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title: "低血圧を逆に読む――同じ血圧の低下を、心臓・血管・血液量に分けて見分ける"
locale: "ja"
public_slug: "hypotension-heart-vessels-blood-volume"
tags: ["低血圧", "心拍出量", "充満圧", "血管抵抗", "静脈還流"]
published_at: "2026-09-23T05:44:51.627198Z"
updated_at: "2026-09-23T05:44:51.627198Z"
article_content_id: "8a9cd863-f85b-46a3-81c2-016960b29d78"
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# 低血圧を逆に読む――同じ血圧の低下を、心臓・血管・血液量に分けて見分ける

平均血圧が70 mmHg台に下がった患者が4人いる。血圧だけを見れば同じだが、原因が違えば、次にすべきことも違う。欧州集中治療医学会のコンセンサスは、ショックを、流量が低い三つの型（循環血液量減少性・心原性・閉塞性）と、流量が保たれやすい血液分布異常性の、四つのパターンで考えるとし、原因が重なることも多いと述べている。診察で型がはっきりしなければ追加の評価を行い、まず心エコーを、複雑な例では肺動脈カテーテルなども用いることを提案している[1)](#article-reference-a8%2Fr-cecconi)。

この回は、これまでの7回の総まとめである。同じように血圧が下がった四つの状態を、血液量、血管、左室、心臓の外からの拘束という部品に分けて比べる。読み終えたら、平均血圧が同じでも、心拍出量・右房圧・左房圧・心室の容積の組み合わせから機序を推定できる。どの測定を加えれば機序を見分けられるかを選べる。代償として働く調節が、血圧と流量のどちらを戻すかを説明できる。

## 血圧の低下は、流量か抵抗のどちらかから来る

第4回で見たように、平均血圧と右房圧の差は、心拍出量と体血管抵抗の積である。平均血圧が下がるのは、心拍出量が下がるか、抵抗が下がるか、その両方である。

$$
MAP-RAP=CO\times SVR
$$

心拍出量が下がる理由は、さらに分けられる。心臓へ戻る血液が減る（血液量と血管の容量、第6回）、心室が送り出せない（収縮、第3・5回）、心室が満たされない（外からの拘束や右心側の障害、第7回）、弁が妨げる（第2回）、のいずれかである。どこが原因かによって、左右の房圧と心室の容積は違う方向へ動く。

## 予測：4人の違いは、どこに表れるか

基準の状態から、部品を一つだけ変えて、平均血圧を約72〜73 mmHgにそろえた四つの状態をつくった。総血液量を4290 mLに減らした状態、体血管抵抗を下げ静脈の張り（静脈を収縮させて無負荷容積を減らす設定、第6回）をなくした状態、左室の収縮を0.35倍に弱めた状態、心膜腔に230 mLの液体を入れた状態である。このモデルには反射がないので、心拍数や血管の代償的な反応は起きていない。

### 確認問題: 平均血圧がそろった四つの状態のうち、平均左房圧が最も高いのはどれか。

- 左室の収縮低下
- 心膜液
- 血管の拡張
- 血液量の減少

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 左室の収縮低下

左室が送り出せないと、血液は肺の側にたまり、左房圧が上がる（第7回）。心膜液では右房圧が大きく上がるが、左房圧の上昇は小さい。血液量の減少ではどちらの房圧も下がり、血管の拡張では左房圧が下がって右房圧はほとんど変わらない。

</details>

### 確認問題: 同じ四つの状態のうち、心拍出量が最もよく保たれているのはどれか。

- 血管の拡張
- 血液量の減少
- 心膜液

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 血管の拡張

血管の拡張では、主に抵抗が下がって血圧が下がる。流量の低下は小さい。ほかの三つは、流量が下がって血圧が下がる。なお、実際の血液分布異常性ショックでは心拍出量が増えることが多いが、このモデルには反射による頻脈や輸液がないため、心拍出量は基準よりわずかに低い。

</details>

## インタラクティブ・シミュレーション: 平均血圧をそろえた四つの状態

- Scenarios: 5
- Graphs: 2
- Outputs: 40
- Controls: 0
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 心拍出量
- Output: 心拍出量
- Output: 心拍出量
- Output: 心拍出量
- Output: 心拍出量
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: SV
- Output: SV
- Output: SV
- Output: SV
- Output: SV
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）

実験では、条件を切り替えながら、左室と右室のPVループ、大動脈と左右の房の圧、数値を比べよう。ループの位置（容積）と、左右の房圧の組に注目する。

<a id="article-figure-a8/fig-fingerprint"></a>
**図1：平均血圧がそろった四つの状態の「指紋」**

![5行7列の表。行は基準、血液量の減少、血管の拡張、左室の収縮低下、心膜液。列は平均血圧、心拍出量、右房圧、左房圧、左室EDV、実効体血管抵抗、平均肺動脈圧。基準より高い値は赤、低い値は青で塗られ、色の濃さは変化の大きさを示す。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/42f27c01-7aa6-42af-ae3a-57a131d4631e.png>)

各状態は基準から一つの部品だけを変えた周期定常。平均血圧（平均大動脈圧）はいずれも約72〜73 mmHg。赤は基準より上昇、青は低下。圧はmmHg、心拍出量はL/分、左室EDVはmL、実効体血管抵抗はmmHg·min/L（冠血流を除いた流量で計算、第4回）。[^note-1]

CircleHeart Standard74の計算値から作図

四つの状態は、平均血圧は同じでも、ほかの数値の組み合わせがはっきり違った（[図1](#article-figure-a8%2Ffig-fingerprint)）。血液量を減らすと、心拍出量（約4.4 L/分）、右房圧（約2.1 mmHg）、左房圧（約4.8 mmHg）、左室のEDV（約110 mL）、平均肺動脈圧がそろって下がった。血管を拡張すると、実効体血管抵抗が約15.8から約12.5 mmHg·min/Lに下がり、心拍出量は約5.5 L/分とほとんど保たれた。左室の収縮を弱めると、心拍出量は約4.3 L/分に下がり、左房圧は約20.7 mmHg、平均肺動脈圧は約28 mmHg、左室のEDVは約180 mLまで上がった。左室が大きくなると心膜の拘束も働き始め（拡張末期の心膜の圧 約2.2 mmHg）、右房圧も約3.1から約4.1 mmHgへ少し上がった。心膜液では、拡張末期の心膜の圧が約6.9 mmHgに上がり、右房圧は約6.1 mmHgと上がったのに、左室のEDVは約104 mLと小さかった。

ここから、見分けに役立つ測定が選べる。心拍出量は血管の拡張とほかの三つを分ける。左右の房圧は、血液量の減少（両方低い）、左室の障害（左だけ高い）、外からの拘束（右が高く、左右が近づく）を分ける。心室の容積（心エコー）は、同じ「房圧が高い」でも、左室が大きく満たされている場合（左室の障害）と、満たされていない場合（心膜液）を分ける。一つの数値ではなく、数値の組で読むことが要点である。

## 臨床の血行動態分類との対応

急性心筋梗塞の患者200人を対象にしたForresterらの研究は、心係数2.2 L/分/m²と肺毛細血管圧18 mmHgを境に四つの群を分け、死亡率が群によって2.2%から55.5%まで違うことを示した[2)](#article-reference-a8%2Fr-forrester)。心不全の入院患者でも、診察で判断したうっ血と低灌流の有無による四つのプロファイルが予後を分けた[3)](#article-reference-a8%2Fr-nohria)。これらは、流量（灌流）と、充満圧の上昇を示すうっ血という二つの軸で状態を読む方法で、この回の考え方と同じ構造をもつ。ただし、この回の四つの状態を体表面積1.9 m²で心係数に直すと約2.2〜2.9 L/分/m²で、Forresterの境界（2.2）付近かそれより上にある。反射のない、平均血圧をそろえただけの軽い低血圧の状態であり、組織の低灌流を伴うショックそのものではない。二つの軸で読むという構造だけを対応させている。

ただし、これらの分類は病気の原因の分類ではなく、そのときの血行動態の状態の分類である。実際の患者では機序が重なることが多く、北米16施設の心臓集中治療室でショックとされた677例の20%は混合型だった[4)](#article-reference-a8%2Fr-berg)。また、生体では反射がすぐに働くため、ここで見た「代償のない」数値の組とは違って見える。

## 予測：代償は、血圧と流量のどちらを戻すか

実際の患者では、血圧が下がると自律神経の反射が働き、心拍数が上がり、細動脈が収縮し、静脈も収縮する。このモデルには反射がないので、血液量を減らした状態（4290 mL）に、読者がこれらの調節を一つずつ加えて比べる。心拍数を100回/分に上げる、体血管抵抗の倍率を1.25（基準1.04）にする、静脈の張りを0.15から0.5に上げる（静脈の無負荷容積の約300 mLが負荷容積に移る）、の三つである。

### 確認問題: 血液量を減らした状態に、次の調節を一つだけ加えた。平均血圧と心拍出量の両方が最も回復するのはどれか。

- 静脈の張りを上げる
- 心拍数を上げる
- 体血管抵抗を上げる

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 静脈の張りを上げる

静脈を収縮させると、無負荷容積の一部が負荷容積に変わり、心臓へ戻る血液が増える（第6回）。心拍数だけを上げても還流は増えず、抵抗を上げると血圧は上がるが流量は増えない。

</details>

## インタラクティブ・シミュレーション: 血液量の減少に、調節を一つ加える

- Scenarios: 4
- Graphs: 2
- Outputs: 32
- Controls: 0
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 平均大動脈圧
- Output: 心拍出量
- Output: 心拍出量
- Output: 心拍出量
- Output: 心拍出量
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: 左室EDV
- Output: SV
- Output: SV
- Output: SV
- Output: SV
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 実効体血管抵抗
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）
- Output: 心膜の圧（その時点の値）

実験の結果を[図2](#article-figure-a8%2Ffig-compensation)にまとめた。心拍数を上げても、平均血圧（約72 mmHg）も心拍出量（約4.3 L/分）も戻らなかった。体血管抵抗の倍率を上げると、実効体血管抵抗は約15.8から約18.1 mmHg·min/Lに上がり、平均血圧は約82 mmHgまで上がったが（基準の約94には届かない）、心拍出量は約4.3 L/分のままだった。静脈の張りを上げると、平均血圧は約83 mmHg、心拍出量は約5.0 L/分と、両方が上がった。心臓へ戻る血液を増やす調節だけが、流量を増やした。

<a id="article-figure-a8/fig-compensation"></a>
**図2：血液量の減少に、調節を一つずつ加えたとき**

![2つの横棒グラフ。左は平均血圧、右は心拍出量で、血液量の減少のみ、心拍数100、抵抗の倍率1.25、静脈の張り0.5の4条件。平均血圧は抵抗と静脈の張りで回復するが、心拍出量は静脈の張りでだけ回復する。破線は基準の値。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/f694cf80-47e3-44bd-9f37-2ec44f3ee808.png>)

総血液量4290 mLの状態に、調節を一つだけ加えた周期定常。破線は基準状態（総血液量4935 mL）の値で、実験には基準の条件を含めていない。モデルには反射がないので、これらは読者が加えた操作であり、生体の反射の大きさや組み合わせを再現したものではない。[^note-1]

CircleHeart Standard74の計算値から作図

生体では、これらの調節が同時に、神経や体液の働きで起きる。そのため、血液量が減った患者では、抵抗が上がって血圧が保たれ、心拍数も上がることが多い。代償が加わると、[図1](#article-figure-a8%2Ffig-fingerprint)の「指紋」も変わる。血圧が保たれていても、流量が保たれているとは限らない。

## このコースで身につけたこと

一拍の圧・容積・流量（第1回）と、弁が圧の差を流れに変える仕組み（第2回）から始め、心室を2本の曲線（第3回）、動脈の負荷をEa（第4回）で表し、それらが充満から拍出への関係（第5回）をつくることを見た。心拍出量は心臓と血管の交点で決まり（第6回）、二つの心臓は直列につながりながら左右の房圧を別々に動かす（第7回）。この回では、それらを組み合わせて、観察された数値の組から原因を推定した。

この先のコースでは、収縮の低下（HFrEF）、拡張の障害（HFpEF）、弁の病気を、同じ道具で読む。ESPVRが動いたのか、EDPVRが動いたのか、弁で圧の差が生じたのか、血液量や血管が変わったのか。どの曲線が動き、閉じた循環がどこに落ち着いたのかを分けて考えることが、病態を理解する出発点になる。

## 確認

### 確認問題: 低血圧の患者で、心拍出量が低く、右房圧が高く、左房圧はほぼ正常で、左室が小さかった。最も考えやすい機序はどれか。

- 心臓の外からの拘束（心膜液など）や右心側の障害
- 左室の収縮低下
- 血管の拡張

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 心臓の外からの拘束（心膜液など）や右心側の障害

右房圧が高いのに左室が満たされていないので、左室へ血液が届かないか、外から押されて広がれない状態を考える。

</details>

### 確認問題: 血液量を減らした状態で体血管抵抗を上げると、平均血圧は戻ったが心拍出量は戻らなかった。理由として正しいものはどれか。

- 抵抗を上げても、心臓へ戻る血液は増えないから
- 抵抗を上げると心臓の収縮が弱くなるから
- 平均血圧が戻れば、心拍出量は計算上必ず下がるから

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 抵抗を上げても、心臓へ戻る血液は増えないから

流量は心臓側と血管側の還流の交点で決まる。細動脈の抵抗を上げても、還流の曲線はほとんど動かない。

</details>

## 注釈

[^note-1]: **計算条件と限界**
    各状態は、基準状態から部品を一つだけ変えて120秒計算した後の周期定常で、さらに20秒計算しても拍ごとの値の変化は0.04%未満だった。平均血圧をそろえるため、総血液量は4290 mL、左室の能動張力（左室自由壁と中隔）は0.35倍、心膜液は230 mL、血管の拡張は体血管抵抗の倍率0.75（基準1.04）と静脈の張り0（基準0.15）とした。モデルで変えられる範囲の制約から、血管の拡張だけは二つの設定を組み合わせた。
    
    これらの状態は、それぞれのショックの型を一つの部品に限って表した思考実験で、病気の再現ではない。血液量の減少は出血と同じではなく（血管外からの水分の移動や反射がない）、血管の拡張は敗血症と同じではない（心筋の抑制や毛細血管からの漏れがない）。左室の収縮低下は壁全体の能動張力を下げたもので、心筋梗塞のような局所の障害ではない。モデルの平均左房圧は楔入圧と、右房圧はCVPと、それぞれ同じ測定ではない。心係数は体表面積1.9 m²として換算できるが、本文では心拍出量で示した。本文の心膜の圧は拡張末期（僧帽弁閉鎖時）の値で、実験に表示される心膜の圧はその時点の値のため、再生中に変動する（第7回）。
    

## 文献

<a id="article-reference-a8/r-cecconi"></a>
1. [Consensus on circulatory shock and hemodynamic monitoring. Task force of the European Society of Intensive Care Medicine](<https://doi.org/10.1007/s00134-014-3525-z>) Cecconi M, De Backer D, Antonelli M, et al. Intensive Care Med. 2014;40(12):1795–1815.

<a id="article-reference-a8/r-forrester"></a>
2. [Correlative classification of clinical and hemodynamic function after acute myocardial infarction](<https://doi.org/10.1016/S0002-9149(77)80182-3>) Forrester JS, Diamond GA, Swan HJ. Am J Cardiol. 1977;39(2):137–145.

<a id="article-reference-a8/r-nohria"></a>
3. [Clinical assessment identifies hemodynamic profiles that predict outcomes in patients admitted with heart failure](<https://doi.org/10.1016/S0735-1097(03)00309-7>) Nohria A, Tsang SW, Fang JC, et al. J Am Coll Cardiol. 2003;41(10):1797–1804.

<a id="article-reference-a8/r-berg"></a>
4. [Epidemiology of Shock in Contemporary Cardiac Intensive Care Units](<https://doi.org/10.1161/CIRCOUTCOMES.119.005618>) Berg DD, Bohula EA, van Diepen S, et al. Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2019;12(3):e005618.
