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title: "一拍を、圧・容積・流量から読む"
locale: "ja"
public_slug: "cardiac-cycle-pv-pressure-flow"
published_at: "2026-09-13T08:37:35.971142Z"
updated_at: "2026-09-13T08:37:35.971142Z"
article_content_id: "03b9aacb-7550-4c81-8c5f-4f0b460550e5"
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# 一拍を、圧・容積・流量から読む

左室は、大動脈弁が開くまで血液をほぼ一定量に保って圧を上げ、弁が開くと血液を送り出す。圧を作る段階と、流れを作る段階。この二つを一枚で追えるのが、圧–容積ループ（PV loop）である。

横軸は左室容積、縦軸は左室圧。同じ時刻の二つの測定値を一点として置き、一拍分をつなぐ。左室の点は反時計回りに進む。

## 四つの相を決めるのは、心腔間の圧較差

正常弁を持つ左室を考える。充満の終わりには左室容積が最大となり、拡張末期容積EDVに達する。左室圧が左房圧を超えると僧帽弁が閉じ、点はループの右端を上へ進む。これが、両方の弁が閉じたまま圧を上げる等容収縮期である。

左室圧が大動脈圧を超えると、大動脈弁が開く。駆出によって容積が減り、点は左へ進む。駆出中の圧の形には、心筋の収縮と、動脈に血液がたまり末梢へ流れる過程がともに現れる。

駆出が終わり、大動脈弁が閉じると、容積をほぼ一定に保って圧が下がる。これが等容弛緩期である。左室圧が左房圧を下回ると僧帽弁が開き、充満によって点が右へ戻る。容積と圧の収縮末期値を、それぞれESV、Pₑₛと表す。[^note-1]

[図1](#article-figure-block%2F01%2Fpv-annotated)では、四つの弁イベントと各相を一拍の曲線に重ねた。①から矢印をたどり、圧が上がる区間と、容積が減る区間を分けて読む。容積軸のESVとEDV、その間の幅SV、圧軸のPesとPedを対応づける。

<a id="article-figure-block/01/pv-annotated"></a>
**図1：弁イベント・各相・圧と容積の定義**

![左室PV loopに四つの弁イベントと等容収縮・駆出・等容弛緩・充満を示す。ESVとEDVは容積軸、SVはその間の幅、PesとPedは収縮末期と拡張末期の圧に対応する。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/8edda6aa-6a43-4e0d-8356-12c9da1ac522.png>)

基準状態から計算した一拍。①から矢印をたどると、等容収縮、駆出、等容弛緩、充満の順に進む。EDVとPedは①、ESVとPesは③に対応し、SVは二つの容積の差となる。[^note-2]

## 実験：圧が変わる時刻と、流れが変わる時刻

[図2](#article-figure-block%2F01%2Fwave-annotated)で同じ一拍を時間軸に開くと、圧較差と流量の対応が見える。静止図の番号を確かめてから、下の実験で動きを追おう。

<a id="article-figure-block/01/wave-annotated"></a>
**図2：PV loopと同じ一拍を圧波形と弁流量で読む**

![PV loopと同じ一拍の左室・大動脈・左房圧と、大動脈弁・僧帽弁流量。共通の縦線①〜④で四つの弁イベントを示す。](<https://hidoxfvibxkboksemhdv.supabase.co/storage/v1/object/public/article-images/3fe81774-76b8-45bc-a7eb-683e2fa19ea2/251e2a16-d507-47c6-8459-3613d52edcec.png>)

同じ一拍を、僧帽弁閉鎖から次の僧帽弁閉鎖まで表示した。上段は左室・大動脈・左房の内腔圧、下段は弁流量。縦線①〜④は[図1](#article-figure-block%2F01%2Fpv-annotated)と同じイベントを示す。②から③まで大動脈へ流出し、その後は早期充満、心房収縮による流入が続く。[^note-2]

本文内のPV loopは基準状態から等速で動く。実験右上のアイコンで表示を広げ、PV loopの右端で圧が上がる間、僧帽弁と大動脈弁の流量を見よう。次に、大動脈弁の流量が増える時刻と、左室の点が左へ進む時刻を対応させる。左房・左室・大動脈の圧を並べると、どの圧較差がその相を支えているかを追える。

この実験の心拍数は70回/分。基準状態ではEDVが約144 mL、ESVが約64 mLで、SVは約80 mLになる。数字を確認したら、ループの幅に戻って同じ量を見つけよう。[^note-3]

## インタラクティブ・シミュレーション: 一拍を読む：PV・圧・流量の対応

PV縦軸は左室内外圧差（左室内圧−心外圧）。圧波形は大気圧を基準とする内腔圧。

- Scenarios: 1
- Graphs: 3
- Outputs: 6
- Controls: 0
- Output: 左室拡張末期容積（EDV）
- Output: 左室収縮末期容積（ESV）
- Output: 一回拍出量（SV）
- Output: 駆出率（EF）
- Output: 平均左房圧
- Output: 左心拍出量

## 実測：負荷を変えると、一拍の位置も変わる

実測でも四つの相を追える。[図3](#article-figure-block%2F01%2F007)は、ブタの左右心室から同時に記録したPV loopである。上段左の一拍を選び、まず軸の目盛りを確かめよう。

<a id="article-figure-block/01/007"></a>
**図3：左右心室で同時に記録したPV loop**

![ブタで同時に記録された左室と右室のPV loop。大静脈閉塞前後およびエスモロール投与後の系列](<https://cdn.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/blobs/6d61/10938295/92f8843ca030/gr5.jpg>)

麻酔下ブタの両心室で同時記録したPV loop。青が左室、黒が右室。上段は基準状態、下段はエスモロール投与後で、各段は大静脈閉塞中の系列を示す。パネルごとに軸の目盛りが異なる。まず上段左の一拍を選び、右端の圧上昇、左向きの駆出、圧低下、充満を追う。

原著 Fig. 5 · © Society for Vascular Surgery · 原図のまま掲載[1)](#article-reference-block%2F01%2F008) · [CC BY 4.0](<https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/>)

この記録では、大静脈を絞るにつれてループが左下へ移り、幅も変わっている。前負荷の操作が、一拍の始点だけでなく駆出の終点まで動かす様子が見える。複数の拍を重ねて解析すると、一拍の読み方を心室の性質の評価へ発展させられる。[^note-4]

## ループの横向きの速さは、流量を表す

左室へ入る僧帽弁流量をQₘ、外へ出る大動脈弁流量をQₐとすると、容積の変化は流量の差で決まる。

$$
\frac{dV_{LV}}{dt}=Q_m-Q_a
$$

正常弁の駆出中は僧帽弁流入がほぼゼロなので、−dV/dtが大動脈への流量になる。同じ容積を短時間で駆出するほど、平均駆出流量は大きい。[図2](#article-figure-block%2F01%2Fwave-annotated)の下段で大動脈弁流量が大きい区間ほど、PV loopでは左室容積が速く減っている。

圧–時間波形を並べると、駆出が続いている間にも圧が低下する区間が分かる。左向きの動きは駆出を、上向き・下向きの動きは圧の変化を表す。それぞれを流量と対応させれば、ループの丸みも心周期の出来事として理解できる。

## 幅、割合、一分間の流量

正常弁の一回拍出量SVは、拡張末期と収縮末期の容積差で求める。

$$
SV=EDV-ESV,\qquad EF=\frac{SV}{EDV}
$$

EDV=120 mL、ESV=50 mLなら、SV=70 mL、駆出率EFは約58%である。SVは量、EFは入っていた血液のうち送り出した割合を示す。心拍数HRが70回/分なら、CO=SV×HRより心拍出量は4.9 L/分になる。[^note-5]

EDV/ESVが200/130 mLでも、SVは70 mLだ。この場合のEFは35%になる。同じ拍出量を得ている二つの心室を、拡張の程度まで含めて区別できる。

## 囲み面積は、血液へ渡した仕事

容積変化にその時刻の圧を掛け、一拍にわたって足し合わせると、外的仕事SWを得る。外へした仕事を正とすると、

$$
SW=-\oint P\,dV
$$

となる。同じSVでも、高い圧で駆出するループほどSWは大きい。圧×容積の単位である1 mmHg・mLは、約1.33×10⁻⁴ Jに相当する。

仕事を担う一拍の形は、入ってくる血液量、心室が発生する力、送り出す先の負荷によって決まる。一つのループでその時の働きを読み、負荷を変えた系列で心室の性質を調べる。この二段階がPV解析の基本になる。Suga・Sagawa, 1974[2)](#article-reference-block%2F01%2F029)

### 確認問題: 駆出中に左室圧が低下している。それでも大動脈への流れが続く様子を、PV loopのどの動きから読めるか。

- 容積が減る左向きの動き
- 圧が下がる下向きの動きだけ
- ループの右端の垂直な動き

<details>
<summary>答えと解説</summary>

**正解:** 容積が減る左向きの動き

左向きの動きは容積の減少を示す。圧の上昇・低下と、駆出の継続は別々の軸に現れる。流量波形を重ねて確認できる。

</details>

[収縮性が変えるもの――心筋の力、Ees、閉ループの拍出](/ja/articles/contractility-ees-closed-loop)
負荷の異なるPV loopから、収縮性を読む。

## 注釈

[^note-1]: **弁イベントと測定の時刻**
    弁の圧較差による開閉は基本モデルでの説明。実測では流体慣性、弁の応答時間、逆流、測定の遅延が加わる。最小容積の時刻、大動脈弁閉鎖、最大エラスタンスの時刻は区別し、PₑₛとESVには採用したイベントを指定する。
    

[^note-2]: **注記付き計算図のデータと弁イベント**
    [図1](#article-figure-block%2F01%2Fpv-annotated)・[図2](#article-figure-block%2F01%2Fwave-annotated)は、本文の実験に保存したStandard73基準状態と同じ数値状態から計算した波形である。原時系列は2 ms間隔で保持し、曲線の平滑化や形状への当てはめは行っていない。既存の流量イベント解析法で連続する二拍の僧帽弁閉鎖を求め、その間を表示窓とした。弁イベントは前向き流の開始・終了を示し、弁尖の運動や心音を直接示すものではない。イベントの座標には時系列間の線形補間を用いる。この図では、EDV・Pedを僧帽弁閉鎖時、ESV・Pesを大動脈弁閉鎖時の値として表示する。Pesは圧のピークや最大エラスタンスの時刻とは区別される。縦軸は左室内腔圧を示す。本文内のライブPV図は内外圧差を用いるが、この基準状態では心外圧が0 mmHgのため両者が一致する。Eesは負荷系列から評価する量であり、一拍の曲線からは推定していない。
    

[^note-3]: **計算値の出典**
    数値はStandard73の登録済み基準状態の計算値。PVは左室内外圧差と容積の実行軌道を表示する。内外圧差は左室内圧から心外圧を差し引いた量で、圧波形には内腔圧を示す。実測図は波形を読む参照資料として用い、ブタの測定値とモデルの数値は別々に示している。弁の開閉の近傍では圧較差と流量の応答を合わせて読む。
    

[^note-4]: **実測図の条件と用途**
    原著は麻酔下のブタを用いた両心室計測の技術報告。上段は5秒間の下大静脈閉塞、下段はエスモロール投与後の別の閉塞である。パネルごとに目盛りが異なるため、幅や高さは軸の値で比較する。図は実測波形の参照であり、CircleHeartの数値妥当性を検証した結果ではない。
    

[^note-5]: **逆流と左右の流量**
    弁逆流時には容積差SV、前向きの弁通過量、正味の通過量を分ける。シャントを除いた周期定常状態では左右の平均正味流量が一致する。各瞬間の左右の流量は異なり、血液の貯留・放出に関わる。
    

## 文献

<a id="article-reference-block/01/008"></a>
1. [Technical and analytical approach to biventricular pressure-volume loops in swine including a completely endovascular, percutaneous closed-chest large animal model](<https://doi.org/10.1016/j.jvssci.2024.100190>) Stonko DP, Rousseau MC, Price C, et al. JVS-Vascular Science. 2024;5:100190.

<a id="article-reference-block/01/029"></a>
2. [Instantaneous Pressure-Volume Relationships and Their Ratio in the Excised, Supported Canine Left Ventricle](<https://doi.org/10.1161/01.RES.35.1.117>) SUGA H, SAGAWA K. Circulation Research. 1974;35(1):117-126.
