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title: "収縮性を変えると、循環はどう変わるか――PVループ・ESPVR・Starling・Guyton"
locale: "ja"
public_slug: "contractility-pv-espvr-starling-guyton"
tags: ["収縮性", "ESPVR", "PVループ", "Starling曲線", "静脈還流"]
published_at: "2026-09-23T05:45:15.580783Z"
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# 収縮性を変えると、循環はどう変わるか――PVループ・ESPVR・Starling・Guyton

心臓から多くの血液が出たとき、その理由は一つとは限らない。心筋の収縮性が高まった場合も、心室の充満が増えた場合も、駆出に抗する負荷が軽くなった場合もある。この違いは、PVループの幅だけでは判別できない。

心収縮性（contractility）は、ここでは収縮開始時の心筋の長さと駆出に抗する負荷をそろえたときの、力発生・短縮の性質を指す。心室が多く満たされて拍出が増えたことと、同じ充満でも多く駆出できるようになったことを区別して考える。[1)](#article-reference-ref%2Fsolaro)

## PVループの形と一回拍出量

PVループは、横軸に心室容積、縦軸に心室圧を取り、一拍の変化をたどった図である。弁逆流のない左室では、右端が駆出前の拡張末期容積（EDV）、左端が駆出後に残る収縮末期容積（ESV）に対応する。その差が一回拍出量（SV）であり、ループの横幅として読める。

$$
SV=EDV-ESV
$$

同じEDVから収縮してESVが小さくなれば、左端が左へ動いてループは広がる。しかし、その変化が心筋側によるものか、動脈側によるものかはまだ分からない。収縮末期の点が従う関係を調べると、この二つを分けて考えられる。

## 収縮末期の点を結ぶESPVRとEes

同じ収縮状態を保ちながら充満量などの負荷を変えると、異なるPVループが得られる。それぞれの収縮末期の圧と容積を集めた関係が、収縮末期圧容積関係（ESPVR）である。一定の範囲で直線近似できるとき、次の式で表す。[2)](#article-reference-ref%2Fsuga1973)

$$
P_{es}=E_{es}(V_{es}-V_0)
$$

PesとVesは収縮末期の圧と容積、Eesは直線の傾きである。圧をmmHg、容積をmLで表すと、Eesの単位はmmHg/mLとなる。V0は、この直線を圧ゼロまで延ばしたときの容積軸との交点であり、心室が実際に空になったときの容積ではない。

[図1](#article-figure-fig%2Fespvr)の上段では、収縮状態と動脈側の負荷を保って充満を増やすと、収縮末期点が同じESPVR上を右上へ動く。下段では収縮状態を変え、ESPVRそのものを比較している。V0を同じとすれば、Eesが大きいほど線は急になり、同じ容積で発生できる収縮末期圧が高くなる。

<a id="article-figure-fig/espvr"></a>
**図1：負荷による点の移動と、収縮状態によるESPVRの変化**

![上段では負荷の異なる収縮末期点が同じESPVR上に並ぶ。下段では共通の容積軸切片V0から、より急なESPVRが伸びる。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/b44fd604-5c26-4ac5-9043-0849bcb0c8f6.png>)

線形ESPVRを使った概念図。上段は収縮状態と動脈側の負荷を保って充満を増やした比較、下段はV0をそろえてEesを変えた比較。点は収縮末期の圧と容積を表す。実測値・シミュレーション結果ではない。

このため、Eesは一拍の大きさだけでは分からない心室の収縮特性を評価する指標になる。ただし、実際のESPVRは完全な直線とは限らず、比較には近い負荷範囲を使う。以下では同じ心室の急性の変化を考え、V0をそろえる。[^note-1]

## 収縮性の上昇と後負荷の低下を分ける

ESPVR上のどの点まで駆出するかを考えるには、動脈側の負荷も必要になる。有効動脈エラスタンス（Ea）は、その負荷を収縮末期圧と一回拍出量の比で要約した指標である。[3)](#article-reference-ref%2Fsunagawa1983)

$$
E_a=\frac{P_{es}}{SV},\qquad P_{es}=E_a(EDV-ESV)
$$

PV平面では、容積軸上のEDVから左上へ向かう傾き−Eaの直線を引ける。収縮末期容積をESVで近似すると、その線とESPVRの交点が、心室と動脈の両方の条件を満たす収縮末期点になる。[^note-2]

[図2](#article-figure-fig%2Fcoupling)では、EDVとV0をそろえて二つの操作を比べる。Eesだけを増やすとESPVRが急になり、交点は左上へ移る。Eaだけを減らすと動脈負荷線が緩やかになり、交点は同じESPVR上を左下へ移る。どちらもESVは減るが、収縮末期圧の変化は逆になる。

<a id="article-figure-fig/coupling"></a>
**図2：同じESVの減少でも、圧の変化は異なる**

![上段のEes上昇では交点が左上へ、下段のEa低下では左下へ移る。両者で変化後のESVは同じだが、収縮末期圧は異なる。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/1438f0ca-c400-47ba-b8bf-0b59f2204be4.png>)

心室と動脈の線形関係から作成した概念図。上下でEDV・V0・軸の尺度をそろえた。上段はEaを固定してEesを増やし、下段はEesを固定してEaを減らしている。変化後のESVが同じになる例を選び、圧の違いを示した。

左室駆出率（EF）はSVをEDVで割った割合である。この図のようにEDVもESVも同じなら、EFも同じになる。収縮性が高まった場合も、動脈負荷が軽くなった場合も、同じEFになり得る。したがって、EFの上昇だけを根拠に収縮性の上昇を判断することはできない。

## 操作して確かめる二つのPVループ

まず左室の収縮性だけを変える。心拍数・総血液量・血管や弁の設定は共通である。操作する前に、基準のループに対して左端と高さがどう変わるかを予想してほしい。初期表示は収縮性を高めた比較なので、「弱める」と「強める」を切り替えると、逆方向の変化も確かめられる。[^note-3]

## インタラクティブ・シミュレーション: 左室の収縮性を変える

基準の条件は固定し、もう一方の左室の収縮性だけを変える。ボタンを押したら数拍の変化を待ち、ループの左端・右端・高さを比べる。

- Scenarios: 2
- Graphs: 1
- Outputs: 2
- Controls: 1
- Output: EF
- Output: EF
- Control: 左室の収縮性

初期表示の比較では、収縮性を高めた条件で、ループの左端が左へ動き、より高い圧で駆出している。一方、右端も左へ動いている。固定したEDVで描いた先ほどの概念図とは違い、ここでは心室の充満も変化している。したがって、左端の移動だけで拍出量の増加を見積もることはできない。

次は収縮性を変えずに体血管抵抗を下げる。先ほどと同じく左端が左へ動くとして、ループの高さも同じ方向へ変わるだろうか。心筋が発生する力と、駆出に抗する負荷のどちらを変えたかに注意して比べる。

## インタラクティブ・シミュレーション: 体血管抵抗を変える

基準の条件は固定し、もう一方の体血管抵抗だけを変える。初期表示は抵抗を下げた状態。ボタンを押したら数拍の変化を待ち、収縮性の実験とループの高さの変化を比べる。

- Scenarios: 2
- Graphs: 1
- Outputs: 2
- Controls: 1
- Output: EF
- Output: EF
- Control: 体血管抵抗

抵抗を下げた比較では、左端が左へ動くとともに駆出中の圧が下がる。収縮性を高めた場合と駆出後に残る容積が近くても、圧の違いがループの形に現れる。実験を広げて「すべての指標」を開くと、EFも比較できる。その値とPVループを併せて読む。

## 駆出が変わると、次の拍の充満も変わる

シミュレーションで右端まで動くのは、心臓と血管がつながっているためである。左室からの駆出が増え、右室から肺循環へ入る血液を一時的に上回ると、肺血管・左房・左室にある血液の合計は減る。血液は消失するのではなく、体循環側へ移る。

この血液分布の変化に伴って左室の充満が減ると、次の拍は先ほどより少ないEDVから始まる。収縮性を高めた効果は残っていても、充満の減少が拍出量の増加を小さくする。総血液量を一定にすることと、左室のEDVを一定にすることは同じではない。

同じことを時間の経過として考えると、操作直後の拍出と、その後の拍出を分けて読む必要がある。左右の平均拍出量が違えば、その間の血液量が変わり続ける。各拍で血液分布が繰り返す状態に落ち着いたとき、短絡のない循環では左右の平均拍出量が一致する。[4)](#article-reference-ref%2Fmagder2016)

## ESPVRからStarling曲線へ

充満の減少によって拍出が変わる関係を整理するのが、Frank–Starling曲線である。心筋は生理的な範囲で引き伸ばされると、同じ活性化条件でも、収縮時に発生する力が増す。この長さに依存する応答によって、充満の増加が拍出の増加につながる。ここでは横軸をEDV、縦軸をSVとし、収縮状態と動脈負荷を保って、充満を変えた関係を考える。[1)](#article-reference-ref%2Fsolaro)

この関係は、先ほどのESPVRと動脈負荷線からも導ける。同じ収縮末期圧について、Ees(ESV−V0)＝Ea(EDV−ESV)が成り立つ。これをSV＝EDV−ESVについて整理すると、次の式になる。

$$
SV=\frac{E_{es}}{E_{es}+E_a}(EDV-V_0)
$$

Ees・Ea・V0を固定すると、EDVを増やすほどSVが増える。[図3](#article-figure-fig%2Fstarling)のAからBへの移動がこれに当たる。収縮状態を変えなくても、充満を増やすことで多く駆出する。同じ心機能曲線上を動く変化である。

一方、EaとV0を保ってEesを増やすと、同じEDVに対するSVが増える。図のAからCへの変化は、より高い心機能曲線への移動である。その後にEDVだけが減れば、高い曲線上を左へ移る。実際の循環では動脈負荷も変わり得るが、まず二つの変化を分けると、収縮性を高めた効果と充満の減少による調整を整理できる。

<a id="article-figure-fig/starling"></a>
**図3：充満による曲線上の移動と、収縮性による曲線の変化**

![横軸がEDV、縦軸がSV。AからBへは同じ直線上を右上へ移る。AからCへは同じEDVのまま、より高い直線へ移る。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/e024f2d2-1b4c-40dd-a277-1c8e1a5e2f31.png>)

本文の線形近似から作成した概念図。A→BはEes・Ea・V0を保ってEDVを増やした変化、A→Cは同じEDV・Ea・V0でEesを増やした変化。心拍数は共通。実際のStarling曲線の全範囲が直線になるという意味ではない。

この式では、Eaを減らしてもSVが増える。したがって「Starling曲線が上へ変わった」という所見だけでは、収縮性が上がったとは判断できない。何を固定した曲線かを確認して初めて、変化の理由を説明できる。

心機能曲線の横軸には、EDVの代わりに充満圧を使うこともある。ただし同じ圧で入る血液量は、心室の拡張しやすさによって変わる。EDVに対するSVの図と、心房圧に対する拍出の図では、この対応関係を介して読み替える。[^note-4]

## Guytonの図で循環全体の作動点を考える

一拍のSVに心拍数を掛けると、単位時間あたりの心拍出量（CO）になる。心拍数が一定なら、SVの増減はCOの増減に対応する。次は左右心を含む心臓全体と体循環を組み合わせ、持続するCOがどこで決まるかを考える。Guytonの図では、横軸を右房圧（RAP）、縦軸を単位時間あたりの流量とする。右房圧は、直前のEDVや左房圧とは異なる座標である。

右上がりの心機能曲線は、右房圧と心臓全体の拍出量の関係を表す。右下がりの静脈還流曲線は、血管側の条件をそろえたときの右房圧と静脈還流量の関係を表す。持続する循環では両者の流量が一致するため、その交点が作動点になる。[5)](#article-reference-ref%2Fguyton1955)[6)](#article-reference-ref%2Fguyton1957)

静脈が虚脱して流れを制限しない範囲では、静脈還流量QVRを次の形で近似できる。

$$
Q_{VR}=\frac{P_{ms}-RAP}{R_{VR}}
$$

Pmsは、体循環の流れを止めて圧が平衡したときの平均体循環充満圧であり、血液量と血管の容量特性に関係する。RVRは静脈還流に対する抵抗である。圧をmmHg、流量をL/minで表す場合、RVRの単位はmmHg·min/Lとなる。

[図4](#article-figure-fig%2Fguyton)ではPmsとRVRを保ち、心臓全体のポンプ機能を高めたと仮定する。心機能曲線が上へ変わると、新しい交点は左上へ移る。COは増え、RAPは下がる。このとき静脈還流量も増えるが、静脈還流曲線そのものは動いていない。

<a id="article-figure-fig/guyton"></a>
**図4：心機能の変化と、同じ静脈還流曲線上の新しい交点**

![右上がりの心機能曲線が上へ変わる。固定された右下がりの静脈還流曲線との交点がAからBへ左上に移り、流量増加と右房圧低下を示す。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/38d35c4f-ebb5-4313-a257-694d147a688a.png>)

全心の心機能曲線と静脈還流曲線を組み合わせた概念図。Pms・RVRと外圧条件を固定し、静脈虚脱による流量制限のない範囲を示す。Aが基準、Bが心機能を高めた後の交点。左室だけを操作したシミュレーション結果ではない。

この交点は、心臓と血管の条件が同時に満たされた結果である。右房圧の低下だけを独立した原因と考えて、拍出が増えた過程のすべてを説明することはできない。血液量や静脈の容量特性まで変われば、静脈還流曲線も変わり、別の交点になる。[7)](#article-reference-ref%2Fbeard2011)

左室だけの収縮性を変える実験から、右房圧も必ず下がるとは予測できない。左室への充満は右室の駆出と肺循環に依存し、左右心は中隔や心膜を介しても相互作用する。左室の操作ではPVループと左房側の充満を対応させ、全心のCOとRAPは左右心と血管を合わせて読む。[8)](#article-reference-ref%2Fpinsky2020)

## 収縮性の低下を充満で補うとき

同じ一回拍出量が保たれている心室でも、必要な充満量は異なる。収縮性が低下すると、同じEDVでは駆出後に残るESVが増え、SVは減る。そこでEDVが増えれば、低下した心機能曲線上でもSVを増やせる。収縮性の回復と、充満による代償を分けて考えたい。

先ほどのSVの式をEDVについて解くと、この関係が見える。

$$
EDV=V_0+SV\left(1+\frac{E_a}{E_{es}}\right)
$$

EaとV0をそろえ、同じSVを得ようとすると、Eesが小さいほど大きなEDVが必要になる。EaとSVが同じなら収縮末期圧も同じである。一方、ESVとEDVはともに大きくなるので、PVループの幅が同じでも、容積軸上では右へ寄った状態になる。この比較は線形近似から導いたものであり、実際の循環で必ず元の拍出量まで回復するという意味ではない。

[図5](#article-figure-fig%2Fcompensation)の上段では、AからBでEesが低下し、同じEDVでのSVが減る。BからCではEesを低いまま保ち、EDVを増やして元のSVに戻している。CはAと同じ高さにあるが、ESPVRも心機能曲線も元には戻っていない。[3)](#article-reference-ref%2Fsunagawa1983)

<a id="article-figure-fig/compensation"></a>
**図5：拍出量を充満で補うときの、容積と圧の変化**

![上段でAからBへ同じ容積のまま拍出量が低下し、BからCへ低い曲線上を右上に移って元の拍出量に戻る。下段では同じEDPVR上を右上に移り、Cの拡張末期圧が高くなる。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/d4176ba5-f585-4c4b-9d30-36bb0375a26e.png>)

上段は線形ESPVRと一定のEaによるEDV–SV関係、下段は同じEDVに対応するEDPVRの概念図。A→Bは同じEDVでEesが低下し、B→Cは低いEesのままEDVを増やした比較。AとCのSVは同じ。V0・Ea、拡張期の性質と外圧条件は固定し、上下の横軸をそろえた。説明用に作成した図で、実測値・シミュレーション結果ではない。

充満を増やして拍出を補える余地は、前負荷予備能（preload reserve）と呼ばれる。すでに大きなEDVを必要としている心室では、後負荷がさらに増えたときに、追加の充満で補える余地が限られる。Rossのafterload mismatchという考え方は、駆出の低下を、収縮性・後負荷・この予備能の組み合わせとして整理したものである。[9)](#article-reference-ref%2Fross1976)

## 充満を増やすために必要な圧

充満の代償は、拡張期の圧容積関係にも現れる。拡張末期圧容積関係（EDPVR）は、収縮末期のESPVRとは別の関係であり、心室が拡張末期にどれだけの圧で、どれだけの血液を含むかを表す。拡張期の性質と周囲からの圧迫をそろえて考えると、大きな容積の領域ほど曲線が急になり、同じ容積の追加にも大きな圧上昇を要する。[10)](#article-reference-ref%2Fburkhoff2005)

[図5](#article-figure-fig%2Fcompensation)の下段では、AとBのEDVは同じなので拡張末期圧も同じだが、Cでは高くなる。収縮性を変えても、ここではEDPVR自体を変えていない。低いEesを補うために、同じEDPVR上の大きな容積へ移った結果である。拍出量だけを見ればAとCは同じでも、充満に必要な圧は異なる。

この区別は、Guytonの図にも対応する。全心の心機能曲線が低下した状態で、血液量や静脈の容量特性の変化によってPmsが上がれば、静脈還流曲線も移る。静脈還流抵抗と低下後の心機能曲線を保ち、同じCOまで補えるなら、RAPは元より高い作動点になる。ただし、これは全心と体循環の関係であり、左室だけの収縮性低下からRAPの方向を決める説明ではない。[4)](#article-reference-ref%2Fmagder2016)

## 同じ拍出量から後負荷を増やすとどうなるか

次に、充満を増やして拍出量を補った心室に、動脈側の負荷を加える。[図6](#article-figure-fig%2Fafterload)では、Eesが異なる二つの状態を、同じSV・同じ収縮末期圧から出発させる。Eesが小さい状態は、大きなEDVで拍出を補っている。ここから各状態のEDVを固定し、Eaを同じだけ増やす。

Eaが増えると、EDVから引いた動脈負荷線が急になり、交点はそれぞれのESPVR上を右上へ移る。ESVが増えるので、固定したEDVから駆出できるSVは減る。この比較条件では、Eesが小さい状態ほどSVの低下が大きくなる。安静時のSVが同じでも、負荷が変わったときの応答まで同じとは限らない。[^note-5]

<a id="article-figure-fig/afterload"></a>
**図6：同じ拍出量と圧から、動脈負荷を増やした比較**

![上段では急なESPVR、下段では緩やかなESPVRと動脈負荷線が交わる。Eaの増加で両方の交点が右上へ動き、低いEesの下段でESV増加とSV減少が大きい。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/d767e927-76b5-4a6c-8b35-d6080448f462.png>)

線形ESPVRとEaから作成した概念図。上下で軸の尺度・V0・開始時のSVと収縮末期圧・Eaの増加量を共通にした。各段のEDVは操作中固定するが、下段のEDVは上段より大きい。破線が操作前、青い実線がEaを増やした後の負荷線、橙の直線が各状態のESPVR。

実際に心臓と血管がつながった循環では、後負荷を増やした後もEDVが固定されるとは限らない。駆出しきれない血液が残り、その後の充満が増えれば、SVの低下を部分的に補える。PVループの幅だけでなく右端と充満圧を追うと、この代償を読み取れる。

次の実験では、二つの条件の左室収縮性をそれぞれ固定し、同じボタンで両方の体血管抵抗を変える。心拍数・総血液量・血管や弁の設定をそろえ、左室収縮性だけを異ならせている。まず「低い抵抗」を選び、ループの変化をしばらく追う。次に「高い抵抗」へ戻し、各ループの右端と幅がどう変わるかを比べてほしい。[^note-6]

## インタラクティブ・シミュレーション: 収縮性の異なる二つの条件で、抵抗を変える

初期表示は両条件とも高い抵抗。ボタンは二つの条件に同じ抵抗を適用する。ループの幅と右端を比べ、実験を広げて「すべての指標」を開くと、一回拍出量・EDV・平均左房圧も確認できる。

- Scenarios: 2
- Graphs: 1
- Outputs: 6
- Controls: 1
- Output: 一回拍出量
- Output: EDV
- Output: 平均左房圧
- Output: 一回拍出量
- Output: EDV
- Output: 平均左房圧
- Control: 体血管抵抗

充満の変化が進んだ後の比較では、抵抗を高めると両条件ともループが右へ寄り、左房圧も上がる。低い収縮性の条件では、その変化がより大きい。一方、SVの低下は、ESVの増加だけから予想するほど大きくない。EDVも増えるためである。先ほどの固定EDVの図とは条件が異なるが、ここでは充満による代償を含めて観察できる。

## 充満圧と充満量が同じ意味にならない理由

充満圧を読むときには、心室の内側と外側を分ける必要がある。心室壁を広げる圧は、内圧そのものではなく、内外の圧差である。周囲からの圧迫を有効な外圧としてまとめると、経壁圧は次のように表せる。

$$
P_{tm}=P_{LV}-P_{ext}
$$

Ptmは左室の経壁圧、PLVは左室内圧、Pextは心室外側からの有効な圧であり、同じ時点の圧を比べる。外圧が下がれば、同じ容積でも内圧が低くなる場合がある。したがって、内圧の低下だけで、充満量の減少や心筋自体の軟化を判断することはできない。[^note-7]

Dautermanらは、ヒトの左室圧と容積を連続測定しながら、下大静脈を一時的に遮断した。直後には、左室容積があまり変わらないまま拡張期圧が低下し、その後に左室の充満量と拍出量が減った。最初の変化は、右心の充満が先に減り、左室への外的拘束が軽くなった影響として解釈されている。原著の図1では、初期の下向きの変化と、後の左向きの変化を分けて読める。[11)](#article-reference-ref%2Fdauterman1995)

右室は肺循環を通じて左室へ血液を送るだけでなく、中隔と心膜を介して左室の充満にも関わる。時間の早い外的拘束の変化と、その後に届く血液量の変化が重なるため、圧だけを横軸にした心機能曲線の移動を、すべて収縮性の変化とみなすことはできない。

## 同じ拍出量でも、仕事量と酸素消費は同じか

PVループの幅は一回拍出量を表すが、ループに囲まれた面積は一拍の外的仕事量（SW）を表す。同じ量を駆出しても、より高い圧に抗して送り出すには、より大きな仕事が必要になる。前半で比べた収縮性の上昇と後負荷の低下は、SVが近くても圧が異なるため、仕事量まで同じとは限らない。

心筋の酸素消費を考えるには、外的仕事だけでは足りない。血液を駆出しない等容性収縮でも、心筋は力を発生し、酸素を消費する。圧容積面積（PVA）は、外的仕事SWと、収縮末期に残る力学的なポテンシャルエネルギーに対応する面積PEを合わせ、一拍の機械的エネルギーを評価する指標である。[12)](#article-reference-ref%2Fsuga1981equal)

$$
PVA=SW+PE
$$

<a id="article-figure-fig/pva"></a>
**図7：PVループの仕事量と、その外側にあるPE**

![PV平面で青く塗られたループ内のSWと、その左側でESPVRの下にある淡い橙のPEを区別する。PVAは両領域の合計。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/9fff60f5-1b03-443f-a55e-f7275f42191c.png>)

PVAの幾何学的な定義を示す自作概念図。青がPVループに囲まれた外的仕事SW、淡い橙がESPVR・拡張期の圧容積関係・等容性弛緩の経路で囲まれるPE。二つの面積の和がPVAである。充満経路はEDPVRに沿って描いた。Nozawaらの原著図1Bと古典的な定義を参照し、説明用に作図した。実測・シミュレーション由来の面積や酸素消費量ではない。

犬左室の実験では、収縮状態を保って負荷を変えると、PVAと一拍あたりの心筋酸素消費との間に、ほぼ直線的な関係が得られた。ところが、エピネフリンやカルシウムで収縮性を高めると、その関係自体が上へ移り、同じPVAでも酸素消費が増えた。収縮性を変える操作は、負荷を変えて同じ関係上を動く操作と、エネルギーの面でも区別される。[13)](#article-reference-ref%2Fsuga1983inotropy)

PEを単に「無駄な仕事」と呼んだり、SW/PVAをそのまま酸素から仕事への変換効率と呼んだりすると、この違いを見落とす。Nozawaらの犬の実験でも、ドブタミン投与時にSW/PVAが高くなる一方、酸素由来のエネルギーに対する仕事の割合は低くなる条件が示されている。PV図の面積から考えられることと、酸素消費の測定が必要なことを分けて読む。[14)](#article-reference-ref%2Fnozawa1988)

## 曲線の変化と、負荷による代償を予測する

最後に、収縮性を下げた場合を考えてほしい。EDVとEaをそろえた一拍では、ESPVRと収縮末期点はどこへ動くか。その後、充満が増えてSVが元に近づいたら、ESPVRも元に戻ったと言えるだろうか。EDPVR上では、どの点へ移ったと考えられるか。

収縮性の実験で「弱める」を選び、左端だけでなく右端も観察する。次に、収縮性を固定して抵抗を変える実験を比べる。変えた曲線、曲線上で移った点、充満によって補われた部分を分けて説明してほしい。[^note-8]

## 注釈

[^note-1]: **Eesを比較できる範囲**
    Eesは心室全体の圧容積関係の指標であり、心筋の性質だけでなく形状にも関係する。実際にはESPVRの曲率やV0も変わり得るため、近い負荷範囲で比較する。異なる心臓では、高いEesをそのまま良好な心筋収縮性と読み替えることはできない。[15)](#article-reference-ref%2Fkass1989)[16)](#article-reference-ref%2Fborlaug2009)
    

[^note-2]: **心室と動脈を二つの直線で表す近似**
    Eaは圧と拍出量で負荷を要約する値であり、動脈壁そのものの硬さではない。本文の交点の説明では、収縮末期容積Vesを駆出終了時のESVで近似した。厳密には収縮末期と駆出終了は一致しない場合がある。[17)](#article-reference-ref%2Faha2015)[18)](#article-reference-ref%2Fsuga1981)
    

[^note-3]: **シミュレーションの読み方**
    二つの実験は、同じ出発状態から一つの設定だけを変えた比較である。収縮性の操作では左室側の心筋の力発生を変え、Eesを直接指定してはいない。表示しているのは一拍の圧容積軌跡であり、複数の負荷条件から求めたESPVRではない。ボタンを押すとその条件の計算が進むため、ループが変わる過程を少し待って比べる。心拍数・総血液量と変更対象以外の設定は共通だが、動脈圧や心室の充満量は変化する。
    

[^note-4]: **Starling曲線の座標**
    心機能曲線には、心房圧と一回仕事量、心房圧とCO、EDVとSVなど複数の表し方がある。古典的な実験の座標と、本文のEDV–SVの概念図は区別する。本文の直線は線形ESPVRと一定のEaから導いた範囲内の近似であり、高い充満圧まで際限なく拍出が増えることを意味しない。[19)](#article-reference-ref%2Fsarnoff1954)
    

[^note-5]: **後負荷への感受性を比べる条件**
    Ees・V0と各状態のEDVを固定すると、操作前後のSVの比はSV後/SV前＝(Ees＋Ea前)/(Ees＋Ea後)となる。開始時のSVを共通にし、同じEaの増加を加える今回の比較では、低いEesほど低下する割合も量も大きい。一方、EDVをそろえて開始時のSVをそろえない比較では、同じEaの増加に対するSVの低下量が、低いEesほど常に大きいとは限らない。
    

[^note-6]: **概念図と実験の比較条件**
    この実験は体血管抵抗を変える比較で、開始時のSVと圧や、Eaの変化量をそろえたものではない。[図6](#article-figure-fig%2Fafterload)の感受性の大きさを検証する比較ではなく、充満も変わる循環を観察する。操作直後と充満の変化が進んだ後では、ループの形や拍出量が異なる。
    

[^note-7]: **外圧と充満圧の読み方**
    有効な外圧は、心膜や周囲組織の不均一な拘束を簡略化した表現である。右房圧を外圧と常に等置することはできない。平均左房圧、肺動脈楔入圧、左室拡張末期圧も同じ指標ではなく、僧帽弁や心房収縮、弛緩などの影響を受ける。ここでは圧から容積を一意に決められない理由を説明している。[20)](#article-reference-ref%2Fapplegate1992)
    

[^note-8]: **予測を確かめる**
    V0・EDV・Eaを保ってEesが低下すると、ESPVRは緩やかになり、収縮末期点は右下へ移る。ESVが増え、SVは減る。その後にEDVが増えてSVを補っても、低い心機能曲線上を動いたのであり、ESPVRが元に戻ったわけではない。拡張期の性質と外圧条件が同じなら、EDPVR上を右上へ移り、拡張末期圧は高くなる。全心の心機能曲線が低下し、静脈還流曲線が同じなら、Guytonの交点はCO低下・RAP上昇の側へ移る。
    

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