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title: "二つの心臓を直列につなぐ――右房圧と左房圧が別々に動く理由"
locale: "ja"
public_slug: "right-left-heart-series-circulation"
tags: ["左右心相互作用", "充満圧", "肺循環", "閉ループ循環", "心膜拘束"]
published_at: "2026-09-23T05:44:16.243625Z"
updated_at: "2026-09-23T05:44:16.243625Z"
article_content_id: "85134f77-45bd-4c10-a83a-a1be747e4d9d"
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# 二つの心臓を直列につなぐ――右房圧と左房圧が別々に動く理由

頸静脈の怒張や中心静脈圧（CVP）は、右心側の充満圧の目安である。臨床では、それを手がかりに左心側の充満圧、つまり肺うっ血の程度まで推し量ることが多い。Draznerらは、心移植の評価を受けた進行した慢性心不全1000例で、右房圧と楔入圧の相関係数が0.64であり、右房圧が10 mmHg以上なら楔入圧22 mmHg以上を88%の陽性的中率で示すことを報告した。一方、約2割の例では両者が食い違っていた[1)](#article-reference-a7%2Fr-drazner)。別の施設で、進行した心不全のため心移植の評価中に入院した537例の検討では、食い違いは28%にみられた[2)](#article-reference-a7%2Fr-campbell)。右房圧から左心の充満圧を推定できるのは、どんなときだろうか。

この回では、右心と左心を、肺の循環をはさんで直列につながった二つのポンプとして読む。読み終えたら、周期定常で左右の拍出量がそろう理由と、それでも左右の房圧が別々に動く理由を説明できる。右房圧と左房圧の動き方の組から、変化が起きた場所を推定できる。中隔と心膜を介した、左右の心室の直接の影響を説明できる。

## 直列の二つのポンプ

右心は体循環から戻った血液を肺へ送り、左心は肺から戻った血液を全身へ送る。周期定常では、どちらの区画にも血液がたまり続けないので、右心と左心の平均の拍出量は等しい。これは第1回で見た保存の関係を、回路全体に広げたものである。

拍出量がそろっていても、左右の房圧まで決まるわけではない。心臓へ戻る血液の流れは右房圧と左房圧の両方に依存し、同じ血液を体循環と肺循環のどちらにどれだけ置くかでつながっている。左右の房圧は、この還流の関係と、右心・左心それぞれの拍出の関係を同時に満たす点に落ち着く。Uemuraらは、負荷容積が決まっているとき、心臓へ戻る流量を右房圧と左房圧の二つの関数（平面）として表し、それに右心と左心の二つの拍出の曲線を組み合わせると、心拍出量と左右の房圧をまとめて予測できることをイヌで示した[3)](#article-reference-a7%2Fr-uemura)。[^note-1]

$$
CO_{V}=\frac{V}{W}-G_{S}P_{RA}-G_{P}P_{LA}
$$

Vは負荷容積、W・G\_S・G\_Pは血管側の性質を表す係数である。左心の拍出の曲線だけが下がると、血液は肺の側へ移り、左房圧は大きく上がるが、容量の大きい体循環の側の右房圧はあまり動かない。右心の拍出の曲線が下がると、血液は体循環の側へ移り、右房圧が上がって左房圧が下がる。体循環の静脈の容量が肺循環よりずっと大きいことが、この非対称を生む。

## 右室と肺循環

右室は、左室よりはるかに低い圧で同じ量を送り出す。肺の血管は抵抗が小さく柔らかいため、右室の収縮期圧は25〜30 mmHg程度で、PVループは左室より低く平たい形になる。肺血管抵抗PVRは、臨床では平均肺動脈圧と楔入圧（PAWP）の差を心拍出量で割ってWood単位で表し、2022年のESC/ERSガイドラインは平均肺動脈圧20 mmHg超を肺高血圧、PVR 2 Wood単位超を前毛細血管性の成分の目安としている[4)](#article-reference-a7%2Fr-esc)。

$$
PVR=\frac{\overline{P}_{PA}-P_{PAW}}{CO}
$$

基準状態では平均肺動脈圧が約17.9 mmHg、平均左房圧が約8.4 mmHg、心拍出量が約5.6 L/分で、この式で計算すると約1.7 Wood単位になる（平均肺動脈圧は正常範囲の上限寄りである）。モデルが出力する実効肺血管抵抗（約1.2 Wood単位）は、下流側の圧に左房圧ではなく肺静脈圧を使う点が、臨床の式と異なる。[^note-2]

## 予測：左室だけが弱ると、どちらの房圧が上がるか

基準から、一つずつ条件を変えた4つの状態を比べる。総血液量を300 mL増やす、左室の収縮（能動張力）を0.5倍にする、肺動脈弁を0.5 cm²に狭くして右室に圧の負荷をかける、心膜腔に250 mLの液体を入れる、の4つである。

### 確認問題: 左室の収縮だけを弱めた。平均右房圧と平均左房圧はどう変わるか。

- 左房圧が大きく上がり、右房圧はほとんど変わらない
- 両方が同じだけ上がる
- 右房圧が大きく上がり、左房圧は下がる

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 左房圧が大きく上がり、右房圧はほとんど変わらない

左心の拍出の曲線だけが下がると、血液は肺の側にたまり、左房圧が上がる。右室自由壁は変えていないので右心の曲線の変化は小さく、右房圧の変化も小さい。

</details>

## インタラクティブ・シミュレーション: 右房圧と左房圧

- Scenarios: 5
- Graphs: 2
- Outputs: 35
- Controls: 0
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均肺動脈圧
- Output: 平均肺動脈圧
- Output: 平均肺動脈圧
- Output: 平均肺動脈圧
- Output: 平均肺動脈圧
- Output: 心拍出量（右心）
- Output: 心拍出量（右心）
- Output: 心拍出量（右心）
- Output: 心拍出量（右心）
- Output: 心拍出量（右心）
- Output: 右室EDV
- Output: 右室EDV
- Output: 右室EDV
- Output: 右室EDV
- Output: 右室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）

実験では、条件を切り替えながら、右房・左房・肺動脈の圧と、左室と右室のPVループを見比べよう。右房圧と左房圧の数値が、同じ向きに動くか、逆向きに動くかに注目する。

<a id="article-figure-a7/fig-ra-la"></a>
**図1：右房圧と左房圧は、原因によって別々の方向へ動く**

![横軸に平均右房圧、縦軸に平均左房圧をとり、基準の点から4つの条件への矢印を描いた図。血液量を増やすと右上へ、左室の収縮を弱めると真上へ、肺動脈弁を狭くすると右下へ、心膜液を入れると右へ動く。破線は右房圧と左房圧が等しい線。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/f62f2054-2171-4aa6-8585-bf6faa191810.png>)

基準（赤い点）から、条件を一つだけ変えたときの平均右房圧と平均左房圧の変化。各条件は変更後120秒の周期定常。数値は各条件の心拍出量と平均肺動脈圧（mmHg）。破線は二つの房圧が等しい線。[^note-3]

CircleHeart Standard74の計算値から作図

総血液量を増やすと、両方の房圧が上がった（右房圧 約3.1→3.8、左房圧 約8.4→10.5 mmHg）。左室の収縮を弱めると、左房圧は約14.8 mmHgまで上がったが、右房圧は約3.3 mmHgとほとんど変わらなかった。肺動脈圧は約17.9から約23.3 mmHgへ受け身に上がった。肺動脈弁を狭くすると、右房圧は約4.9 mmHgに上がり、左房圧は約5.8 mmHgに下がった。心膜液を入れると、右房圧が約6.7 mmHgへ大きく上がり、左房圧は約9.4 mmHgと、二つの房圧が近づいた。

同じ「右房圧の上昇」でも、血液量の増加では左房圧も上がり、右心側の負荷では左房圧が下がる。逆に、血液量が変わらないまま左心だけが障害されると、左房圧は大きく上がっても、右房圧の上昇は小さい。右房圧から左房圧を推定できるのは、両者を同じ向きに動かす変化（血液量など）が主なときである。慢性の心不全では、腎臓が水とナトリウムを保持して血液量が増えるため、左右の房圧がそろって上がることが多く、Draznerらの約8割の一致はこの状況と矛盾しない（この記事の解釈で、Draznerらの結論ではない）。Campbellらの検討では、右房圧が高いのに楔入圧が高くない例は、右房圧も楔入圧も高い例より肺動脈収縮期圧が低かった（約41対約59 mmHg）[2)](#article-reference-a7%2Fr-campbell)。肺動脈圧を加えると、どちら側の問題かを見分ける手がかりが増える。ただし、肺動脈弁の狭窄では肺動脈圧は下がり、肺血管の病気では上がるので、どちらの右心側の問題を考えているかで読み方が変わる。

## 直接の相互作用：中隔と心膜

左右の心臓は、肺循環を介した直列の結合のほかに、直接にも影響しあう。左右の心室は中隔を共有し、同じ心膜に包まれているからである。肺動脈弁を狭くした条件では、右室の拡張末期容積が約141 mLから約225 mLに増え、左室の拡張末期容積は約144 mLから約102 mLに減った。主な理由は肺から左心へ戻る血液が減ったこと（左房圧 約8.4→5.8 mmHg）で、大きくなった右室が中隔を介して左室を押す影響も加わる（同じ容積での左室の拡張期圧が約1 mmHg高い）。実際の肺動脈弁狭窄では、右室は時間をかけて肥大し、ここまで急には拡大しない。

心膜液を入れた条件では、拡張末期の心膜の圧が約7.6 mmHgに上がった（一拍の中で約1〜8.5 mmHgと変動し、平均は約4.8 mmHg）。腔内で測った左室の拡張末期圧は約10.5 mmHgなのに、心室の壁を広げる経壁の拡張末期圧は約2.8 mmHgしかなく、左室の拡張末期容積は約97 mLに減った。房圧が高くても、心室は十分に満たされていない。心室の収縮の初め（心房の収縮の直後から駆出の初めまで、一拍の約1割）には、右房の腔内圧が心膜の圧を下回る（経壁圧が負になる）。心エコーで拡張末期から収縮早期にみられる右房の虚脱に相当する状態の、モデル上の類似物である。心拍出量は約3.8 L/分、平均大動脈圧は約67 mmHgまで下がった。心膜による拘束の詳しい扱いは、拡張能のコースで行う。[^note-4]

## 臨床の圧を読むとき

右房圧と左房圧（楔入圧）の組は、変化の場所を推定する手がかりになる。両方が高ければ血液量の増加や両心の障害、左だけが高ければ左心の問題、右だけが高ければ右心や肺循環の問題、両方が高く値が近づいていれば心膜による拘束を考える。ただし、Campbellらの検討では、左右の食い違いは心エコーで評価した右室の機能や弁の逆流の程度とは関連しなかった[2)](#article-reference-a7%2Fr-campbell)。また、実際の患者では複数の変化が重なり、神経・体液性の代償も加わるため、この組だけで原因を決めることはできない。

モデルの平均右房圧・平均左房圧は、房の圧を直接一周期で平均した値である。臨床のCVPは中心静脈で、楔入圧は肺動脈を楔入した位置で、呼気終末に測る。測る場所と時相が違うので、同じ名前の量として扱わない。

## 確認

### 確認問題: 右房圧が上がり、左房圧が下がった。最も考えやすい変化の場所はどこか。

- 右心や肺循環（右室から肺動脈まで）
- 左室
- 体循環の血液量の増加

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 右心や肺循環（右室から肺動脈まで）

右心側で流れが滞ると、血液は体循環側にたまり、肺・左心側へ届く量が減る。

</details>

### 確認問題: 周期定常で、右心と左心の平均拍出量について正しいものはどれか。

- 等しい。ただし左右の房圧は別々の値をとりうる
- 左心のほうが常に多い
- 等しいので、左右の房圧も等しい

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 等しい。ただし左右の房圧は別々の値をとりうる

血液がどこにもたまり続けないので、平均の流量は左右で等しい。房圧はそれぞれの心臓の性質と血液の配分で決まる。

</details>

### 確認問題: 心膜液で右房圧と左房圧が上がったのに、左室の拡張末期容積は減った。理由として正しいものはどれか。

- 心膜の圧が上がり、心室の壁を広げる経壁圧が小さくなったから
- 左室の収縮が弱くなったから
- 血液量が減ったから

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 心膜の圧が上がり、心室の壁を広げる経壁圧が小さくなったから

腔内の圧が高くても、その多くは外から押す心膜の圧で、心室を広げる経壁圧は小さい。

</details>

## 注釈

[^note-1]: **一般化した循環平衡とモデル**
    Uemuraらの式は、全心バイパス下のイヌで、負荷容積と左右の房圧を変えて還流量を測り、平面で近似したものである（係数は体重あたりの値）。本コースの実験は、この還流の平面をモデルから計算して表示してはいない。第6回の還流の構成曲線は、右心側（体循環）の関係におおまかに対応する。
    

[^note-2]: **モデルの肺血管抵抗**
    モデルの実効肺血管抵抗は、平均肺動脈圧と平均肺静脈圧の差を肺血流量で割った値で、どの条件でも約1.19 Wood単位だった。臨床のPVRは平均肺動脈圧と楔入圧の差を心拍出量で割る。楔入圧はむしろ肺静脈の圧に近いので、モデルの左房圧を楔入圧と同じとみなすこと自体も近似である（基準で肺静脈圧は左房圧より約2.8 mmHg高い）。モデルの肺血管抵抗の倍率は変えられる範囲が狭いため、この回では右心側の負荷として肺動脈弁の狭窄を用いた。これは肺高血圧や肺塞栓の再現ではない。
    

[^note-3]: **計算条件**
    各条件は基準状態から一つの設定を変えて120秒計算した後の周期定常である。左室の収縮0.5は左室自由壁と中隔の能動張力の倍率を下げた条件で、右室自由壁は変えていない。総血液量の変化は輸液と同じ操作ではない。反射による心拍数や血管の反応は含まない。
    

[^note-4]: **心膜液の条件**
    心膜腔に一定量の液体を置いた条件で、液体がたまる速さや心膜の伸び方の変化は含まない。反射がないため、心拍数や血管の代償は起きない。心膜液300 mLでは、数値計算の制約で計算できなかった（生理的な限界を示すものではない）。本文の心膜の圧は、拡張末期（僧帽弁閉鎖時）の腔内のLVEDPと経壁のLVEDPの差で、実験に表示される心膜の圧はその時点の値のため、再生中に変動する。
    

## 文献

<a id="article-reference-a7/r-drazner"></a>
1. [Relationship between right and left-sided filling pressures in 1000 patients with advanced heart failure](<https://doi.org/10.1016/S1053-2498(99)00070-4>) Drazner MH, Hamilton MA, Fonarow G, et al. J Heart Lung Transplant. 1999;18(11):1126–1132.

<a id="article-reference-a7/r-campbell"></a>
2. [Mismatch of right- and left-sided filling pressures in chronic heart failure](<https://doi.org/10.1016/j.cardfail.2011.02.013>) Campbell P, Drazner MH, Kato M, et al. J Card Fail. 2011;17(7):561–568.

<a id="article-reference-a7/r-uemura"></a>
3. [A novel framework of circulatory equilibrium](<https://doi.org/10.1152/ajpheart.00654.2003>) Uemura K, Sugimachi M, Kawada T, et al. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2004;286(6):H2376–H2385.

<a id="article-reference-a7/r-esc"></a>
4. [2022 ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension](<https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehac237>) Humbert M, Kovacs G, Hoeper MM, et al. Eur Heart J. 2022;43(38):3618–3731.
