項目の操作を継承していますが、全組合せが検証済みという意味ではありません。LV収縮性0.25/0.75/1.33、TBV4200/7000 mL、HR60への単独変更では、操作・継続・保存復元を確認しました。変更後にHFrEFの目標を満たすことは要求していません。

既知の制約:TBV7000 mLでゼロから始めると、2 ms刻みでは初期化中に失敗しました。保存状態からの変更と、1 msの独立初期化は成功しています。自動的に刻みを細かくする処理はありません。症例の標準起動には検証した2 msの保存状態を使います。

根拠・再現情報

引用資料の対象・測定法・限界
2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure

2022年の診療ガイドラインによるEF分類。

この版のEF分類を構成上の慣例として採用する。最新のHF定義や、低EFだけによる臨床診断は主張しない。

Cardiac output and cardiac index measured with cardiovascular magnetic resonance in healthy subjects, elite athletes and patients with congestive heart failure

EF≤40%のCHF 157例、60±13歳。中等度以上のMR、AR、AV速度>3m/sなどを除外。

仰臥位CMR、肺動脈分岐の高さの上行大動脈における全周期の位相コントラスト流量。

CIとEFの対応は弱い。冠動脈より遠位の測定であり、モデルのAV正味拍出量とは厳密には一致しない。低CIをHFrEFの必須条件にはできない。

Beneficial Effects of Heart Rate Reduction on Cardiac Mechanics and Energetics in Patients With Left Ventricular Dysfunction

左室機能低下14例。EF34±12%、範囲23–53%で、全例がEF≤40%ではない。旧梗塞10例・DCM4例。

HR83±10のcontrol。conductance容積・Millar左室内圧、IVC遮断時の線形ESPVR、PV閉曲線の面積による仕事。τはRaff–Glantz法。

利尿薬・血管拡張薬を24時間以上中止。EDPはTable1と2で17±9/24±9と異なるため端点の根拠にしない。EesのBSA単位は本文と表で不一致。モデルの経壁圧仕事や共通時相の非線形ESPVRへ無補正では移せない。

Comparison of haemodynamic response to muscle reflex in heart failure with reduced vs. preserved ejection fraction

治療により症状が改善したHFrEF10例、EF23±6%、HR72±17。PAWP≥25、安静SBP≥160、AF、重症弁膜症、最近のAMIなどを除外。

RHCと333Hzのmicrochip/conductance PV測定、MRI容積で校正。EesはSenzaki single-beat法。MAPはLVESPと推定拡張期圧から計算。

小規模・治療後の選択集団。未index容積を集団平均BSAで割らない。PAWPはmean LAそのものではない。非ゼロ漸近圧τはWeiss法と比較できず、Glantz法とも推定法の一致確認が必要。

Association between systolic ejection time and outcomes in heart failure by ejection fraction

外来HFrEF171例。EF中央値30%、四分位範囲25–35%。

TTEを3回測定。SETはLVOT Doppler、PEPは心電図を含む時間、relaxationはR-to-E−PEP−SET。

PEPをICTとして扱わない。Dopplerの可視端点とモデルの流量ゼロ交差は異なる。HR依存があり四分位範囲をHR70の必須gateにしない。Relaxation timeはTable 2のHFrEF欄93.3 [67.3, 122] msを転記したが、抄録はHFrEF/HFpEFの中央値を逆に記載しており、原著内に不一致がある。参考記録にとどめ、数値gate・目的関数には使わない。

Diastolic Determinants of Excess Mortality in Heart Failure With Reduced Ejection Fraction

Stage B/Cの左室機能低下12,421例。EF<50%を含むため現在のEF≤40%集団と同一ではない。

Doppler拡張指標。E/e′別の群で流入波形と充満状態が異なる。

全HFrEFに拘束型流入を要求しない根拠。e′は現0Dモデルの観測量ではなくE/e′を創作しない。

Correlation between left ventricular contractility and relaxation in patients with idiopathic dilated cardiomyopathy

洞調律・安静の特発性DCM38例、NYHA II–III、対照9例。治療で安定後、3日以上休薬。EF実測17–64%で全例が現代のHFrEF分類ではない。

高忠実度LV圧を3 ms間隔で収録。τは最大圧低下速度からEDP+5 mmHgまでのWeissゼロ漸近圧法とRaff–Glantz法。conductance容積、IVC遮断4–8拍のEes。

少数・選択集団。模型の受理stepの時刻重み付き回帰や弁イベントと測定系は同一ではない。Eesとτは相関せず、弛緩が保たれた症例もあった。TL/TDが保たれた割合の対応が本文内で不一致のため、所見頻度の数値は採用しない。

Prognostic value of myocardial strain and late gadolinium enhancement on cardiovascular magnetic resonance imaging in patients with idiopathic dilated cardiomyopathy with moderate to severely reduced ejection fraction

EF<40%の特発性DCM172例。HR83±20、平均動脈圧84±13 mmHg。

CMRと同時期の臨床測定。LV容積由来COとRV容積由来COは異なる。

MAPとexact Ao node周期平均の部位・方法は同一ではない。LV容積由来CIを正味AV流量の目標に転用せず、群平均の比から正味CIを作らない。

Functional and structural abnormalities in patients with dilated cardiomyopathy

DCM12例と対照10例。DCMの材料硬さが正常の7例と高い5例で、平均EFは37/36%、平均LVEDPは18/22 mmHg。

同時左室造影・高忠実度圧、粘弾性モデルによる圧容積/応力ひずみ解析、右心生検。

心室全体の圧容積特性と心筋材料硬さは別物。抄録で確認した小集団の平均を本モデルの材料係数や必須範囲に直変換しない。

Relation between ventriculoarterial coupling and myocardial energetics in patients with idiopathic dilated cardiomyopathy

特発性DCM23例の侵襲的PV解析、うち16例で冠静脈洞の心筋酸素消費を同時計測。

conductance PV、IVC遮断Ees、冠静脈洞double-thermistor。

数値は平均±SE。Ees/EaをEFから逆算して独立な根拠にしない。SW/PVAとSW/MVO2は違い、モデルの経壁圧仕事だけで効率低下やPVA増加を主張しない。Katoらと施設・著者の重なりがある。

Importance of the left ventricular filling pressure on diastolic filling in idiopathic dilated cardiomyopathy

対照33例、DCMの充満圧正常14例と高値26例。群分けは平均肺毛細管圧による。

充満圧と経僧帽弁パルスDopplerを比較し、MRの影響も検討。

高充満圧とMRは流入に異なる影響を持つ。群分けの15 mmHgをmean LAやLVEDPの同一閾値にしない。Doppler速度と本モデルの弁全体の体積流量を混同しない。

Comparison of Doppler indexes of left ventricular diastolic function with simultaneous high fidelity left atrial and ventricular pressures in idiopathic dilated cardiomyopathy

特発性DCMのbaselineとamrinone投与中。今回確認できた抄録には例数が記載されていない。

LA/LV micromanometer圧、経僧帽弁Doppler、M-mode/2Dエコーの同時計測。

弛緩が改善してもE/Aは低下し得る。介入の各機序は単独には分離されていない。数値目標や薬物モデルの検証としては使わない。

Characteristics and prognostic value of right ventricular (dys)function in patients with non-ischaemic dilated cardiomyopathy assessed with cardiac magnetic resonance imaging

非虚血性DCM216例、CMR LVEF<50%、中央値37% [25–44]。RV機能低下38%、MR63%(多くは軽度)。

単施設・後向きCMR cohort。既存のRV疾患や肺高血圧を除外。

EF≤40%だけの集団ではなく、治療・AF・MRを含む。38%を全HFrEFの頻度や発生確率にしない。LV/RVの関連から原因の向きを確定しない。

転記訂正:Ishihara 1994のEa/Ees平均は、原著抄録に合わせて3.14から3.24へ訂正しました。元の記録は保存しています。文脈情報の訂正であり、選択範囲・評価結果・モデル数値は変えていません。

識別情報・保存・正式採用の状態

このページは固定された文書スナップショットで、評価時の数値・基準・来歴を含みます。説明コードが退役しても読むことができます。文書の作成や適合表示は、正式採用の承認とは別です。

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