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title: "Guytonの循環平衡――心臓と血管が流量を決める"
locale: "ja"
public_slug: "guyton-circulatory-equilibrium"
published_at: "2026-09-13T08:37:45.044176Z"
updated_at: "2026-09-13T08:37:45.044176Z"
article_content_id: "d7736af1-f9d1-4718-8c50-8a3aaaf57da0"
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# Guytonの循環平衡――心臓と血管が流量を決める

安定した閉ループ循環では、心臓が送り出す平均流量と、心臓へ戻る平均流量が一致する。片方が上回り続ければ、その間に血液がたまり続けるからだ。

この保存則に、心臓の拍出特性と血管の還流特性を組み合わせたものが、Guytonの循環平衡である。横軸に右房圧、縦軸に流量を取り、二つの関係を同じ平面に置く。

## 心機能曲線と静脈還流曲線

心機能曲線は、右房圧などの充満条件に対する心拍出量の応答を表す。右室、肺循環、左室を通じた心臓側全体の応答を、一つの関係にまとめる。[^note-1]

血管側では、心臓へ戻る出口の圧に対して、どれだけ還流するかを表す。これが静脈還流曲線である。右房圧は、心臓側では充満に関係する圧、血管側では還流先の圧として働く。

静脈が開存し、抵抗を一定とみなす範囲では、

$$
Q_{VR}=\frac{P_{msf}-P_{RA}}{R_{VR}}
$$

と表せる。Pmsfは、流れを止めて体循環内の圧が平衡化した状態を表す平均体循環充満圧である。Rᵥᵣは静脈還流に対する有効抵抗を表す。Pmsf−Pᵣₐが還流の駆動圧となり、Rᵥᵣがその圧較差に対する流れやすさを決める。Guytonら, 1957[1)](#article-reference-block%2F07%2F009)

## 流れを止めると、圧が近づく

動脈と静脈の圧の差は、流れを止めた後に小さくなる。Maasらの研究[2)](#article-reference-block%2F07%2F012)に示された上腕の血流遮断では、動脈圧が下がり、静脈圧が上がり、約30秒で近い値へ落ち着いている。[図1](#article-figure-block%2F07%2F013)

<a id="article-figure-block/07/013"></a>
**図1：上腕の血流遮断で測定した平衡圧**

![上腕の血流を遮断した前後の動脈圧と静脈圧の実測波形](<https://media.springernature.com/full/springer-static/image/art%3A10.1007%2Fs00134-012-2586-0/MediaObjects/134_2012_2586_Fig1_HTML.gif>)

横軸は時間、縦軸は圧。0秒で上腕の血流を遮断し、約35秒で解除した一例。著者らは遮断30秒後の動脈圧を、上腕の平衡圧Parmとして取得した。

原著 Fig. 1 · © The Author(s) 2012 · 原図のまま掲載[2)](#article-reference-block%2F07%2F012) · [CC BY（原著の利用条件）](<https://link.springer.com/article/10.1007/s00134-012-2586-0#rightslink>)

この波形から、流れがあるときの動静脈の圧較差と、流れを止めた領域の平衡圧を区別できる。体循環全体に対して定義するPmsfも、血管内の量と容量特性から定まる平衡圧である。[^note-2]

## 測定点から、静脈還流の関係を推定する

心臓を止めずにPmsfを調べる方法として、人工呼吸中の吸気ホールドを利用した測定がある。胸腔内圧を変えて得た中心静脈圧CVPとCOの組に直線を当てはめ、流量ゼロまで外挿する。横軸との交点が、その方法によるPmsfの推定値になる。

[図2](#article-figure-block%2F07%2F020)は、冠動脈バイパス術後の患者で得た圧・流量の測定結果をまとめたものである。左側の青線がCO–CVPの静脈還流関係、右側の赤線がCO–平均動脈圧MAPの関係を表す。二組の線は横軸に使う圧が異なる。

<a id="article-figure-block/07/020"></a>
**図2：酸素化条件による血管側の圧–流量関係**

![測定結果の平均値から構成した静脈還流曲線とCO–平均動脈圧関係](<https://media.springernature.com/full/springer-static/image/art%3A10.1186%2Fs13613-017-0246-9/MediaObjects/13613_2017_246_Fig1_HTML.gif>)

実線は通常酸素化、破線は高酸素化の条件。左側の青線の流量ゼロ切片がPmsf、右側の赤線の切片が動脈側のcritical closing pressure（Pcc）である。図は個々の観測点ではなく、測定結果の平均値から構成した関係を示す。

原著 Fig. 1 · © The Author(s) 2017 · 原図のまま掲載[3)](#article-reference-block%2F07%2F021) · [CC BY 4.0](<https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/>)

青線では、切片の位置と傾きを別々に読める。還流を支える圧が増えても、流れに対する抵抗が同時に変われば、COへの影響は両者の組み合わせで決まる。血管の作用を一つの圧だけで理解するより、圧と流量の関係として捉えた方が、変化の理由を説明しやすい。[^note-3]

## なぜ静脈還流抵抗は、体血管抵抗と違うのか

体循環を、コンプライアンスCₐを持つ動脈と、Cᵥを持つ静脈に単純化する。動脈から静脈までの抵抗をRₐ、静脈から右房までをRᵥとする。外圧をゼロにそろえ、各区画の圧–容積関係を線形と置く。

定常流量Qでは、動脈圧Pₐと静脈圧Pᵥは、

$$
P_v=P_{RA}+QR_v,\qquad
P_a=P_{RA}+Q(R_a+R_v)
$$

となる。血管を張っている血液量Vₛを保存すると、

$$
V_s=C_aP_a+C_vP_v
$$

である。流れを止めて体循環内の圧が平衡化したとき、同じ血液量は(Cₐ+Cᵥ)Pmsfとして表せる。前の式を代入すれば、

$$
P_{msf}=P_{RA}
+Q\left(R_v+\frac{C_a}{C_a+C_v}R_a\right)
$$

を得る。したがって、このモデルの静脈還流抵抗は、

$$
R_{VR}=R_v+\frac{C_a}{C_a+C_v}R_a
$$

になる。動脈側の抵抗は、コンプライアンスの比で重み付けされる。圧較差/流量で求める体血管抵抗Rₐ+Rᵥとは、組み合わせが異なる。静脈還流は、抵抗だけでなく血液の貯留と分配から決まる。[^note-4]

## 心臓を強めると、COが増え、右房圧が下がる

心機能曲線の一部を、傾きGを持つ直線Q=G(Pᵣₐ−P₀)で近似する。P₀はこの直線を流量ゼロへ延ばした圧である。静脈還流との一致条件を解くと、

$$
Q=\frac{G(P_{msf}-P_0)}{1+GR_{VR}},\qquad
P_{RA}=\frac{P_{msf}+GR_{VR}P_0}{1+GR_{VR}}
$$

となる。Pmsf、Rᵥᵣ、P₀を保ち、Pmsf&gt;P₀の範囲でGを大きくすると、COは増え、右房圧は下がる。心臓がより低い充満圧で拍出できるようになり、血管側との新しい釣り合いに達するからだ。

Gを十分に大きくすると、COは(Pmsf−P₀)/Rᵥᵣへ近づく。収縮を強めた効果が、血管側の条件によって頭打ちになる様子が分かる。Starlingで学んだ「充満を増やす」と、ここでの「心臓の関係を変える」は、図上の異なる操作である。

## 血液を足す操作と、静脈の容量を変える操作

血管の容量特性を、基準圧で収まる量VᵤとコンプライアンスCを用いて、V=Vᵤ+CPと表す。血液量Vの追加と、Vᵤの減少は、どちらも血管を張る量V−Vᵤを増やす。前者では血液の総量が増え、後者では同じ血液量の分布と圧が変わる。

シミュレーションでは、基準状態、総血液量を300 mL増やした状態、総量を保って静脈トーンを0.15から0.30へ上げた状態を比較する。このモデルの静脈トーンは、体静脈区画のVᵤを減らす設定である。心拍数70 bpm、心筋の設定、体血管抵抗の設定は共通に保つ。[^note-5]

## インタラクティブ・シミュレーション: 血液量と静脈トーンから、循環平衡を変える

- Scenarios: 3
- Graphs: 2
- Outputs: 12
- Controls: 2
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 平均右房圧
- Output: 左心拍出量
- Output: 左心拍出量
- Output: 左心拍出量
- Output: 体静脈還流量
- Output: 体静脈還流量
- Output: 体静脈還流量
- Control: 総血液量 (mL)
- Control: 静脈トーン

静脈還流側の関係と、血液量を変えて求めた拍出・房圧の点列を、同じ平面で読む。最初に左右の房圧とCOの作動点を確かめ、次に各条件の曲線の位置を比べる。血液量は貯留する量を、静脈トーンは容量特性を変える。この二つを独立に操作すると、同じ循環血液量から圧と流量が変わる過程を調べられる。

この実験の右下がりの線は、保存された血液分布と血管の性質から計算した関係である。点列は、各総血液量で循環を整定させたシミュレーションの結果を表す。原著論文の実測図と、アプリ内の計算結果を対応づけて観察する。[^note-6]

## 平衡点へ至る過程には、血液の移動がある

収縮を変えた直後には、心臓から出る量と戻る量に差が生じ、各区画の血液量が変わる。房圧とEDVも動き、新しい循環平衡へ向かう。

さらに還流先の圧を下げ、大静脈が周囲の圧に対してつぶれると、流れが制限される。開存した血管の直線的な関係から、流量が増えにくい領域へ移る。[^note-7]

血液量の異なる三つの状態を、PV loopと圧波形でも比べる。静脈還流側の条件が変わると、心室へ入る量が変わり、PV loopの幅も変わる。心室内の一拍と、全循環の流量をつなげて読む。

## インタラクティブ・シミュレーション: 心室の一拍と、全循環の流量をつなぐ

- Scenarios: 3
- Graphs: 2
- Outputs: 12
- Controls: 1
- Output: 左心拍出量
- Output: 左心拍出量
- Output: 左心拍出量
- Output: 右心拍出量
- Output: 右心拍出量
- Output: 右心拍出量
- Output: 体静脈還流量
- Output: 体静脈還流量
- Output: 体静脈還流量
- Output: 肺静脈還流量
- Output: 肺静脈還流量
- Output: 肺静脈還流量
- Control: 総血液量 (mL)

周期的な定常状態では、拍ごとに平均した体静脈還流、右心拍出、肺静脈還流、左心拍出がそろう。各流量の瞬間値には時間差があるため、対応する一拍の平均で比較する。血液がたまり続けないことと、心臓・血管の特性を同時に満たす位置が、循環の平衡点となる。

### 確認問題: このモデルで総血液量を保ち、静脈トーンを0.15から0.30へ上げたとき、直接変更したものは何か。

- 体静脈区画の基準容量Vᵤ
- 心筋の能動張力
- 体血管抵抗の設定

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 体静脈区画の基準容量Vᵤ

体静脈区画のVᵤの合計が135 mL減る。総血液量が同じでも、血管を張る量と圧が変わり、新しい循環平衡へ向かう。

</details>

[PV関係から、Starling曲線を導く](/ja/articles/pv-relations-frank-starling)
心機能曲線を生む前負荷への応答を、PV関係から確かめる。

## 注釈

[^note-1]: **右房圧と心機能曲線**
    右房圧は左室前負荷そのものではない。心機能曲線は指定した右室・肺循環・左室の条件を含む。閉ループで血液量を変えて得た整定点列と、右房圧を独立に制御した心機能曲線は、測定手順が異なる。
    

[^note-2]: **上腕平衡圧と体循環充満圧**
    図1は腕の局所的な無流量平衡の記録で、体循環全体を停止したPmsfの直接測定ではない。原著は、心臓手術後の人工呼吸患者11例で複数の推定法を比較し、遮断時間の検討は別の予備測定9例で行った。Pmsf、局所のParm、モデルによるPmsaは、取得法を区別して読む。
    

[^note-3]: **実測図の取得法と解釈**
    Helmerhorstらは人工呼吸中の冠動脈バイパス術後患者を対象に、通常酸素化と15分間の高酸素化を比較した。図2の赤線はCO–MAPで、Guyton図に重ねるCO–右房圧の心機能曲線とは異なる。COは動脈圧波形から推定した値を用い、Pmsfは吸気ホールド中のCVP–CO関係から外挿している。介入の前後で変わった全機序を、この図だけから一つに特定しない。酸素条件は研究手順であり、治療設定の推奨ではない。
    

[^note-4]: **二区画モデルの仮定**
    二区画の導出は、一定の線形コンプライアンス、一定抵抗、体循環内の保存量、共通外圧、周期平均の定常状態を仮定する。多区画・非線形のCircleHeartの解析式を置き換えるものではない。全循環を止めた平均循環充満圧と、体循環のPmsfも区別する。
    

[^note-5]: **静脈トーンのモデル上の意味**
    現行モデルではトーン0.15の増加により、体静脈SVと大静脈VCの基準容量Vᵤの合計が135 mL減る。抵抗やコンプライアンス曲線の形を直接変える操作は含まない。生体の交感神経反応やノルアドレナリンでは心臓・動脈・静脈への作用が重なるため、このつまみを薬剤投与量へ換算しない。
    

[^note-6]: **アプリ内曲線の計算手順**
    アプリの還流側の線は、ある時点の血管内量・圧容積関係・外圧・損失係数を固定して得る構造的な関係で、右房圧を変えた実際の応答ではない。拍ごとの平均作動点に合わせて圧座標を平行移動する処理を含む。Starling側の点列は、一つの元条件を整定後に冠循環トーンを固定し、総血液量を段階的に変えて計算する。各点で房圧と血液分布も変わるため、右房圧を独立制御して得る古典的心機能曲線とは取得法が異なる。曲線の交差自体を、モデルが実測の循環平衡を再現した証拠とは扱わない。
    

[^note-7]: **静脈虚脱と因果の解釈**
    虚脱の境界は周囲の圧や部位に依存し、右房圧0 mmHgに普遍的に固定されない。平衡曲線上の相関だけから、右房圧変化をCO変化の独立原因とは判定しない。因果解釈の検討：Beard・Feigl, 2011[4)](#article-reference-block%2F07%2F058)。
    

## 文献

<a id="article-reference-block/07/009"></a>
1. [Venous Return at Various Right Atrial Pressures and the Normal Venous Return Curve](<https://doi.org/10.1152/ajplegacy.1957.189.3.609>) Guyton AC, Lindsey AW, Abernathy B, et al. American Journal of Physiology-Legacy Content. 1957;189(3):609-615.

<a id="article-reference-block/07/012"></a>
2. [Estimation of mean systemic filling pressure in postoperative cardiac surgery patients with three methods](<https://doi.org/10.1007/s00134-012-2586-0>) Maas JJ, Pinsky MR, Geerts BF, et al. Intensive Care Med. 2012;38(9):1452–1460.

<a id="article-reference-block/07/021"></a>
3. [Hemodynamic effects of short-term hyperoxia after coronary artery bypass grafting](<https://doi.org/10.1186/s13613-017-0246-9>) Helmerhorst HJ, de Wilde RB, Lee DH, et al. Annals of Intensive Care. 2017;7(1):20.

<a id="article-reference-block/07/058"></a>
4. [Understanding Guyton’s venous return curves](<https://doi.org/10.1152/ajpheart.00228.2011>) Beard DA, Feigl EO. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2011;301(3):H629–H633.
