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title: "充満圧を、容積・硬さ・弛緩・外圧から読む"
locale: "ja"
public_slug: "filling-pressure-volume-relaxation"
published_at: "2026-09-13T08:37:51.112633Z"
updated_at: "2026-09-13T08:37:51.112633Z"
article_content_id: "c05cc2eb-0160-4d44-bc93-e469ffd49d5c"
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# 充満圧を、容積・硬さ・弛緩・外圧から読む

左室充満圧は、血液を受け入れるときに必要となる圧を表す。左房から左室へ流れる血液は、拡張期の圧較差に沿って移動する。左室が硬くなると、同じ容積まで満たすために高い圧が必要になる。弛緩が遅れれば、流入を始める時刻と、充満に使える時間が変わる。

充満圧を読むには、容積と圧を組み合わせ、さらに圧を測る時点と基準をそろえる。本稿では、拡張末期圧–容積関係から始め、弛緩、外圧、心房の働きへと広げる。

## 同じ容積を受け入れるために、どれだけ圧が必要か

十分に弛緩した心室へ血液を加えると、心室壁が伸び、内圧が上がる。小さい容積では比較的なだらかに、大きい容積では急に圧が上がる。この関係を表すのが、拡張末期圧–容積関係EDPVRである。

指数関数で近似すると、圧Pedと拡張末期容積EDVの関係は次の形になる。αは圧の尺度、βは容積に対する曲がり方、Vdはこの式の圧ゼロの容積である。[^note-1]

$$
P_{ed}=\alpha\{e^{\beta(EDV-V_d)}-1\}
$$

ある容積の近くでの硬さは、曲線の傾きdP/dVで読む。上の式を微分すると、次の関係が得られる。

$$
K_{ed}=\frac{dP_{ed}}{dEDV}=\beta(P_{ed}+\alpha),\qquad C_{ed}=\frac{dEDV}{dP_{ed}}=\frac{1}{\beta(P_{ed}+\alpha)}
$$

同じEDPVR上でも、高い圧・大きい容積へ進むほど傾きは急になる。つまり、心筋の性質を保ったまま血液を増やす操作だけでも、作動点での硬さは増す。心筋の受動的な性質そのものを変える操作では、比較する曲線自体が変わる。

この二つを分けて観察するのが、次の四条件である。まず受動張力倍率1.04のまま総血液量を4935から5235 mLへ増やし、EDVと左室拡張末期圧を比較する。次に倍率1.30の二条件で同じ比較を行う。血液量をそろえて倍率を比較すれば、受け入れに必要な圧の違いが読める。[^note-2]

## インタラクティブ・シミュレーション: 血液量と受動張力の四条件を比べる

- Scenarios: 4
- Graphs: 3
- Outputs: 16
- Controls: 3
- Output: 一回拍出量
- Output: 一回拍出量
- Output: 一回拍出量
- Output: 一回拍出量
- Output: 左室拡張末期容積
- Output: 左室拡張末期容積
- Output: 左室拡張末期容積
- Output: 左室拡張末期容積
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: LVEDP（経壁圧）
- Output: LVEDP（経壁圧）
- Output: LVEDP（経壁圧）
- Output: LVEDP（経壁圧）
- Control: 総血液量 (mL)
- Control: 左室自由壁の受動張力倍率
- Control: 中隔の受動張力倍率

平均左房圧も見てみよう。左室の圧上昇は、左房から血液を送り込むために必要な圧と結びつく。SVの増加だけでなく、その増加とともに充満圧がどれだけ上がったかを調べると、拍出を保つための負担が見える。

## Starling曲線を圧で描くと、拡張特性が入る

直線ESPVRと一定のEaを使うと、一回拍出量はSV＝Ees/(Ees＋Ea)×(EDV−V₀)で表せる。Ees、Ea、V₀を保てば、容積の増分に対するSVの増分は一定である。

横軸を拡張末期圧へ変えると、圧から容積への変換が加わる。先ほどのEDPVRを組み合わせれば、次のようになる。

$$
\left.\frac{dSV}{dP_{ed}}\right|_{E_{es},E_a,V_0}
=\frac{E_{es}}{E_{es}+E_a}\frac{1}{\beta(P_{ed}+\alpha)}
$$

圧が高いほど、同じ圧の上昇に対する容積の増分が小さくなり、SVの増分も小さくなる。圧を横軸にしたStarling曲線の平坦化には、拡張期の圧–容積関係が組み込まれている。心機能曲線を比べるときは、横軸が容積か圧かを最初に確認する。[^note-3]

## 弛緩は、圧を下げる速さを決める

大動脈弁が閉じると、左室は容積をほぼ保ったまま圧を下げる。左室圧が左房圧を下回ると僧帽弁が開き、流入が始まる。弛緩が速いほど、この圧較差を早くつくれる。

等容弛緩期の圧低下を指数関数で表すと、その速さを時定数τで記述できる。P∞は圧が近づく値である。

$$
P(t)=P_{\infty}+[P(0)-P_{\infty}]e^{-t/\tau}
$$

1τが経過すると、P∞からの圧差は開始時の約37%になる。3τで約5%になる。τが40 msの例なら120 ms、80 msなら240 msを要する。同じ時間だけ待っても、残っている圧差は異なる。[^note-4]

ここで、硬さと弛緩を測る問いが分かれる。EDPVRは「受け入れた容積に対して、どの圧になるか」を扱う。τは「収縮後に、どの速さで圧を下げるか」を扱う。圧波形の下降部分と、PV loopの拡張末期点を併せて読むことで、両者を整理できる。

## 充満量は、流入の速さと時間で決まる

左室へ入る量は、拡張期の僧帽弁流量を積分した量である。弁の通りやすさと左房・左室間の圧較差が流量を決め、その流量が続く時間が充満量を決める。

$$
\Delta V_{fill}=\int_{t_{open}}^{t_{close}}Q_{MV}(t)\,dt
$$

心拍数70 bpmでは一周期は約857 ms、100 bpmでは600 msになる。この一周期を収縮と拡張で分け合う。弛緩が遅れたまま周期が短くなると、流入に使える時間が圧迫され、必要な容積を得るための左房圧も変わる。左房圧、左室圧、僧帽弁流量を時間軸上でそろえると、流入開始、流量のピーク、心房収縮の寄与まで追える。[^note-5]

## 内圧から外圧を引くと、心室壁を広げる圧になる

心室は心膜に包まれ、胸腔内に置かれている。カテーテルで測る内圧には、その外側から伝わる圧が含まれる。心室壁の内外の圧差を経壁圧と呼ぶ。

$$
P_{tm}=P_{inside}-P_{outside}
$$

内圧が15 mmHgでも、外圧が10 mmHgなら経壁圧は5 mmHgになる。同じ内圧15 mmHgで外圧が5 mmHgなら、経壁圧は10 mmHgである。容積との関係を考えるとき、この内外の圧差が心室壁を広げる側に働く。[^note-6]

外側の条件を変えた実験を見よう。Kirkらは、ブタで閉胸、胸骨切開、心膜切開の順に両心室PVを記録した。下図は、各段階の写真と代表的な左室PV loopである。同じ心室を測り続けても、その周囲を開く操作によって、観察する循環条件が変わる。[^note-7][図1](#article-figure-block%2F06%2F032)

<a id="article-figure-block/06/032"></a>
**図1：開胸・心膜切開前後の測定条件と左室PV loop**

![閉胸・胸骨切開・心膜切開の各段階と実測左室PV loop](<https://cdn.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/blobs/95d2/10988510/773c02059a42/EPH-108-762-g004.jpg>)

上段は測定条件、下段は各段階の代表的な左室PV記録。群の平均変化を示す図ではない。

原著 Fig. 1 · © 2023 The Authors · 原図のまま掲載[1)](#article-reference-block%2F06%2F034) · [CC BY 4.0](<https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/>)

次の実験では、胸腔を開く操作とは別の方法としてPEEPを変える。PEEP 0と8 cmH₂Oを比べ、まず内圧のLVEDPと経壁圧のLVEDPの差を見る。その後にEDV、平均左房圧、左右の拍出量を比べる。圧の基準をそろえてから容積を読むことで、「高い内圧」がどの程度の心室の拡がりに対応するかを追える。[^note-8]

## インタラクティブ・シミュレーション: 内圧と経壁圧を並べて読む

- Scenarios: 2
- Graphs: 3
- Outputs: 12
- Controls: 1
- Output: 左室拡張末期容積
- Output: 左室拡張末期容積
- Output: 平均左房圧
- Output: 平均左房圧
- Output: LVEDP（内圧）
- Output: LVEDP（内圧）
- Output: LVEDP（経壁圧）
- Output: LVEDP（経壁圧）
- Output: 左心拍出量
- Output: 左心拍出量
- Output: 右心拍出量
- Output: 右心拍出量
- Control: PEEP (cmH₂O)

## 左房圧とLVEDPは、同じ循環の異なる時点を表す

平均左房圧は、肺静脈から受けた血液を左室へ渡す左房の圧を、一周期で平均した量である。一方、LVEDPは左室の拡張末期という一時点の圧を表す。心房収縮、左房の貯留、僧帽弁を通る流れを含めて考えると、二つの数値の役割が明確になる。

たとえば心房収縮は、拡張末期の左室容積と圧を押し上げる。左房の圧波形には、心室収縮中に肺静脈から血液を受ける過程も現れる。[図2](#article-figure-block%2F06%2Ffilling-timing)で左室圧の拡張末期値と左房圧の一周期平均を見比べると、二つの量の時間の捉え方の違いが分かる。臨床で肺動脈楔入圧を使う場合も、波形と測定時相を確認して対応づける。[^note-9]

<a id="article-figure-block/06/filling-timing"></a>
**図2：拡張期の流入と、LVEDP・平均左房圧**

![拡張期の左室・左房圧と僧帽弁流量を同じ時間軸で表示。LVEDPを僧帽弁閉鎖時の赤い点、平均左房圧を水平な破線で示す。早期充満と心房収縮による二つの流入の山が見える。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/da5a275f-5db8-49c1-baf7-e3ad3643a9d5.png>)

上段は拡張期の圧を拡大した計算波形、下段は同じ時間帯の僧帽弁流量。赤い点のLVEDPは僧帽弁閉鎖時の左室圧、破線は左房圧の一周期平均を示す。早期充満と心房収縮による流入を、左房・左室の圧の変化に対応づける。[^note-10]

充満圧を見たら、まず同じ時点の容積を確認する。次に圧の基準を確認し、弛緩の速さと充満時間を調べる。この順序で読むと、圧上昇を、血液量・受動的な硬さ・時間・心室の周囲の条件へ結びつけられる。

### 確認問題: 同じ指数関数EDPVR上で、血液量を加えて拡張末期圧が上がった。Ees・Ea・V₀を一定とする導出では、同じ圧増分に対するSVの増分はどうなるか。

- 容積が増えにくくなるため、SVの増分も小さくなる
- 心筋固有の受動張力係数が変わったと断定できる
- Eesが上がるため、SVの増分は大きくなる

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 容積が増えにくくなるため、SVの増分も小さくなる

同じ曲線上でも高い圧ほどdEDV/dP＝1/[β(P＋α)]は小さくなる。Ees・Ea・V₀を保つ導出では、この変化が圧に対するSVの感度に現れる。

</details>

[PV関係から、Starling曲線を導く](/ja/articles/pv-relations-frank-starling)
充満圧と拍出量の関係を、PV平面から導く。

## 注釈

[^note-1]: **EDPVRの近似と硬さ**
    指数関数は説明用の近似であり、α、β、Vdは組として解釈する。βだけを心筋固有の硬さとみなすことはできない。心室の大きさ・形状、外圧、残存する能動張力にも圧–容積関係は影響される。心室の受動的な性質を比較する際は、圧の基準と弛緩状態をそろえる。本アプリの受動張力倍率は壁の材料則の操作であり、この式のβを直接動かす操作ではない。
    

[^note-2]: **四条件の設定と測定時点**
    Standard73、同じ解剖、心拍数70 bpm、PEEP 0、同じ基準チェックポイントから操作後120秒の比較。受動張力は左室自由壁と中隔を同時に変更し、右室自由壁は保つ。血液量を加えた条件は安静時の基準範囲から外れる観察値を含むため、容量負荷の比較条件として用いる。表示LVEDPとEDVは僧帽弁閉鎖時、ESVは大動脈弁閉鎖時の値を用いる。
    

[^note-3]: **圧を横軸にした導出の前提**
    この導出では直線ESPVR、一定のEa・Ees・V₀と指数関数EDPVRを仮定している。実験内の血液量変更では血管圧や外圧も変わるため、導出式は機序を分けて考えるために使う。平坦化だけから原因や輸液の適否を決めることはできない。
    

[^note-4]: **τの測定と解釈**
    τは圧低下曲線への当てはめ方に依存する。P∞をゼロに固定するか推定するか、当てはめ区間をどう選ぶかをそろえる。指数関数例の3τは圧差が約5%になる時刻であり、生体の弛緩が完全に終わる厳密な境界ではない。収縮期負荷と呼吸条件も影響する。Weissら（1976）[2)](#article-reference-block%2F06%2F048)。
    

[^note-5]: **心周期と充満時間**
    一周期の長さだけでは拡張時間は定まらない。房室タイミング、収縮時間、弛緩速度、弁の状態を併せて扱う。本稿の埋め込み実験は心拍数70 bpmに固定しており、心拍数とτの例は説明用である。現在の実験でτの独立操作・測定を実施したものではない。
    

[^note-6]: **外圧の基準**
    心膜圧・胸膜圧は測定位置や心周期によって異なる。右房圧を心膜圧の代用とする場合にも前提が必要である。本アプリの経壁圧はモデルが定義する心室の外圧を差し引いた量で、表示される胸膜圧と単純に置き換えない。
    

[^note-7]: **実測図の条件と解釈**
    Kirkらの対象は7頭、麻酔・人工呼吸下（PEEP 5 cmH₂O）のブタで、先行する肺塞栓実験の30日後に調べた。原著では平均動脈圧や左室Eaが低下した一方、群としてLVEDPの有意変化は認めていない。この代表PV図から心膜切開による一定量のEDP低下を読み取ったり、PEEP単独操作の結果として扱ったりすることはできない。
    

[^note-8]: **PEEP比較の範囲**
    PEEP操作では外圧だけでなく、還流や心室間の相互作用も変わる。8 cmH₂Oがそのまま心膜圧8 mmHgとして伝わる設定ではない。心筋の倍率・総血液量を保って操作後120秒の状態を比較する。PEEP条件は安静時fittingの適用範囲外であり、保存状態から波形・流量を確認する比較実験として扱う。
    

[^note-9]: **左房圧・楔入圧・LVEDP**
    楔入圧は適切な測定条件で左房圧を反映する。僧帽弁疾患、肺静脈病変、呼吸、心房波形、測定時点などでLVEDPとの対応が変わるため、平均楔入圧とLVEDPは同一の数値ではない。Hemnesら（2018）[3)](#article-reference-block%2F06%2F059)。
    

[^note-10]: **拡張期波形の表示範囲と平均圧**
    Standard73基準状態の計算波形のうち、大動脈弁閉鎖から次の僧帽弁閉鎖までを表示した。原時系列は2 ms間隔で保持し、平滑化は行っていない。上段の圧軸は0〜20 mmHgに拡大しているため、大動脈弁閉鎖直後の高い左室圧は表示範囲の上側にある。破線はモデルが一周期から求めた平均左房圧であり、表示した拡張期だけの平均ではない。弁イベントは既存の流量イベント解析法を用いる。圧は大気圧基準の内腔圧で、この基準状態では心外圧が0 mmHgのため経壁圧と一致する。僧帽弁流量は容積流量であり、臨床のドプラ流速そのものではない。
    

## 文献

<a id="article-reference-block/06/034"></a>
1. [Impact of sternotomy and pericardiotomy on cardiopulmonary haemodynamics in a large animal model](<https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10988510/>) Kirk ME, Merit VT, Moeslund N, et al. Experimental Physiology. 2023;108(5):762-771.

<a id="article-reference-block/06/048"></a>
2. [Hemodynamic determinants of the time-course of fall in canine left ventricular pressure.](<https://doi.org/10.1172/JCI108522>) Weiss JL, Frederiksen JW, Weisfeldt ML. J. Clin. Invest.. 1976;58(3):751-760.

<a id="article-reference-block/06/059"></a>
3. [Features Associated With Discordance Between Pulmonary Arterial Wedge Pressure and Left Ventricular End Diastolic Pressure in Clinical Practice: Implications for Pulmonary Hypertension Classification](<https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.08.1033>) Hemnes AR, Opotowsky AR, Assad TR, et al. Chest. 2018;154(5):1099–1107.
